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仮想世界は楽しむ所なのじゃ  作者: 灰色野良猫
チュートリアル
46/231

その46 コノルの大人気ない鬼ごっこ

 息が持たない……足が重い……思考がまとまんない……何で私はこんな事を……してるんだっけ?……ダイエット?


 ゼーハーゼーハーと過呼吸になりながらコノルは走っていた。顔からは汗がダラダラと垂れ落ち、限界を迎えている脚に鞭を打つかの如くコノルは走る。


 目の前を無邪気に走り回る笑顔の可愛いターゲットを捕まえるために。


「はぁ……はぁ……はぁ……ふんっ!!」


 コノルは腕を振り上げて、勢い良く振り下ろす。


 スカッ!


 コノルの腕は狙った獲物に当たらず空を切る。


「おねぇちゃんおっそーい」

「おねぇちゃんがんばえー」

「そんなんじゃ一生捕まんないよーだ」


 煽ってくる姿も可愛らしい。けどもう許して。


 7人の子供に連携を取られて翻弄される女子高生。その顔は心做しか痩せ細った様に見え、コノルは今にも倒れそうだった。




 そんなコノルと子供達は何処で追いかけっこをしているかというと、ここは掲示板の広場の大通りに面している公園。


 白い遊具が立ち並ぶがその数はそれ程多くなく、色合いも相まって少し物寂しい雰囲気がある。そんな広場に7人全員が逃げ込んでコノルを文字通り弄んでいた。


 何で猫さんはこんな苦行を……というか猫さんどこ?何で私1人で子供達全員の相手をしてるの?二手に分かれてとは言ったけどさ……これは思ってたのと違う……使うか……あの外道策を。


 子供達を捕まえる、もしくは子供達の許しがないと終わらない鬼ごっこ。拷問に似た遊びをコノルは本気で終わらせるためにある策を弄する。


「もう……だめ……」バタン……


 コノルはその場に倒れ込む。


「え!?おねぇちゃんどうしたの!?」

「わわわ!?大丈夫!?」

「おねぇええちゃあああん!」


 倒れたコノルを心配して子供達が駆け寄ってくる。


 今だ!


 ニヤリと笑うとコノルはバッと起き上がり子供達にタッチする。その瞬間子供達の何人かは罠だと分かるとコノルから離れる。


「あー!捕まっちゃったー!」

「おねぇちゃんずっこーい!」

「やーらーれーたー」

「わぁー!蘇ったー!」

「逃げろー!」


「これが猫さん直伝!死んだフリよ!」


 全員はタッチは出来なかったが3人は捕まえた!残り4人!


 大人気ないを体現した見事な作戦が炸裂して、してやったりと得意気になるコノル。


 そしてお次は!


 コノルはメニュー画面を開く。



 変更前

 ―――

 役職1装備スキル

 攻撃スキル 【二連打撃】【回転打】

 魔法 【ヒーリングサークル】【ファイアレイン】

 ―――



 装備をバフメインに!



 変更後

 ―――

 役職1装備スキル

 攻撃スキル 【バフ時間上昇】【AG強化Lv2】

 魔法 【スピードアップ】【パワーコンバージョン】

 ―――


 コノルはスキルを一新して速さを上げるバフを掛けられるスキルを装備し直す。


 変更している間にも子供達は離れていってしまう。


「いい?捕まった子はここで待っててね?」


「「「はーい!」」」


 いい子達。


 コノルは捕まえた子供達に動かないようにと念を押すと、素直に従う子供達にほっこりしながら、残り4人を追う為にバフを掛ける。


「【スピードアップ】!【AG強化Lv2】!【パワーコンバージョン】!パワーをスピードに転換!【バフ時間上昇】!行くわよー!」


 クラウチングスタートの構えをするコノル。


 捕まえ損ねた4人の子供達は既に公園から出て、通りを曲がり見失い掛けていた。


 これだけやれば私の勝ちよ!


 しかし、直ぐに追い付く自信があった。


 速度強化バフをこんなに盛ったのだから追い付けない訳がない!……というかバフ盛らないと子供に追い付けないって、私の基礎AGどんだけ低いのよ。


 自身のAGの低さに呆れつつコノルは今までの4倍以上の速さで子供達を追う。

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