第131話 アカネちゃん、脱ぐ
このままではアカネちゃんと一夜を共にすることに……。
豪華絢爛な部屋の内装に鎮座するでかいベッド。
それを目にした俺の頭にはいけない妄想が浮かんできてしまって……。
「部屋を2つ取る意味無いでしょ?」
「いやでも部屋が一緒は……まずいでしょ?」
「なにが?」
「なにがって……その」
「わたし言ったよね? 世界中を旅して、ホテルでエッチなことしてあげるって」
俺の前に立ったアカネちゃんが、真剣な眼差しで見上げてくる。
「最初がこのホテル。女の子が初めてを捧げるには良い部屋でしょ?」
「は、はは初めてを捧げるってっ、そ、それはまだ早いんじゃ……」
「じゃあいつまで待てばいいの?」
「えっ? あ……それは……その」
聞かれた俺は答えに窮してしまう。
「早いなんてただの言い訳。コタローはわたしか女王様を選ぶことで、どちらかを傷つけちゃうのが怖いだけでしょ?」
「う……」
その通りだ。
アカネちゃんはまだ若く、この先、俺なんかよりずっと素敵な男性に出会える可能性があるからとか、淫行が怖いっていうのは言い訳でしかない。俺にアカネちゃんか無未ちゃんのどちらかを傷つけてしまう勇気が無いだけだ。
どちらも俺にとっては大切で、どちらにも傷ついてほしくはない。しかしいずれは決断しなければならないことだ。それはわかっているのだが、俺には2人のどちらかを傷つけるという決断などできる気がしなかった。
「怖いのはわかるよ。けどいずれはどちらかを選んで、どちらかを傷つけなきゃダメなの」
「それは……わかっているんだけど……」
「覚悟が決まらないんだね」
不意にアカネちゃんは自分の服に手をかけて、上着を脱ごうとする。
「ちょ、ちょちょちょっ! アカネちゃんっ!?」
その行動にビックリした俺は止めようと慌てるが、
「覚悟が決まらないなら決めさせてあげる。今日コタローはここでわたしを抱くの。そうすれば覚悟も決まるでしょ」
「い、いやだけど……」
「わたしの想い、子供の背伸びとでも思ってる?」
「えっ……」
「年上への憧れとかそういう安い感情だと思ってない?」
「……」
問われた俺は口をつぐむ。
アカネちゃんはしっかりした子だとは思うけど、まだ16歳だ。雪華も言っていたが、俺への感情は純粋な恋ではなく年上への憧れとかそういうものではないかと考えはした。
「コタローへの想いはそんなんじゃない。この気持ちは本物……って言いたいけど」
「けど?」
「うん。わたし人を好きになったの初めてだから、この想いに絶対の自信があるって言えないの」
そう言ってアカネちゃんはやや表情を暗くして俯く。
感情というのは難しい。
恋というのは特にだ。異性を好きになっても、それが恋愛感情なのかは自分自身でもよくわからなかったりする。アカネちゃんほどに若い子ならば、初めての感情を正確に判断するのは困難だと思う。
「コタローへのこの気持ちは恋愛じゃなくて、頼りがいに憧れているだけかも。けどね、だったらそれでもいいと思うの」
「えっ?」
「コタローはわたしのことをずっと大切にして、ずっとずっと愛してしあわせにしてくれる。10年後のわたしもしあわせで、20年後もわたしもしあわせ。それからもずっとしあわせなら、今のこの気持ちが恋愛感情じゃなくても、未来のわたしは今のわたしを後悔しない。わたしはコタローを信じてる。絶対にわたしを後悔させたりなんてしないって、信じてるから」
「アカネちゃん……」
強い信頼。
それを当てられた俺は、覚悟を持てない自分を不甲斐なく思う。
アカネちゃんは俺をこんなに強く信頼してくれて、想ってくれる。それなのに俺は覚悟が出来ずに想いから逃げるばかりで……。
「もちろんわたしもコタローをしあわせにしてあげる。後悔なんてさせないから。わたしを愛してよかったって思わせてあげる。ずっとね」
と、上着を脱ぎ去ろうとするアカネちゃん。
「いや、ちょ、その……」
「男らしく覚悟を決めなさい」
「け、けど心の準備がね……」
「コタローの準備を待ってたら、おばあちゃんになっちゃう。準備なんていらないし、なんにも考えなくていいからベッドで仰向けになって天井を見てなさい」
「うう……」
アカネちゃんはもうやる気まんまんだ。
なにかを考えれば俺はたぶんこの場から逃げてしまう。だからもうなにも考えない。どうとでもなれという気持ちで、俺はベッドで仰向けになる。
「それでいいの」
そしてアカネちゃんは上着を脱ぎ捨てる。
目の前に現れたのは、豊満過ぎるおっぱいを支えるシルクのブラジャー。それを見た瞬間、俺の股間には神の怒りも恐れぬ強靭なバベルの塔が建設されてしまう。
「心の準備はまだでも、身体の準備は万端じゃん」
「いやその……」
「ふふ、本番の前にちょっと遊ぼうか」
「遊ぶって……えっ!? ちょっ……」
なにをする気なのかと見ている俺の前でアカネちゃんは穿いているスカートの中に手をやり、スルリと中のもの脱ぎ下ろした。




