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第52話 2号店の土地探し

 次の日の朝のこと。私達は不動屋さんへ行こうと話していた。ルージュちゃんの店第2号の土地を選ぶためだ。生産職には職業のレベルがあるのだが、トレーダーの場合レベルが上がると、出来ることが増える。


 ルージュちゃんはレベルが上がり、2店目を建てられるようになったらしい。2店目は違う街に建てたいらしく、この街で建てるらしい。


 ミシェラの街はかなり大きな街だからね。始まりの街の数倍大きく、私達がいるペガサス王国の五大都市の一つだ。


 それに違う街に店を建てるメリットは大きい。店を複数建てると、転移陣で、自分の店同士を行き来出来るようになるらしい。


 離れた街や国にある店でも、トレーダーは転移陣を買って、設置したら自由に行き来出来る。移動手段としても便利だよね。


 始まりの街とミシェラの街を行き来するのに、毎回あのめんどくさい魔物が多い森を通りたくない。ああいうのは1回でいいよね。


 という様々な事情で、ルージュちゃんは店をミシェラの街に建てると決めていた。


 土地を買おうとしたら、不動屋さんから買わなくちゃいけないのはこの世界でも同じだ。だから私達はこの街で1番大きいと言われている不動屋さんにやってきていた。もちろん不動屋さんはNPCショップ。



 不動屋さんに行くと、若い男性が応対してくれた。NPCの店員だ。ていうか見た感じこの不動屋さんNPCしかいなさそう。


「店を開きたいと考えてるんですよ!」


 ルージュちゃんが男性と会話する。私達はルージュちゃんのおまけみたいなものなので、黙って話を聞く。


「予算はどのくらいですか?」


「そうですね……。1000万マルくらいでしょうか」


 ルージュちゃんが予算を告げると、男性の方は驚いた顔をする。この世界での1000万は元の世界での1000万より大金だ。普通の人がぽんと出せる金額じゃない。


「失礼ですが、金額はお持ちで……?」


 男性の方は私達のような若い少女達がそんな大金を持っているのが信じられないらしい。疑うような視線で私達を見つめる。まあ疑われるのもしょうがないよね。身分証もEランクの冒険者だし。


 ルージュちゃんは自分がお金を持っていると証明するために、何枚かの白金貨を見せる。白金貨はこの世界で1番高価なお金で、1つ100万マルの価値がある。


 私達は珍しいクエストとか、イベントでマルを稼いだけど、あんまり消費してないから、けっこうマルを持ってる。私達の中でもルージュちゃんは店が繁盛してるからね。爆弾といえば、ルージュちゃんの店ってくらいの評判だ。


「大変失礼しました! 上の人を読んできます!」


 男の人はルージュちゃんの見せた白金貨に飛び上がるように驚き、頭を下げると、慌てて店の奥に引っ込んでいった。


 男の人の白金貨を見せた時の驚きようは凄まじかった。目から鱗が出る勢いだったよ。


「お偉いさんが来るのかな?」


「お偉いさんってどんな感じなんだろうね。白髪生えてそう」


「アナちゃんは不動屋さんのお偉いさんにどんなイメージを持ってるの?」


 私達がそんな失礼な話をしていると、さっきの男性が上司と思われる男性を呼んできた。上司の男性は思ったより若かった。中年くらいの男性である。ちなみに白髪は生えていなかった。


