第16話 遺跡のボス
私はこの禍々しいオーラの魔物を鑑定する。
1000年の呪われた魂 Lv15
スキル 呪い 闇弾 古の呪詛
称号 古の復讐者
「呪いと闇弾スキルを持ってます。後混沌の呪詛っていう呪いスキルを持っていて、最後まで呪いの呪文を聞くと、呪い状態になります」
「呪いの呪文を唱えられないように口を封じるぞ」
ライアンさんが敵に剣で近付き、口の辺りを重点的に攻撃する。
「【破滅の旋律】『防御力デバフのプレゼント』『大地の舞』」
呪いをかける。そして敵の防御力を下げるスキルや味方の攻撃力を上げるスキルを使う。それから、私は初めて使うスキルーー『闇精霊の導き』を発動した。すると、小さな闇精霊が1体現れて、闇魔法で、1000年の呪われた魂に攻撃してくれる。私がもう一度『闇精霊の導き』を使うと、もう1体闇精霊が現れて、攻撃を始める。
闇精霊達の魔法攻撃はけっこう効いているみたいだ。私も通常魔法攻撃で援護する。
「ЙМЛЕСПбжфщюΖ……」
1000年の呪われた魂は何やら呪文を唱える。口の当たりはライアンさんの攻撃で、かなりやられていたが、まだ呪文を唱える力があったようだ。
呪文を聞いたことで、呪い状態になったようで、私の体のHPが減り始める。10秒毎に残りHPの10%のダメージを受ける。この呪い効果は3分間続くらしい。HPが削られる前に決着を付けないと。
1000年の呪われた魂の残りHPはもう4分の1を切っている。後少しだ。
「【ヒールアラウンド】【呪い】」
とりあえず私は2人のHPを回復するスキルを使う。そしてまたもや呪いをかける。
最後に仕上げだ。私はMPポーションを飲み干した。そして3人で猛攻撃をかける。
「【天魔切り】!」
茶々さんが刀を華麗に奮う。
「『岩潰し』」
ライアンさんが大きな剣を力強く奮う。
「『アーチタクト』!」
私の指から飛んでいった魔法の光線かトドメになったらしい。1000年の呪われた魂は消滅した。経験値が入り、レベルが19になった。その時にいくつかのアイテムをドロップした。
その中には私達が探していた鍵があった。他にも武器進化石や武器強化石、それからSSRのゴスロリとSSRの刀、SR以上確定武器ガチャをドロップした。
これは私がゴスロリ、茶々さんが刀、ライアンさんがSR以上確定武器ガチャと武器進化石、武器強化石を貰うということで意見がすぐに一致した。
SSR 【1000年の呪いのゴスロリ】
呪い状態の敵に与えられる通常魔法攻撃のダメージ量や魔法系のスキルのダメージが上がる。少し移動速度が上がる。
さらに身に付けると、MP50のステータス補正が付くらしい。これが私の探し求めていた呪い系の防具だだ。やったね。来た甲斐があったよ。
ゴスロリの見た目はというと、長袖のワンピースタイプ。それで首から胸のあたりまでや袖は、白を基調としていて、ブラウスみたいになっている。腰の辺りから下は黒が基調になっている。とても可愛らしいデザインだ。
私は2人には上に行ってて貰い、ちゃちゃっとゴスロリに着替えた。スニーカーにゴスロリっていうアンバランスな格好になっているが、細かいことは気にしない。帰ったら靴は絶対に変えようと決意する。
私が地下室から出ると、2人は壁に寄りかかって待っていた。待たせてごめんよ、2人とも。
「お待たせしました」
「似合ってますよアナスタシアさん。藁人形とマッチングしてますね」
「大分雰囲気が変わったな……」
「あはは、さっきのドアの所に行きましょう」
茶々さんはさっそくSSRの刀を装備したようだ。茶々さんの新しい刀は禍々しい気を放っていた。
私達は周囲の魔物を蹴散らしながら、2階の鍵のある場所に戻ってきた。茶々さんが鍵を差し込んで回すと、カチャという音がして、鍵が開いた。
私達はさっそく入る。中には何もなかった。
ーー「呪いの遺跡」クエストをクリアしました。
アナウンスが流れる。そして魔法陣のようなのが書かれた場所がある。あそこの上に乗れば、クエストから出られるらしい。最後にラスボスでもいるのかと思ったけどそんなことなかった。あの1000年の呪われた魂がラスボスだったのかな?
