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仮想世界は楽しむ所なのじゃ  作者: 灰色野良猫
チュートリアル
65/231

その65 イレギュラー

 あちゃー、これはマズイなー


 シャドー隊の1人と鉢合わせてしまったライコは、シャドーに攻撃しながら横目でその女の子を見る。


 珍獣ちゃんはコノルちゃんって子の為に1人で何とかしようとしてたのに、私が巻き込んじゃったらどう思うんだろう?ていうか、もう方も付くし事情を説明して離れてもらおうかな?


 ライコは驚いているシャドー隊の女の子を見ながらシャドーを攻撃していると、麻痺が解けて自由になったシャドーは突然ライコを無視してその女の子を狙って走り出す。


「あっ!またこの子は浮気を!逃げるなー!」


 草木を掻き分け、シャドー隊の女の子に鋭い鉤爪を振るう。


「きゃっ!?」


 その威圧感に押されて尻餅を着く女の子。


 鉤爪が目前まで迫る。


 シュッ!ガキンッ!


 ライコは素早く動いて女の子の前に立ち、シャドーの攻撃を防いだ。


「君の、相手は、私、でしょう、が!」


 ギリギリギリギリとシャドーの鉤爪とライコの剣が火花を散らして混じり合う。


「あ、ありがとうございます!今援護を!」


「必要ないよ!それより早く遠くに離れて!この子倒したら即死級の大爆発が起きちゃうから!」


「え!?それってどういう」


「詳しく説明してる暇はないよ!皆にも伝えて!このワンちゃんだけ消滅したら大爆発する仕様になっているんだ!私が倒すから私を信じて離れてて!ここには誰も近付けさせないで!」


「わ、分かりました!」


 そう言って女の子は離れる。


「ふぅ。さぁ!仕切り直しだよ!ワンちゃん!」


「グルルルル!」


 ライコはシャドーから離れ剣を構え直し、シャドーの残りHPを削りに掛かった。



 ―――



 フィンリルは地面を穿き、石礫を周囲に飛ばしながら、1人の男を狙って攻撃を仕掛けていた。


 その男はバーデンと呼ばれるタンクで、巨大な盾を装備したスキンヘッドで薄目の大男だ。


 飛んでくる石礫をその巨大な盾で防ぎながらバーデンはフィンリルに突進して特異スキルを使う。


「【一騎討ち】……【白銀の防壁】……今です」



『【一騎討ち】 敵に対して30秒間、互いに突進攻撃しか繰り出せなくなる。その間敵は自分以外狙えなくなる』


『【白銀の防壁】 自身への物理ダメージを30秒間HP回復と防御力upに転換する』



 緑の光に包まれながら低い声でバーデンがそう合図すると、周りから特異スキルを発動する声がそこかしこから聞こえ、動けないフィンリルに高火力の攻撃が降り注ぐ。


 火の玉から槍の雨に、風の竜による攻撃や魔法陣による光の攻撃、巨大な斬撃、巨大なブーメランの攻撃等、多種多様の攻撃がフィンリルのHPを削り取る。


 ライトは一旦周りの攻撃が収まったら攻撃しようと機を窺っていた。


 大勢で攻撃した場合、他の人の攻撃エフェクトが邪魔で手元が狂って狙いたい場所に攻撃が当てられない場合があるからだ。


 そして周りの攻撃の手が緩んだタイミングでライトは特異スキルと攻撃スキルを使用する。


「特異スキル【英雄】【障害神手】【力の抑制】発動。オリジナル攻撃スキル【十三星斬】!」



『【英雄】全ての能力値を2倍にする。hp50%を切ると更に2倍に上がる。敵に狙われやすくなる。任意発動』


『【障害神手】光の腕を背中に召喚し、今持っている武器に加えて、更に武器を二つ持てるようになり、攻撃力が2倍になる。任意発動。持てる武器は現在装備している武器のコピーでコピー武器には武器特有の付属効果は付かない』


『【力の抑制】消費系の攻撃やスキルの消費量を全て4分の3にする。隠された能力を持つ』


 どれも規格外な力を持つ特異スキルだが、ライトが最強と言われている由縁は特異スキルだけでなかった。


 それは誰も持っている者がいないとされている四つ目の特異スキルの存在。


 オリジナル攻撃スキル【十三星斬】


 攻撃スキルなのだが、その性能は特異スキルに匹敵する程のものだ。


 発動したら攻撃を始める他の攻撃スキルと違い、この攻撃スキルは任意のタイミングで攻撃を繰り出す事が出来る。早い話が超強力な通常攻撃を13回繰り出せるというもの。


 これだけでは強いと感じれない。だが真に強いとされているのは、発動している最中だ。この攻撃スキルは13回攻撃をするか発動時間がすぎないと発動が解除されない。だがその間はどんな攻撃も受けない無敵状態になれるのだ。


 つまり13回攻撃しなければ無敵状態を発動時間終了まで維持する事も可能。あらゆるダメージを無効化し、更に一方的に13回攻撃を繰り出せる。


 まさに四つ目の特異スキルと言われるに相応しい力があるのだ。


 唯一欠点とされているのはRTが60秒もある事。隙が大きくなり過ぎる為実質SGでしか発動が難しい技だがSGが溜まれば何度だって発動出来る。


 特異スキルと差異のない攻撃スキルはライトの身体を蒼白い光で包み込む。


「行くぞ!」


 ライトはフィンリルに向かって走った。


 丁度その瞬間、目の前に人の顔が付いた風船の様な、小さく奇妙な姿をしたモンスターが現れる。


 何だ?雑魚モンスターの狩り残―――――


 その時そのモンスターは突然光り出すと、激しい爆発を起こし、ライトを除いた周りの仲間全員がダウンした。


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