その80 ここは牢獄兼地獄
噛まずに声に出して読めたら優勝。並に聞くに堪えない子供の口喧嘩が開催される回。
蛇足回です。話は微塵も進みませぬ。
コノル達が優雅に昼食を取っていた一方で黒猫は何をしていたかと言うと……
「何が楽しくて檻の中にいるのじゃあー!バカなのかのお主らはー!アッカンベー!」
「カスが!好きでいる訳ねーだろうが!」
「調子乗るのも大概にしろ!」
「ウザイ顔しやがって!こっち見てんじゃねー!」
黒猫は牢の中で騒いで向かいにいる囚人達と激しい言い争いをしていた。
「『うるせーさっきから読書の楽しみの邪魔だー』とか抜かして、お主らはバカじゃのー!こんな檻の中で楽しみを見付ける前に檻の中に入らないようにするのが先じゃろうが!もう遅いがの!ぬははー!」
「黙れ!てめーも檻の中に入ってるの忘れてるんですかー?アホがっ!」
「何言っておるのか意味不明なのじゃ!これだけは言えるがの!先にアホ言った奴がアホなのじゃバーカ!」
黒猫は牢の中で自分だけ楽しみ(食)を奪われた鬱憤を晴らすため、周りに喧嘩を売りまくっていた。完全な八つ当たりである。
辺り構わず吐かれ続ける言葉の刃物が、波風のように周りに波状して罵詈雑言の嵐を巻き起こす。
「さっきから何!うっさいわよ!」
「お主の声の方がうるさいのじゃ!食べ物も持ってない奴は割り込んでくるななのじゃ!黙ってるのじゃ!」
「全部ブーメランなんだよ!」
「檻が開いたら必ずPKしてやるからな!覚悟しとけ!」
「はぁ……そんな思考じゃから檻に入っておるのじゃろう。ヤレヤレ……アホと話すのは疲れるのじゃあああ!!」
「何逆ギレしてんだ!こっちの台詞なんだよカス!」
「お前みたいなバカは初めてだわ!牢屋に入ってて正解だな!」
「はいアホー!あやつわたしゃより檻生活が長いからって威張ってるのじゃ!アホ発見じゃー!この恥知らずがー!バーカバーカ!」
「そのアホと同じ牢屋に入ってらー!アホ以下発見ーぎゃはは!」
「のじゃのじゃのじゃのじゃってキャラ作り気持ち悪いんだよ!何狙ってんだー?アホキャラのノミネート大賞かー?だははははは!」
「はいぃー?聞き取れんかったのじゃー?もう一度同じ事言って欲しいのじゃがー?無理じゃろう!お主らアホじゃからのー!そんな事よりお主らは面白い顔じゃのー!壁の染みより面白いのじゃ!ぬはは!ウケる」
「「「「「てめぇー絶対殺してやる!!」」」」」
黒猫が入ってきた事により『アルカトラズ監獄』の殺伐とした雰囲気に更に拍車が掛かっていた。ついでに言うと怒鳴り声等の騒音は平常時の数倍酷くなっており、看守員は黒猫を入って初日から、監獄内でもっとも問題のある人物としてブラックリスト入りにしていた。
不名誉な愚行の数々。その最たる者がいるべき場所に入ったのだ。当然黒猫が入っている期間の監獄内はかつてないほどの地獄と化した。