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第15話 遺跡探索

「あの3人のことは放っておきませんか? あの3人が諦めてリタイアするのを待ちたいです」


 私の意見に2人とも賛成してくれた。2人ともあの地雷3人衆の言動には腸が煮えくり返っていたのだろう。私達3人はゴーレムと地雷達の戦いを見物する。


 拓斗さんはダメージを与えられているみたいだけど、すぐにキュアゴーレムが自分や味方を回復する。ゴーレムのHPは全然減っていない。


 それに対して、3人はゴーレムの高威力の粉砕パンチにやられて、厳しそうだ。3人はこちらを振り返って、何かを言っているようだが、かなり距離があるので、何を言っているのか全く分からない。


 あの3人連携も取れてないし、ステータスを鑑定すると、レベルは15で、有効そうなスキルや称号も持っていない。長くは持たないだろう。


  1時間ほど攻防を続けていた。私は暇だったので、茶々さんやライアンさんと雑談したり、ルージュちゃんとチャットしたりしていた。割と楽しい時間だった。


 私達が盛り上がっていたら、3人衆の1人である金魚の糞の雄司さんがこっちに来た。3人でもキツそうな戦いなのに、1人抜けて大丈夫なのだろうか。


「手伝ってくださいよ。こんなところで何やってるんですか」


「私達のこと使えないって言ってたじゃないですか。使えない私達はここで見てるので、どうぞ3人で倒してください」


 皮肉たっぷりに言い返してあげた。雄司さんは言葉に詰まっているようだった。


「後悔しますよ!」


 やがて捨て台詞を吐き捨てて、ゴーレム戦に復帰した。それから少し立った時、そろそろHPが厳しいと思ったのか、3人はリタイアしていった。全ての所持アイテムを落として。


 私達は地雷3人衆がリタイアすると、ゴーレムと向かい合う。ゴーレムを倒すために。


「あの3人がリタイアしたのはいいが、俺たちだけで倒せるか?」


 不安そうにするライアンさん。


「何とかなりそうです。私は敵の回復効果を呪い効果に変えるスキルを持っているので。敵は10分間は回復出来ません。その間に敵のHPを削り切りたいですね」


「便利なスキルを持っているのだな……。了解した」


「【反転(呪)】! このスキルの効果が切れる前にキュアゴーレムを倒したいです。キュアゴーレムから狙ってください!」


 反転スキルを発動する。それを合図に、茶々さんとライアンさんがキュアゴーレム2体に集中攻撃する。キュアゴーレムは回復しようとする。しかし、回復効果は呪いダメージに変わった。キュアゴーレムは茶々さんとライアンさんの攻撃、そして自身の回復スキルによって消滅した。その後、ゴーレムも倒しきった。



「やりましたね。アナスタシアさんのスキルはえげつないですね……」


「ないすだ」



 私達3人はハイタッチして、喜びあった。ゴーレムのドロップ品と、地雷3人衆が落としたアイテムを回収する。落としたアイテムって言っても、さっき奪い取った武器進化石以外はポーションと魔除スプレーくらいしかなかったけどね。


 もちろん本人達に返す気なんてない。これは迷惑料として貰っておく。


 あの3人には嫌な思いをさせられた。けれど全ての所持アイテムを落として、呪いの遺跡チケットを無駄にしたと思えば、あの3人のことは綺麗さっぱり忘れられそうだ。呪いの遺跡チケットって簡単にドロップ出来るものじゃないからね。


 ドロップ品は後でクエストをクリアしてから分けようという話になり、とりあえずは茶々さんが保管しておくことになった。



「気を取り直して、中を散策しましょう」


「行きましょう!」


 私達はさっきとは一転、和気あいあいと遺跡の中を探索する。平和だ。


 遺跡の中は、やはり不気味だった。時々変な音するのがめっちゃ気になる。カタカタ……とか、ピチャとか何の音?


