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第135話「???」とオブリア

「何から話せばいいのかしら」


 光の精霊ことオブリアは真剣な話をするからか、これまでになく真剣な顔をしてそう切り出した。


 話しやすいところからどうぞ! って感じではあるが……。


 私達が黙っていると、しばらくした後、オブリアが重苦しい口を開いてくれた。


「あなた達に話せるところだけ話すとなると割と難しいのだけれど」


 そう前置きした上で話し始める。


「まずあの「???」の世界は、この世界とは違う異世界のようなところなの。けれど、事情があって、普通はこの世界から他の世界に行くことは正規の方法じゃ出来ないの」


 この世界から他の世界に行くことは出来ないって、まるで他にも違う世界があるかのような言い方ね。あ、けれど他にも違う世界はあるか。


 私達は地球からこの「doom」というゲームの世界ーーある意味異世界に来たわけだし。


「けれど、昔イタズラ好きの女の子が、「???」の世界からこの世界「doom」の世界を繋げて、その入り口をいくつかこの世界にばらまいたの」


 そこで一呼吸おいて、どこか悲しげな顔で、オブリアは呟く。


「そして、その女の子は「???」の世界に移動するのに必要なアイテムを私に預けた。悪意あるものが「???」の世界に移動しないようにね」


「悪意あるものが「???」の世界に移動しないようにするなら、そもそも誰にも行かせなきゃいいのに、なんで私にアイテムをくれたの?」


 私がそう言うと、オブリアは困った顔をした。


 ってそうだよね。私、ゲームにマジレスしてるよね……。そんなことNPCに言っても困らせるだけだろうし、前言撤回しよう。


 そう思って口を開いたのだが、オブリアに遮られた。


「あの……」


「あなたなら「???」の世界と馴染めると思ったの。……それに私がずっと持っているわけにもいかないから」



「そうなんだ。なら「???」の世界と、オブリアが前話してた裏世界は別物なの?」


 何気なく、そう口にしたルージュちゃんにオブリアが不愉快そうに顔を歪める。そんな顔したら美人が台無しだよってくらいに。


「あんなゴミ箱みたいなところと「???」を一緒にしないで!」


 オブリアが急に大きな声でそう言った。こんな大きな声出たんだね、オブリア……。皆も驚いてるよ。私も驚いた。


 どうやら裏世界と「???」の世界を一緒にしたのが不快っぽい。


 オブリアは裏世界のことをボロクソに言ってた記憶あるし。オブリアの中では「???」の世界が素晴らしいところで、裏世界が最悪なところになってるのだろう。


 私達は裏世界のことは知らないし、「???」では追いかけられたので何とも言いがたいものがある。オブリアは前私達が裏世界の人物と会っていたと言っていたけど……。心当たりが全くない。


「なら「???」の世界に知り合いとかいるの? 紹介してくれない?」


 ちゃんと合法的に「???」の世界を観光したい。前は追いかけられたせいで、ちゃんと探索出来なかったし。



「知り合いはいないことはないけれど……。そうね、あなた達はもうあの世界に行ったのよね……」


 オブリアは何やらぶつぶつ呟いていた。


 一応私は「???」の世界で起こったことを説明する。オブリアに貰った石で入れたこととか、不法侵入で追いかけられたこととか、持ってたイヤリングが進化したこととか……。


「そう。だったら私が間にたった方が良さそうね。時間がある時に案内するわ」


 思ったよりあっさりと話が進んだ。オブリアはまだ隠していることがあるっぽいけど、少しは話が聞けたからいいや。


 オブリアは私に着いてくるから、話を聞く機会はいくらでもあるし。仲良くなって、もっと色々聞けばいいもんね!!


「珍しく素直だね、オブリア。僕は驚いているよ」


「そう? 私も丸くなったのかしら、長く生きているいる間にね」


 揶揄うアウスにオブリアはクスクスと笑う。何かこの2人の友情、いい!


