第17話 帰還と打ち上げ
「ドロップした報酬についてはどうしましょう」
「私はゴスロリと称号入手出来たので、後は2人で分けてください」
ゴスロリと称号が手に入ったので、正直もう後は何にも貰えなくても気にならない。この2つがすっごく気に入ったのだ。
「いえ、そもそもこの部屋にはアナスタシアさんがいなければ入れなかったですし、ドロップ品は3人で分けましょう」
「そうだな」
そう言って貰えたので、他のドロップ品を分けてもらうことにする。まず他のドロップ品がどんなものか確認した。
私達はドロップ品と向き合う。呪われたゴーレムからドロップした武器進化石と古の呪いの魔石、呪花の種それからSSRのイヤリングをどう分けるかだ。
「俺は出来れば武器進化石が欲しいが……」
ライアンさんは今持っている武器を進化させたりして強くしたいらしい。さっきも武器進化石欲しがってたもんね。
「私は出来たら、古の呪いの魔石がほしいですね」
イヤリングはそんなに魅力を感じる性能じゃなかったし、古の呪いの魔石がほしい。武器進化石も私の武器はSSRだから、今はとりあえずいいかな。武器はいいから、他の装備もSSRにしたい!
「なら拙者はイヤリングを貰いましょうかね」
「俺は武器進化石を貰う。残りの2つは呪いスキル持ちのお前が持ってたらいいじゃないか」
「2つもいいんですか?」
「お前の呪いスキルがなかったら、ここまで来れなかったしな」
その言葉に茶々さんも頷く。2人にそう言って貰えたので、有難く貰っておくことにする。
というわけで、しばらく話し合いをした結果、ライアンさんが武器進化石を、茶々さんがイヤリング、私が古の呪いの魔石と呪花の種を貰うことになった。
その他のドロップ品は適当に分け合った。そして向こうに帰る前に、友達登録をした。私の友達登録されている友達が3人になった。やったね!
やるべきことを終えた私達は魔法陣の上に乗る。魔法陣が眩く光り、その光に包まれると、元いた始まりの街のギルドの雑談室に戻っていた。
ーー「呪いの遺跡」エリアから始まりの街に転送しました。
戻ってきた私達はとりあえず打ち上げをしようとなった。3人で無事クリアして、アイテムなんかも色々ゲット出来たお祝いだ。
「「「かんぱーーい」」」
ギルドの近くの店に入って夜ご飯を食べながら乾杯する。3人とも未成年だから、ジュースだけどね……。茶々さんとライアンさんは雰囲気を出すために炭酸ソーダを飲んでいるが、私はりんごジュース。炭酸飲めないんだよね。あの舌が変になる感じが苦手で。
料理を楽しみながら、雑談に盛り上がる。
「アナスタシアさんは呪いを極めるんですか?」
「呪い系のスキルが偶然最初にいくつか手に入ったので、ここまで来たら極めようかなって!」
私は呪いマスターを目指すつもりでいるからね。このゲーム内で呪いといったらアナスタシアというくらいの存在になるつもりだ。そこまでは恥ずかしいから言えないけど。
「呪いスキルはえげつなかったな……」
私の【反転(呪)】スキルを思い出したのか2人は苦笑いする。
「そういう2人は何か極めたりしないんですか?」
「拙者は刀術を極めようとは思っていますよ。最強のクノイチ目指してます」
刀っていいよね。ちょっと憧れる。1回だけ刀で戦ってみたい。まあ物理攻撃力低い私には無理そうだけどね。私の物理攻撃力77だし。私は物理攻撃力だけどうしたんだろうねってくらい著しく低いので。
それは私が物理攻撃力が下がる精霊を選んだから仕方ないことなんだけどね。精霊のお陰で魔法系のステータスが大幅に上がったので、悔いはない。
「刀ってかっこいいですよね……。1回刀使って戦ってみたさあります」
「けっこう難しいですよ。拙者はリアルでも居合道を習っていたので、割と戦えていますが」
居合道ってあれだよね。昔の刀で戦うやつ。実際に習っている人とは初めてあった。
「居合道なんてやってるやつ初めてみたぞ」
だよね、ライアンさん。中々周囲にはいないよね。特にゲーム好きなインドア派の周囲には。
「そういうライアンさんはどうしてガーディアンを?」
私達が驚いていると、茶々さんは少し恥ずかしそうにした後、話を逸らした。
「盾職はかっこいいと思ってな。重装備への憧れもあるか」
「それ重たくないんですか?」
