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仮想世界は楽しむ所なのじゃ  作者: 灰色野良猫
チュートリアル
28/231

その28 デビルクラーケンの正体

暇な時にでも見ていってね( ˙꒳˙ )

 黒猫の言葉を聞いた途端、コノルの頭の中で未確認飛行物体が飛び回る。


 この子は何を言ってるのだろうか?

 褒めてる?嬉しい?いやいやまさか……


 コノルは笑顔で黒猫を見つめながら、真意を確かめる為に質問する。


「……猫さん。船底に行った事あーる?」


「あの一番下にある部屋かぁ?うむ、あるのじゃ」


「いつ行ったのかなぁ〜?」


「今さっきなのじゃ」


「そこで何が起きてたのかなぁ〜?」


「水が少しずつ入ってきてたのじゃ」


 質問する度に黒に染まっていく。時系列的にも黒猫が犯人と言わんばかりの証言の数々。


 ヤバい。犯人こいつじゃん。


 最早諦め気味だが、コノルは核心に触れる質問をぶつける。


「……じゃ、じゃあ、そこで何してたぁのぉ〜?」


「うむ赤い棒を探してたのじゃ」


 …………ん?あれ?アイテムを探してただけ?って事は……犯人は猫さんじゃない?やった!じゃあ無罪じゃん!日頃の行いは良くするものね!


 逆転無罪!コノルは黒猫の言葉で黒猫が犯人じゃないと確信する。


 が


「そして穴を広げたのじゃ。グッジョブじゃ」


「あーれーまー…………」


 誇らしげに親指を立てる黒猫。


 無罪目前なのにその容疑者から有罪確定を突き付けられたコノルは天国から地獄に叩き落とされた様な気持ちになり、思考を停止して死んだ魚の様な目になる。


 これは…………いや!まだだ!まだ諦めない!言い逃れの道がある限り諦めない!なんなら犯人を別の人に仕立てあげてやる!なんだってやってやるわ!


 コノルは直ぐに生気をその目に取り戻すと、最悪を覚悟して最後の質問を投げ掛ける。


「……それ、誰かに見られた?」


「うむ?その時、何か言っておったがどっか行ったから大丈夫じゃ」


 見ーらーれーてーたー……しかも目撃者を取り逃ーしーてーるー……


 コノルは再び死んだ魚の目に戻る。


「……このまま一緒に死にましょう」


「コノルがとち狂ったのじゃ!?」


 両肩にポンッと手を乗せてとんでもない事を言うコノルに対して黒猫は驚愕する。


 しかし、コノルがそう言うのも無理はない。


 ここで無事に帰っても、無事では済まないのだから。


 絶対断罪される。されなかったら奇跡。奇跡は起きない。理由は目の前にいるから。以上。証明完了。


 ネガティブな思考回路になるコノル。最早希望を見い出せないでいた。


 周りが触手相手に、必死に武器や魔法で戦闘を行っている中で私達は何をやっているのか?何で敵より味方に頭を悩まさなきゃいけないのか?


 そんな事を思っている時、コノルはふと疑問だった事を思い出して黒猫に尋ねる。


「そういえば……猫さんは船底で何を探してたの?」


「花火じゃ」


「……あっそう」


 聞いた私がバカだった。


 そうこうしてると船の傾き具合が冗談じゃなくなる。


 2人は直ぐに船のデッキの手摺に捕まる。


「わっとと……んー、外に出れば小舟に乗れると思ってたけど、無理っぽいね」


「小舟がないからの。ぬはははは」


 何が面白い。


「笑ってないで助かる方法考えないと……このままじゃ死ぬ…………うーん…………あ、ダメだわ。死ぬしかないわ。詰んだ」


 どう考えても助かる手段がない。


 陸地はとても泳いで辿り着ける距離ではない。小舟もない。あるのは紫色をした触手だけ。船はあと数分もすれば沈みそう。転移できるポータルはここには無い。助けてくれそうな当も無い。


 コノルは少し考えはするが、結局生存を諦める。


「貴様らぁ……」


 気が付けば45°以上に傾く船で、辛うじて体勢を崩さず立つ男が1人、怒りに声を震わせながら怒髪天を衝く勢いでこちらを睨み付けていた。


 無論シノ影である。


 シノ影は事の発端の黒猫に怒り以外の何物でもない感情を抱いていた。


「ぬはは。なんかキレとるのじゃ。ぬはははは」


「いや笑うな?あの人キレてるの全部猫さんのせいだからね?ていうかシノ影さんにもバレてるじゃん……モウヤッテランナイワー」


 指を差しながら真顔でバカにするように笑う黒猫。


 それを止めさせようとして、シノ影にバレている事実を知り自暴自棄に陥るコノル。


 激怒するシノ影、笑う黒猫、不貞腐れるコノル、色んな感情が入り乱れていた。


 そんな中先に動いたのはシノ影だった。


「貴様らはここで成敗――」


 しかし、シノ影が2人に切りかかろうとした、まさにそのタイミングで船が大きく揺れてその船体が一気に沈み出す。


 そしてその揺れの影響で一人残らず海に落ちる。


「ぐおおお!?グボボボ!?」バシャーン!

「あーれー……ガボボボボ〜」バシャーン!

「のじゃーボボボ〜」バシャーン!


 シノ影を含めて仲良く海に落ちた3人が最後に見た光景は、デビルクラーケンの触手だけが海の中で蠢いており、その触手の中央にある筈の本体が透明で、姿のテクスチャが作られていない奇妙な光景だった。


一応アホな黒猫なりに、こんな事した理由はあります。

本人は話さない上に忘れてますが。

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