 それから遺跡の中には呪われた魂がたくさんいた。私が呪いをかけたり、バフやデバフを撒いて、ライアンさんがヘイトを取る。茶々さんが切るといった感じで上手く連携が取れていた。そして魔物をけっこう狩ったのでレベルが19に上がった。


 しばらく歩いていると、何やら上へ続く階段がある。その前にはボタンがあった。何だろうこのボタンは。すっごい押したい衝動に駆られるんだけど。


「押してみてもいいですか?」


「危険じゃないでしょうか……」


「辞めておいた方がいいと思うが……」



  2人に止められたので、断念する。ふと下を見た時、階段の目の前に紙が置いてあるのに気付いた。私はそれを屈んで拾い上げる。中には汚い字で、こう書かれていた。


ここへきたものへ

あのボタンを押してはならない。しかしあのボタンを押さないと進めない……。あのボタンには全てが眠っている。



 どういう意味だろう。結局押した方がいいの? 押さない方がいいの? どっちなのこれは。そこをはっきりして欲しかった、この紙を書いた人には。


 私達は手紙を一応回収して、とりあえず先へ進もうとなった。薄暗い階段を登って、上のフロアに移動した。


  2階も1階とあんまり変わらない。古びた床が割れそうで少し怖い。床抜けないかな? なんて心配をしていた。


  2階の薄暗い廊下を散策していると、今度は数体のガイコツが現れた。カタカタという音をたてながら。カタカタ言ってた不気味な音の正体はガイコツだったのね……。


 ガイコツを鑑定する。


ガイコツLv12

骨投げ 呪い 分解


「気を付けてください。骨を分解して、投げてくるみたいです。後呪いスキルも持ってます」


「了解しました」


「把握した」


 ガイコツは自分の頭の骨を分解して、私達に投げつけてくる。私達はなんとかそれを躱す。骨は私達の横を掠めて、ブーメランみたいにガイコツの元に帰っていった。


「【破滅の旋律】!」


 音符が浮かび上がり、ガイコツに命中する。ガイコツが呪い状態になる。ガイコツが弱っている隙に私達は最大火力を叩き込む。くのいちの茶々さんの刀さばきがすごい。舞うように敵を切っていく。



  2階の魔物も私達3人で、殲滅していく。2階のフロアをずっと進んでいくと、豪華な装飾がなされたドアが見えた。ドアを開けようとしたけど、開かない。どうやら鍵がかかっているようだ。ここから先は進めない。その時、ふとあの紙が頭をよぎった。


 やっぱりあのボタン何かあるんじゃないのかな。あの紙にもボタンを押さないと進めないとか書いていたし……。


「あのボタン押してみません?」


「確かに……、手がかりはあのボタンくらいですしね」


 私達はボタンの場所に戻ることにする。魔物と出くわしたりしたのでそれなりの時間を要したが、私達はボタンの場所に戻ってきていた。私はボタンの所に手を当てて尋ねる。


「押していいですか?」


「そんなに押したいのか……」


 茶々さんとライアンさんは苦笑いする。こういうボタン押したくならない? 何だかんだで同意を得られたので、ボタンを押す。ポチっとね。すると、地面が揺れた。


 ドゴォォォ


 凄まじい轟音がなる。そして地面が割れ、そこから地下への階段が現れた。


「いってみましょう」


「そうですね」


 私達3人は地下への階段を降りる。地下への階段は暗い。数本の蝋燭が掛けられているから、かろうじて近くは見えるけど。


 地下への階段を下ると、1つの開けた場所に出た。その部屋には本棚と大量の蔵書があった。書斎かなんかだったのだろうか。


 地下には呪われた魂が何体かいたので、私達は倒した。すると、奥にある怪しく光るコアが呪われた魂を生成する。また呪われた魂が現れた。今度も呪われた魂を倒したが、またもやコアから呪われた魂が生成された。キリがなさそうだ。



「あのコアを壊さないと、無限ループですね」


「拙者がコアを壊してきます。呪われた魂は任せますね」


「了解した」


 茶々さんにコアを任せ、私達は呪われた魂を倒すことに専念する。私は遠くから呪いや通常魔法攻撃で、魔物を倒す。ライアンさんは近付く魔物を追い払ってくれた。


 そろそろMPが切れそうなので、MPポーション(小)を飲み、また攻撃を続ける。初めて飲んだけど、ポーション苦い……。


 やがて、茶々さんがコアを破壊したようだ。呪われた魂の生成が止まった。そして私達は呪われた魂を倒しきった。しかし、鍵は現れない。ここに鍵があるのかと思ったけど、違うの?


「鍵がこの部屋のどっかに隠されているとかはないのか?」



 この部屋のどっかに……ねぇ。私は部屋を見回す。その時、本棚の本が1冊だけ、突き出ているのに気付いた。気になったので、その本に手を伸ばした。その本に触れた時、眩い光がこの場を包み込み、本から巨大な呪われた魂が現れた。



ーー1000年の呪われた魂が現れました。


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