「えと、精霊契約したから、あなた達は私が呼べば来てくれるのよね?」


「ええ、そうよ。呼べばいつでも駆けつけるわ。普段は精霊の眠り場か、他の場所にいるのだけれど、転移陣があるからすぐよ」


 精霊の眠り場は契約した精霊が待機しておく場所だ。普通は精霊はそこで待機しておくんだけど、オブリアは特殊なので、他の場所にもいたりするらしい。


 精霊契約した精霊は精霊の眠り場というところに自由に行き来が出来る。


 そして、精霊契約した精霊は遠くにいても、呼び出せば、契約紋の力で来てくれる。けれど、帰る時には、精霊の眠り場以外の元いた場所には戻れない。しかし、オブリアは転移陣の力があるので、それが可能なのだとか。


「おっけーー。アウスもそうするの?」


「いや、僕は精霊の眠り場にいるよ。あそこは居心地がいいし」


「そうなんだ」


  2人は仲良さそうだし、一緒にいるのかと思ったらそうではないようだ。


 ちなみにだが、オブリアとアウスのスキルはこんな感じである。


光の精霊オブリア

スキル

【キュアアヴラ】

自分が舞っている間、主人と自身、主人の精霊のHPが持続回復する。


【光の祝福】

この祝福をかけると、10分間味方の魔法攻撃力が極大に上がる。


【シャインレイク】

光の湖の力を源にし、恵みの雨を降らせる。この雨を浴びた味方はHPが回復し、敵は少しのダメージを受ける。


【ステラルミエール】

星の力を借りて、主人と自身、主人の精霊の全てのステータスを大幅に上げる。


【エスペランサ】

希望の力をエネルギーに変え、攻撃する。


【浄化】

アンデッド系の魔物を浄化する。


【アグライアの導き】

光の力を掻き集め、魔法陣から無数の光の矢を放つ。


  なんか全体的に光とかが多くて、かっこいいね?  呪い使いの私とは正反対のタイプ。この子はプリースト的な役割が出来そうだね。




闇の精霊アウス

スキル

【ダークナイトソウル】

剣に闇を纏わせ、敵の体を切り裂く。


【闇の囁き】

闇の力を受け、周りにいる味方を強化する。


【ダークインパクト】

敵を闇の中に引きずり込み、大ダメージを与える。


【闇の牢獄】

敵を闇で出来た牢獄に閉じ込める。この牢獄に入れられると、身動きが取れなくなる。


【黒薔薇の怒り】

この黒い薔薇の棘が刺さった敵はしばらく攻撃力が極大に低下する。


【アルテミスの導き】

闇の力を掻き集め、魔法陣から無数の闇の矢を放つ。


【オプスキュリテ】

敵の闇や暗黒、黒の力を吸収し、こちらの闇の力に変える。


 こっちは闇系が多く、私と系統が似ているから、シンパシーを感じるよ。強いスキルが多いし、頼りになりそうだ。


 私のスキルと合わせたら、さらに強くなりそうなのもあるから、戦闘の幅がまた広がるね。


  2人とも強いし、色々情報も持ってそうだし、見た目も可愛いし……。それなりに話せそうでもある。この2人と精霊契約出来て良かったよ。


 私はウハウハ気分だった。


 地下迷宮で、トーナメントに向けて力をつけるっていう目標は達成出来た気がする。


 新しい仲間とスキルをゲットし、レベルを上げることが出来たからね。



「話は済んだみたいだし、僕は精霊の眠り場に移動するよ。いつでも呼んでね」


 アウスはそう言うと、光に包まれて、消えた。精霊の眠り場に移動したのだろう。


「私は少しここですることがあるから、いつでも呼んでね」


 そう言ってオブリアはにこりと微笑みかけた。オブリアさん、美しい……。


 そんなことを思いながら、私達はその場を後にした。トーナメントまでそんなに時間に余裕があるけじゃないし、目的を達成した以上、ここに長居する意味はない。


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