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仮想世界は楽しむ所なのじゃ  作者: 灰色野良猫
チュートリアル
54/231

その54 アイテムのレア度は当てにならぬ

 やれやれじゃ。


 何に対してやれやれと思っているか謎である。


 そんな黒猫は地面に生えている草を毟っていた。


 草のデータだから毟った草は暫くすると光の粒となり消える。黒猫はそれをまじまじと眺めると再び草を毟る。


「……」パクッ


 今度は毟った草を素早く口に入れる黒猫。食べれるとでも思ったのだろうか?


「何してるのよ?」


 コノルは黒猫の奇行を横目で見ながらアイテムを整理していた。


「お腹空いたのじゃ」


「はいはい。これが終わったらね」


 素っ気無い態度で軽く流すコノルは色んな色の地雷アイテムを目の前に並べて難しい顔をしていた。


「麻痺4個、毒4個、火炎2個、防御デバフ6個、暗闇3個。これを指定の位置で言われたタイミングに設置すればいいのね」


 コノルは地図を開いて、設置位置を確認する。


 すると黒猫が後ろから近寄って話し掛けてくる。


「もう怒ってないのじゃ?」


「まだ怒ってるわよ。いきなり放置なんだもん一虎さん。まぁ上の命令らしいから仕方ないけどさー。ハヤテさんも見当たらないし、なんか来てから後悔ばっかりしてる気がするなー」


 コノルは一虎の言葉を聞いて憤慨しつつも仕方ないと割り切っていた。まぁ一発ぶん殴ったが。


 唐突にサポートリーダーが死と隣り合わせの前線で、『話が変わった。お前ら2人で頑張って』とか抜かしてくるのだから、そりゃ怒って当然だ。


 やり切れない。そんな思いのまま、2人は送られてきた2人だけの作戦指示書に従い本番は動く事に。


 罠アイテムは落とし穴や、縄による捕獲の罠等様々あるが2人が渡されたのは地雷系の罠ばかり。

 何故罠アイテムが地雷系ばかりかは、この界ボスは地雷以外は効かないらしいからだ。あと安価で低レアアイテムだから。


 高レアアイテムは渡せない仕様だ。稀に渡せるパターンもあるが例外中の例外で普通は渡せない。渡せない高レアアイテムの例として全回復アイテムとかゴースト系雑魚モンスターを一撃で倒せるアイテムなんかは渡せないのだ。レア度は星マークでアイテムの上に記されている。



麻痺地雷(★★☆☆☆)


 こんな具合に。


 しかしレア度は特に重要視はされていない。低レアアイテムでも使える物は使えるからだ。認知度で言えば、そのアイテムを交換出来るか出来ないか、高く売れるか売れないかの違いでしかない。


 逆にこんなアイテムもある


『【煌びやかな星(★★★★☆)】アイテム欄に入れているだけで攻撃に光のエフェクトを付与出来る。かなり高く売れる』


 性能が皆無なのに見栄えだけ良くなるレア度が高いアイテムなんかその典型的な例である。レアではあるが実用性は皆無。


 ちなみに黒猫の装備している装飾装備の赤いマフラーはレア度MAXの星5である。性能は凍傷完全耐性付与、冷気完全耐性付与。


 未だに寒さ関係のフィールドが出てない上に、冷気攻撃も極一部の敵しかしてこないので性能が発揮しにくいのにレア度は最大となっているのだから、やはりレア度は当てにならない。


 だから最新界を攻略するメンバーにとっては、低レアの方が逆に価値があるともされている。


 そんな事情で地雷系ばかりなのだ。


「なんだかなぁ。こんな物でも高級品に見えてしまう私って……」


 低レアアイテムですら手に入れるのが困難な2人。攻略組のアイテムは見る物全てがレアに見えるフィルターが掛かっていた。


「コノルー。そんな悲しい顔しないで欲しいのじゃ。これ、あげるのじゃ」


 黒猫はコノルに紫に光る指輪を渡してくる。


「ナニコレ?どこから拾ったの?」


「知らない奴が持ってたのじゃ」


「盗んだんかい!」


 ゴツンっ!


 またもや目を離した隙に盗みを働いた黒猫の頭に、コノルの拳骨が炸裂して黒猫は地面に突っ伏す。


「手癖悪いにも程があるわ!もう……なになに?ヘイト集める装飾装備?こんなもん界ボスに使ったら速攻殺られるわ!あんた私を殺す気か!」


 効果が使えない上、下手したらデバフになりかねない効果内容に驚き声を上げるコノル。


 無論黒猫が知る由もない。


 そこでコノルは顎に手を当てて考える。


 いや、ここでこれ見せてきたのは正解か。界ボス討伐の本番で猫さんがこんなの装備してたら……ブルッ!


 最悪の結末を思い浮かべて悪寒が走る。


「ここで確認しとかないと。猫さん!他には?盗んだ物全て出しなさい!」


 倒れて顔を地面に向けている状態で黒猫は手を挙げる。


 するとバラバラと謎のアイテムがドンドン黒猫の前に現れた。


「………………」


 コノルはそれを見ると、1つにつき1発ずつ倒れている黒猫のお尻を勢い良く叩いたのであった。

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