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第8話 誘いのスライムの隠れ家

 次の日の朝、私は誘いのスライムの隠れ家に行くため、始まりの森に来ていた。木々が生い茂り、木々に朝日が反射して輝いている。幻想的な森だ。


 森の中を進む。森の街に近いところは幻想的で素敵だし、道も整備されてるので、歩くのも苦にならない。しかし、奥の方へ進むと、道が険しくなっていき、木々の色も暗くなってきた。同じ森とは思えないくらいに。だんだん歩くのがしんどくなってくるね……。


 森を進んでいると、スライムが現れたが、通常攻撃や、『アーチタクト』を数発命中させれば、経験値とアイテムを落として、消滅する。


 地図を見ながら、誘いのスライムの隠れ家へと進む。確かこの辺りのはずだけど……。


 辺りを見回すと、マンホールのような一つだけ不自然な茶色い板に気付いた。この下とか……?


 板に近付くと、鍵穴があるのに気付いた。鍵穴にクルーシャに貰った鍵を差し込む。すると、カチャ、と音がして、地下へと続く階段が現れた。私は中に入るため、階段を下る。


 階段を下ると、6畳くらいの小さな部屋があった。机や椅子、ベッドや棚があって、壁には蝋燭が掛かっていた。人間が暮らしていると言われても驚かない部屋だ。


 机の上に、宝箱が置いてあったので、それを開いた。すると、中から10万マル、レア度HR髪飾りである白剣の髪飾り×1、経験値の森クエストチケット×1、経験値取得量up薬(小)×5、MP回復ポーション(中)×3、銀の魔石×1、誘惑の魔石×1が出てきた。


 お宝がざっくざくだ。ここまで来たかいがあったよ……。魔石は武器やアイテムを作ったり、武器やアイテムに特殊効果を付与するのに使うものだ。銀の魔石も誘惑の魔石もかなりレアで、強い魔石だ。HRの白剣の髪飾りは物理攻撃ステータスが上がる効果がある髪飾りだ。私には必要のないものだけど、売ればけっこうなお金になりそう。


 ほくほく顔で帰ろうとした時、奥にまだ部屋があるのに気付いた。奥の部屋を開けると、長い廊下が続いていた。ここまできたら、奥まで行かないのは勿体ない。


 長い廊下に足を踏み入れた。廊下は一定間隔毎に、蝋燭が掛かっていたので、暗くて前が見えないということはなかった。


 廊下の奥、そこに先には進ませない、というように魔物が立っていた。魔物を鑑定する。


 その魔物はキュアゴーレム。


キュアゴーレム Lv10

スキル ヒール ゴーレムの守り 岩パンチ


 ヒールは自分の体力を回復するスキルで、ゴーレムの守りは自分の受ける物理ダメージと魔法ダメージを30%カットするスキル。岩パンチは岩を壊すくらいの威力でパンチするスキルらしい。


 とりあえず岩パンチを食らわないように距離を取って、スキル【破滅の旋律】を発動する。地面から音符が浮かび上がり、キュアゴーレムに命中する。これでキュアゴーレムはHPが半分を切るまで、ダメージを受け続ける。


「【反転(呪)】!」


 次に私は【反転(呪)】を発動する。この昨日手に入れた【反転(呪)】スキルは、敵の回復効果を呪い効果に変えることが出来る。このキュアゴーレムみたいな回復スキルを使える敵にはぴったりのスキルだ。


 【破滅の旋律】の効果で、敵のHPが半分を切るのを距離を取って待つ。1分ちょい経つと、敵のHPは半分を切った。そこでキュアゴーレムは回復スキルを使った。すると回復スキル効果が呪い効果に変換され、ダメージを受ける。キュアゴーレムはまた回復しようとするが、呪いダメージを受ける。


 このスキルかなり強いね。自分のスキルの効果を目の当たりにして、その強さを実感しながら、トドメを刺す。


「『防御力デバフのプレゼント』!」


 敵の防御力を下げる。


「『アーチタクト』!」


 指に込めた魔力が小さな光線となって飛んでいく。これでキュアゴーレムは消滅した。


 キュアゴーレムが消滅すると、経験値が入ってきた。落としてアイテムを回収し、その先にあった黒い扉を開く。


 その扉の先にあったのは、宝箱が3つだけだった。他には何もない。さっきの部屋より小さな部屋。


  3つの宝箱はそれぞれサイズがバラバラだった。1畳くらいのスペースを占領している大きな宝箱と、5個セットになって売られている箱ティッシュが丸々入りそうな中くらいの宝箱、そして指輪くらいしか入りそうのない小さな宝箱。


 宝箱の前に紙が置かれていたので、メッセージを読む。


 汝、3つの宝箱のうち、1つだけを手にすることを出来る。


 書かれていたのはこれだけだった。


 どれか一つだけ貰えるってことね。どれにしようか。けっこう悩む。ダメ元で、鑑定眼を使ってみたけど、中身は分からなかった。


 大きな箱より小さな箱の方がいい物、っていうのは物語の定番な気はするけど。この小さな宝箱の中には精々指輪とか石とかそのくらいしか入らなさそう。試しに持ってみると、小さな宝箱は軽かった。