「私が案内させていただきます」


「あ、はい。よろしくお願いします」


 恭しく頭を下げる男性にルージュちゃんや私達も何となく頭を下げる。


「場所ですが、どの辺りをご希望でしょうか?」


「冒険者が多く通るところがいいですね!」


 ルージュちゃんは、はっきりと自分の希望を伝える。その顔はとても生き生きとしていた。


「冒険者向けの商品を取り扱うおつもりですか?」


「はい! 爆弾とか装飾品とか装備品なんかを売ります」


 爆弾という言葉に店員さんの笑顔は引きつっていた。がそこはプロ。すぐに営業スマイルに戻った。


「でしたらこの辺りがいいかと……」


 店員さんは街の簡単な地図を見せながら説明をする。何箇所か候補を教えてくれて、実際に見て決めようとなった。


 紹介してくれたのは、店の多く並ぶ通りや冒険者ギルドの近く。


 不動屋さんのおじさんの案内で、私達は店の候補を見て回る。


「こちらの土地は観光客が多く通るので、装備品なんかは売れると思いますよ」


  1件目は観光スポットがたくさんある辺り。色んな店が並んでいて、オシャレだ。お客さんもけっこう多そう。


 しかも元々可愛らしい店が用意されているので、建設費がかからない。


「ここもありだね」


 ルージュちゃんはまじまじと店を眺めながら言う。


「観光スポットの近くだから観光も楽しめそうだよね」


 観光スポットは色々あるらしいし、時間がある時に観光したい。最近クエストとかイベントとか動いてばっかりだから、たまにはゆっくり観光するのもいいと思うの。



  1つ目を目に焼き付け、2つ目の店を見る。2つ目は冒険者ギルドの近くで、すごく土地は広いけれど、あんまり人の気配はない。夕方は仕事終わりの冒険者が多いみたいだけど。周りには飲み屋なんかが多い。


 この土地に建てられていた建物も取り壊されているので、店を建てるところから始めるのにはいいかもしれない。



 私達は順番に候補の土地を見る。


  3つ目は店が多くある通り。色んなお客さんが来るらしいし、それなりに土地も広い。周辺はレストランとかポーション等のアイテム屋とかオシャレな雑貨店等なので、ルージュちゃんの取り扱う店の商品とそこまで競合しなさそうだ。


 前はレストランだったらしいが、少し前にレストランは閉店されたそうだ。他のレストランとの競合に負けたらしい。


 建物はそのまま残っているので、取り壊して建てるか、そのまま建物を使うか選べる。


 ここは場所はすごくいいけど、少し縁起が悪いのが難点だね。


「この辺りは冒険者もよく食事や買い物に来られるんですよ。あそこの店は毒消し専門店ですし、あちらはポーションで話題の店です。ルージュ様の爆弾とも競合しませんし、冒険者も多いので、おすすめでございます」


「確かにいいかも……。でも全部見て考えたいです」


「もちろんですとも」


 私達が最後に、見たのはお金持ちの多そうな通りにある店だ。裕福な人が買い物に来るらしい。裕福な人は1回の買い物で、たくさん買ってくれたりするからね。冒険者ギルドランクの高い冒険者とかもよく来るらしい。


 豪華なお店が元々用意されていた。ちなみに値段はここが1番高い。まあそうだよね……。富裕層が多そうなところだし。



「こちらの店ですと、店内のインテリアが準備されております」


 見してもらったインテリアは豪華で高そうだった。初めから付いてくると買わなくてもいいけど、自分で店をプロデュースする楽しみもなくなるから考えものだよね。



「うーん、ちょっと考えさせてください」


 ルージュちゃんは考え込む仕草をする。大きな買い物だしちゃんと考えないとね。


「分かりました。いつでもお待ちしております」


 不動屋さんのおじさんはそう言うと、恭しくお辞儀をする。そこで不動屋さんのおじさんとは別れた。宿まで馬車で送ろうかと言われたけど丁寧に断った。


 私達は近くのカフェに寄ると、話し合いを始める。どの土地を買うかについて。不動屋さんの前だと堅苦しい雰囲気で、軽いノリで話し合える感じじゃなかったからね。


「第1回! 私の店の土地をどれにするか会議を始めたいと思います!」


「じゃあ議長は拙者が務めます」


 なんだかんだで皆のりがいいので、変なテンションで

会議を開く。


「では意見がある人はいますか?」


 茶々さんがそれっぽく尋ねる。


「私は1つ目の観光スポットの近くがいいと思います。それか3つ目の商店街みたいなところ」


 私もノリに乗って、それっぽく言う。最初の店の近くと3つ目の店の近くはけっこう人いた。プレイヤーも割といたから来てくれるんじゃない? その2つは近くに馬車の停留所があって、交通的にも便利そうだし。


「私的には3つ目の店がいっぱいある通り気になってる!」


 ルージュちゃんは3軒目が気になってるらしい。3軒目はかなり良かったよね。


「私はどこでもいいわ。でもせっかくなら建物とか内装とかも自分で決めた方が楽しそうじゃないかしら?」


 確かにねぇ。そう考えると、インテリアが付いてくる四つ目はなし? 付いてきても売ればいいんだろうけど、なんか申し訳ないし。



「皆の意見を纏めると、3つ目がいいんじゃないですか?」


「「「そうしよう」」」


 あっさりと店は決まった。

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