表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21歳のポエム  作者: 今日の死にたい
1/2

知ってるVtuberが引退した。

知ってるVtuberが一人引退した。

誰しもが来ると知っていた終わり。だが、誰も期待していなかった終わり。それが来た。しかも、これで終わりではない。また明日、一人のVtuberが引退する。


2018年にビッグバンが起こり、自分は新たなサブカルチャー誕生の瞬間を目の当たりにして興奮したことを覚えている。そしていつの間にか、その存在が自分のYoutubeの履歴を埋め、身近な存在に感じるまでの時間はそうかからなかった。

自分にとって様々な出来事があった2018年から2020年の三年間は、まさにVtuberにとっても動乱の時代だったと思う。

様々なハコが生まれ、様々なスキャンダルがあって、そして、辞めていく方もいた。人権が踏みにじられるほどに叩かれる方もいた。休止に追い込まれる方もいた。ネットの世界に急速に進行した日本特有のアイドル文化が闇を見せるたび、自分をその世界に踏み込まないように戒めた。

そして、今。その闇の一つがまた顔をのぞかせた。


別に彼女を特別推していたわけではない。ただ、よく見ていた2つあるハコの内の一つで、キレイな声と見た目を裏切る、パワフルな長時間配信で人気を博し、確かな存在感があった人だった。

引退することを知った直後は、数多ある引退話の一つであると思い、これに備えるために特定の推しを持たなかった利点を活かし、軽く受け流す気でいた。しかし、Youtubeとニコニコでは彼女の切り抜きが存在感を増し、自分の中である考えが生まれた。

「引退配信には顔を出してみよう」

そして実際に赴いてみると、そこには10万人を超すリスナーと一生懸命に話す彼女がいた。

自分は彼女の何もしらない。他の熱心なリスナーと比べて配信を見ていたわけではないし、メンバーであったこともない。しかし、彼女がたくさんのリスナーと交流しているのを見て、周りが送る愛情の深さを感じた。

配信が終わった後、彼女に向けられたたくさんの愛情の中に自分も混ざりたくなった。彼女が発するおそらく最後のツイートに、ハートとリツイートを送った。

その瞬間、心に重いものがのしかかった。

自分はなぜ、彼女の動画をもっと見なかったのだろう。リアルタイムで喜びを共有しなかったのだろう。応援を送らなかったのだろう。なぜ、今更になってこのVtuberの人生を追いたいと思ってしまったのだろう。

この後悔は、確実に傷を残す。そして、明日も。

こんな些細なことで傷つく自分がVtuberを推せる日は来ないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