 中くらいの宝箱と大きな宝箱も持ってみる。大きな宝箱は軽い。物入ってる? これ。中くらいの宝箱は物がちゃんと入っていそう。重みを感じる。


 私は少し悩んだ末、中くらいの宝箱を選んだ。1番物が入っていそうな気がしたから。宝箱を開くと、中に入っていたのは五寸釘とかなづちと藁人形と呪いガチャチケット。呪いと私は縁でもあるのだろうか。誘いのスライムが呪い系のスキル持ってたのも関係あるかもしれないけど。


 ここまで来たら、呪いを極めようかな。


 さっそく呪いガチャチケットを回すと、


スキル レア度SR 【呪い】

自分が1ダメージでも与えた敵、もしくは触れた敵を相手を1分間呪い状態にする。呪い状態になった敵は10秒毎に、残りHPの10%のダメージを受ける。


 これは誘いのスライムが持ってたスキルだ。SRだし、けっこういいスキル。ちなみにクールタイムは3分。さっそくセットする。するとMP+25のステータス補正が付いた。


 五寸釘とかなづちと藁人形は3点で1セットらしい。これらの効果はというと、呪いたい敵の魔物や人の所有するアイテムや物、もしくは体の一部を、藁人形のポケットに入れ、五寸釘をかなづちで打つと、敵にダメージを与えられる。与えられるダメージは相手の物理攻撃力に依存する。相手の攻撃力が高ければ高い程多くのダメージを与えられる。ただし呪えるのは一度につき一人、もしくは1匹だけ。


 結果を見たら、私が引き当てたのは当たりだったと思う。【呪い】スキルはけっこういいスキルだし、藁人形セットも上手く使えば格上にも勝てる可能性のあるアイテムだ。


 ちなみに大きな宝箱と小さな宝箱は消滅していた。


 藁人形を見た私はある妙案を思いついた。SCR獲得ミッションの時にゲットした魔杖化石、これを使って、藁人形を杖にしようと。魔杖化石を使うと、どんなアイテムでもそのアイテムの効果や見た目をそのままに、杖に変えることが出来るらしいのだ。


 杖に変えるというより、杖の機能を付けると言った方がいいか。通常魔法攻撃を打てる機能を付けるのだ。


 基本的にアイテムにレア度はないので、どのレア度の武器になるかは分からないけど、武器は進化させたら、レア度が上がるからね。


 まあレア度が上がったら、ステータスは上がるけど、武器の元々の効果とかは元々のレア度が高い方がいいし、進化しても変わらないことが多いから、元々のレア度が高いのに越したことはないけどね。


 ただ、基本的にアイテムを杖に変えるのは錬金術師と鍛冶職人にしか出来ないらしい。だから街へ戻ったら、職人さんにお金を払って依頼しないとね。ちゃんと信頼出来そうな人を探して。依頼するためにお金を貯めなきゃ。やることがいっぱいだ。


 そんなことを考えながら、最初の机や椅子が置かれた部屋に戻って、お弁当を食べていた。今日の昼ごはんもサンドウィッチだ。最近サンドウィッチばっかり食べてる気がする。



 少しお昼休憩を挟むと、誘いのスライムの隠れ家を出た。ちゃんと鍵を閉めてね。ここは何回でも来れるし、秘密基地にでもしようかな、なんて思いながら。


 とりあえず藁人形の性能を試したい。藁人形は特に使用回数とか制約がある訳ではないので、試してみて損はないだろう。


 帰り道に見かけたスライム。


スライム Lv1

スキル 溶解


 鑑定すると、かなり弱いことが分かった。これなら近付いても大丈夫だろう。


 スライムは木の棒を持っていたので、後ろからこっそり近付いて、木の棒を取り上げる。この大きさでポケットに入るか? と思ったら、ポケットより大きい木の棒がすっぽりポケットの中に吸い込まれていく。質量保存の法則を無視していた。まあそもそもここは異世界……というかゲームの世界だしね。


 私はかなづちを持って、五寸釘を打つ。カーン、カーン、と少し不気味な音がした。


 スライムの方をみると、HPバーは減っていた。スライムの物理攻撃力が低いからか、少しだけだけど。このまま打つ続けていると時間がかかりそうなので、通常魔法攻撃で倒させて貰った。


 これは物理攻撃力が高いやつと戦う時に有効そうだ。そもそも物理攻撃力の高いやつからどうやって、その人のアイテムや体の1部を奪うかとかいう問題は発生するけど……。まあそれはその時だ。


 スライムを倒し終わったので、ポケットから木の棒を取り出す。性能はこれでよく分かった。


 その後は、スライムや狼といった敵をひたすらに狩っていた。【破滅の旋律】からの【呪い】コンボが強い。



ブクマや評価等ありがとうございます!励みになります。今日は筆が進んだので、一気に3話更新。基本的にはストックに追いつかれるまで、しばらくは1日1話投稿の予定です。


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