気になっていたことを尋ねた。重装備重そうだなってずっと思ってたんだよね。
「少し重たいが、慣れれば苦じゃないぞ」
「そうなんですね」
私達はわいわい自分たちのゲームのことで盛り上がっていた。いつの間にか夜10時頃になったいたのでお開きになった。2人はずっと泊まっている宿があるらしく、店の前でさよならした。
楽しかったなあ。最初地雷達が好き勝手してる時はどうなるかと思ったけど、地雷達がリタイアしていった後は楽しかった。茶々さんとライアンさんといい感じに連携取れたし、アイテムもドロップしたし! 打ち上げも盛り上がったしね。
私はルンルン気分で家に帰った。家に帰ると、ルージュちゃんが駆け出してきて、出迎えてくれた。
「アナちゃんおかえりーー。どうしたの? そのゴスロリっぽいの。すごい可愛い! 似合ってるよ」
ルージュちゃんは私を見るやいなや、少し驚いた顔をした後、ゴスロリを褒めてくれた。
「ただいま! このゴスロリはドロップしたの。私の欲しかった念願の呪い系の防具! しかもSSRだよ」
「また1歩呪いマスターに近付いたね! 他にもなんかドロップしたの?」
「後はSSRの称号もドロップしたよ。【古の呪術師】ってやつ。私の欲しかった呪いの称号! 称号名もかっこいいし、行った甲斐があったよーー」
「いいなあ、強そう。あ、そうだ。私も今日強いスキルゲットしたの。SSRの【殺意の爪】ってスキル」
「強そうなスキル! いいね。爪ってなんかかっこいいよね」
私達はリビングに移動すると、お茶を飲みながら今日のことを話す。私は茶々さんやライアンさんと言った友達が出来たことや、地雷3人衆の愚痴、遺跡探索や打ち上げが楽しかった話をした。
「茶々さんの刀術はすごかったの!」
「刀かあ。憧れるなあ。1回使ってみたい」
「ね。分かる」
ルージュちゃんと刀への憧れを分かち合った。
ルージュちゃんの話も聞く。ルージュちゃんは今日は1人で、枯葉の森にレベル上げに行ったらしい。そこで、たまたま倒した魔物からスキルをドロップしたらしい。初めてのSSRスキルらしく、とても嬉しそうに話していた。レベルも18になったらしい。
「このスキル試してみたけど、けっこう強いんだよ。今までは爆弾投げるだけだったけど、色んな闘いが出来そう」
「爆弾に爪って危ない香りがする」
「呪いよりは危なくないよーー」
そんな話で盛り上がっていると、時計が12時を回っていたので、そろそろ寝ようとなった。楽しい時間はあっという間にすぎるよね。
部屋に戻った私は、寝る前にステータスポイントの割り振りをする。スキルポイントは手に入ったけど、まだ保留にしとく。とりあえずステータスポイントだ。
ステータスポイントは140ある。レベル20に上がったボーナスで100貰えたからね。10上がるごとにステータスポイント100のボーナスが貰えるのは戦闘職の特権だ。生産職は100のステータスポイントのボーナスはない。1上がるごとに10ステータスポイントが貰えるのは生産職も同じだけどね。
うーん、どうしようかな。今回の遺跡探索で、MPが何回かきれたんだよね。MPポーションがあったら良かったけど、【反転(呪)】スキルはMP消費が激しいし、MPを増やすべきかな。
私は少し迷った後、MPに140割り振った。私のMPは4万4000を超えた。ちなみに今の装備とステータスはこんな感じになった。
アナスタシア Lv21
HP 1124
MP 44450
物理攻撃力 77
物理防御力 906
魔法攻撃力 5515
魔法防御力 7310
魅力 1023
器用 532
運 1960
ステータスポイント 0
カルマ値 783
ギフト
女神の祝福 鑑定眼 MP消費20%カット アイテムボックス
アクティブスキル
『ダークアラウンド』『防御力デバフのプレゼント』
『リヴァインキュア』『大地の舞』『アーチタクト』
『闇精霊の導き』
コモンスキル
SCR【反転(呪)】UR【破滅の旋律】SR【呪い】
SSR【アラウンドヒール】N【貝拾い】N【手を上げる】
称号
SSR【古の呪術師】NR【見習いマジシャン】NR【花屋の娘】
やることを終えると、だらあとベッドに手足を投げ出して横になり、目を閉じる。この世界に来てから7日目の夜かあ、なんて思いながら。