私達は帰ろうと思えばいつでも帰ることが出来るわけだけど……。その前に1つ気になることがあった。それは奥ににもう1つある扉だ。茶々さんも同じことを思ったらしい。奥にある扉にゆっとりと手をかけ、開こうとする。しかし扉は開かない。鍵がかかっているわけではないのに。
ーーこの扉を開ける資格がありません。呪いの力を持つもののみがこの扉を開けることが出来ます。
無機質なアナウンスが流れた。呪いの力を持つもの……かあ。茶々さんとライアンさんは私の方をじっと見ている。
あ、呪いのスキルを持っている私なら開けられるかもしれないってことか。試しに開けてみよう。試してみて損は無いはずだよね。
私が扉に手をかけ、開こうとすると……、開いた。ギィと重苦しい音がする。私達は顔を見合わせた後、中に入った。
中には1体の巨大な禍々しいオーラを放ったゴーレムがいた。なんか強そうだ。
ーー「呪いの遺跡」裏ボスの「呪われたゴーレム」が現れました。
呪われたゴーレム Lv20
スキル 呪い 鉄壁 呪いパンチ 呪い光線
称号 古の呪いの遺物
呪われたゴーレムのステータスはこんな感じだった。裏ボスなだけあって、強そうなスキルを持っている。
「呪いと鉄壁スキルを持ってます。それから呪いのパンチと呪いの光線も打ってきますね」
私がゴーレムのスキルを説明している間に、ゴーレムはパンチを打ってきた。私達は躱したけど、すごい威力だ。地面が粉砕している。
私達は連携を取って、呪われたゴーレムに攻撃し始める。呪いの遺跡では、ほとんどずっと3人で魔物を倒してきたので、慣れたものだ。上手く連携を取れていた。
私は呪いをかけ、バフやデバフをばら撒く。ライアンさんはヘイトを集めながら、攻撃を加える。茶々さんは刀で切りかかる。
そんなことを繰り返していると、呪われたゴーレムのHPバーが半分を切った。今まで鉄壁や呪いパンチしか打ってこなかったゴーレムの目から光線が発射される。この光線に当たると、大ダメージを受けるだけでなく、呪い状態となる。
この光線は遠距離にも打ってくるので厄介だ。慌てて、しゃがむ。何とか躱すことが出来た。こっちの世界に来てから、反射神経が良くなった気がする。魔物と戦っているからだろうか。
ゴーレムはまた光線を打ってくる。くるくる回りながら光線を打つ。躱そうとしたけど、早くて追いつけない。1発くらってしまった。私が体勢を崩してしまう。その隙をゴーレムは見逃さない。
「『闇精霊の導き』」
まずい。とっさの判断でスキルを発動する。闇精霊に闇魔法を使ってもらう。私を攻撃しようとしたゴーレムは突然現れた精霊に気を取られたのだろう。その隙にHPを回復し、距離を取って、体勢を立て直す。
「【呪い】」
そして【呪い】スキルのクールタイムが終わったので、ゴーレムを呪う。茶々さんやライアンさんも大ダメージを与えるべく大きなスキルを使う。
あと一息。もう少しで、呪われたゴーレムを倒せる。私達はタイミングを合わせて、スキルを発動する。
「『アーチタクト』」
「【閻魔の舞】」
「『破壊剣技』」
呪われたゴーレムのHPを完全に削りきった。そして呪われたゴーレムが倒れ、経験値がたくさん入ってくる。レベルが21になった。後アイテムもドロップした。
ーー呪われたゴーレムの討伐おめでとうございます。呪いの力を持つあなたに称号【古の呪術師】を授けましょう。
システムから声が聞こえた。私に称号をくれるらしい。さっそく称号の性能を見てみる。
SSR【古の呪術師】
自身が呪い状態にした、呪い状態中の敵のMP消費量が10%アップする。自身の時間制の呪いスキルの効果時間が30秒増える。また、セットするとMP+50のステータス補正が付く。
これも呪いマスターを目指す私に嬉しい称号だ。SSRの呪いの称号とゴスロリをゲット出来て、私は大満足していた。