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第125話 アカネちゃんと婚前旅行?

「うん? ここがいいの?」

「あーいいっ。そこもっとグリっとっ。体重を乗せてっ」

「えい」

「おふぅ」


 こ、これは良い。


 アカネちゃんのおみ足が俺の背をほどよく刺激して気持ち良い。巨乳の美少女高校生に踏まれているという精神的な快楽もあって最高だった。


「ア、アカネちゃん上手だねぇ」

「たまにパパから頼まれてやってるからね」

「そうなんだ」


 金持ちだし、奥さんは美人で巨乳。そしてこんなに綺麗でかわいい巨乳の娘に踏んでもらえるとか、前世でどれほどの徳を積めばそんな人生を歩めるのだろうと、俺は社長を羨んだ。


「おおう……」


 しかし今の俺も負けず劣らず幸せ。

 アカネちゃんにこうして踏んでもらえているのだから……。


「コタロー、昨日のニュース見た?」

「おお……えっ? き、昨日のニュースって? おほ」


 アカネちゃんに背中の凝りを踏んでもらいながら問い返す。


「魔人がイギリスのロンドンにってニュース。最近、世界のあっちこっちに現れて暴れ回ってるんだよね。このあいだはわたしたちの前にも現れたしさ。コタローはどう思う?」

「ど、どう思うって……」


 ずっと考えてはいたが、結局、正体はわからない。

 魔力を持っているならば、異世界に関連しているのかもしれないが……。


「海辺に現れたあいつからは魔力を感じたし、俺のいた異世界となんらかの関わりはあるんじゃないかと思ってるけど」

「そうなの? まあそれはともかくとしてさ。あの魔人の正体を突き止めるために世界中を旅するって、動画のネタになると思わない?」

「えっ? いや世界中って……」

「旅費なら大丈夫。わたしが全額持つから」


 世界中を旅するのに旅費ってどのくらいかかるんだろう? 飛行機代はもちろん、ホテル代や飲食代でどんでもない金額になりそうだが、さすがはお金持ちということか。いや、それよりも、


「いや、お金の問題はともかくとして、俺は会社があるし、アカネちゃんだって学校があるでしょ? 世界中を旅するのは難しいんじゃないかな?」


 世界中を旅なんて、どれだけの時間がかかるかわからない。そんな長期間、仕事や学校を休むのは……。


「わたしは学校を休む。コタローのことはパパに頼んで出張ってことにでもしてもらうから」

「えーっ!? い、いや俺はそれでいいとしても、アカネちゃんが学校を休むのはまずくない? 休んだら授業に遅れちゃうし、出席日数とかも……」

「へーきへーき。わたし中学生のころから大学の受験勉強してるくらいだし、高校の授業なんて受けなくてもぜんぜん大丈夫だから」

「そ、そうなの? 頭良いんだね」


 失礼だけど、そんな風にはあんまり見えない。


「出席日数も1、2ヶ月くらいなら休んでも平気」

「あ、でも、友達と遊んだりとかもあるだろうし」

「友達? そんなのいないよ」

「えっ?」


 友達いない?

 それは本当に意外だ。こんなに明るくて人と接することに恐れなど無い子に、友達がいないなんてことがあるのだろうか?


「はっ!? も、もしかしてアカネちゃん、美人で金持ちだから、やっかまれて学校ではいじめられているとかそういうことじゃ……」

「なに言ってんの? ぜんぜん違うし。まあ生意気だって絡んできたのは何人かいたけど、そういうのはわからせて退学にさせてやったからね」


 グリっと背中を踏まれて俺は「あふん」と声を上げる。


 怖い子だわこの子。

 元魔王の俺が言うんだから相当だよ。


「友達がいないのは必要無いから。いたってうざいだけでしょ?」

「そうかな? いたら楽しいんじゃない?」


 俺は友達いないから知らんけど。


「楽しいこともあるかもね。けどそれ以上に鬱陶しいの。悩みの相談とかしてきたりさ。あと女友達って、やたら触ってくるじゃない? それがほんと嫌で。わたし女に触られるのって寒気がするんだよね」

「そ、そうなんだ」


 学校では友達とわいわい賑やかに過ごしているイメージだったが、なんだかアカネちゃんの意外な一面を知って驚いた。


「だからわたしに友達なんていらないの。必要なのは……」


 不意にアカネちゃんは屈んで俺の腰あたりへと跨り……。


「わわわ……」


 ぎゅっと背に抱きついて、耳元に顔を近づけてくる。


「コタローだけ」

「かはぁ……」


 柔らかい感触が背中を押し、凝りがほぐれたときとは別の快感が押し寄せる。


「世界中の旅は婚前旅行にもなっちゃうかもね」

「こ、婚前旅行っ!?」

「うん。世界中のホテルに泊まってさ、そこで……」


 触れるか触れないか。

 アカネちゃんの唇がそれほどに接近して、俺の耳へ囁く。


「エッチなこといっぱいしてあげる」


 ふにふにと背を押す柔らかな感触。女の子の甘くて良い香り。そして耳もとで息とともにこんなことを囁かれたら、もう心も身体も骨抜きになってなにも考えられなくなってしまう。


「エ、エエッチなことはあのその……」

「じゃあいつ出発する? わたしはいつでもいいけど?」

「いやまだ行くとは……」

「行くの。わかった?」

「わかりました……」


 日本以外は異世界しか行ったことないし、海外なんて不安だからあんまり気が進まない。けれどおっぱいをふにふに背中に押し付けられたこんな状態では、断るなんて不可能だ。もう行くしかなかった。


「じゃあ決まりね。飛行機とかホテルの手配はわたしのほうでしておくから、コタローは旅行の準備だけしておいてね」

「あ、うん」


 と、返事をしたところで、俺はふと思う。


「あ、もしかしたら旅費はいらないかも」

「えっ? それってどういうこと?」

「うん」


 まだわからないが、もしかしたらできるようになっているかもしれないことがあった。

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