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第13話 藁人形の試運転

 早いもので、この世界にいてから、6日目の朝を迎えた。時が経つのは早いなあなんて、おばあさんみたいなことを考える。


「今日なんでしょ? 武器になった藁人形を取りに行くの」


「そうそう、すごく楽しみ!」


 私は朝起きてから、ずっとそわそわしていた。いよいよ藁人形が杖となるのだ。自分が手に入れたアイテムが武器に生まれ変わる……。私だけのオリジナルの武器に。感慨深いものがあるよね。


 今使っているNのどこにでもある杖とはさよならだ。今までありがとうね、どこにでもある杖……。


「じゃあ藁人形取りに行ってくるね!」


「いってらっしゃい」


 すっかりルージュちゃんの家に定着した私は挨拶をすると、家を出て、ルンルン気分で歩き出す。楽しみだなあ。藁人形の杖、どんな感じになっているんだろう。


 私は藁人形を杖にするのをお願いした鍛冶職人ーールドーさんの開いている店であるビルーズにやってきた。年季の入ったドアを開いて、店内に入る。相変わらずガラクタが散らばっていた。ガラクタを踏まないように慎重に歩き進め、奥にいるルドーさんに声を掛ける。


「あの! 藁人形の魔杖化をお願いしたものですが……」


「お嬢ちゃんか、それならもう出来ておる」


 ルドーさんはゆっくりと腰を上げると、ルドーさんは私に藁人形を差し出した。見た目は特に変わっていない。しかし藁人形の纏う雰囲気で分かった。藁人形は杖になったのだと。そしてルドーさんは藁人形の右腕を指さして言う。


「見てみぃ、わしの自信作だ。藁人形が杖に変わった。藁人形の右腕から、魔法攻撃が出来るぞ」


 今すぐ試し打ちしたいが、街の中は非戦闘エリア。そんなことは出来ないので、ぐっと我慢する。


「ありがとうございます……!」


「一応強化もしといたわい」


 藁人形はSSRの武器になっていた。藁人形としての効果はそのままにして。さらに武器レベルも50のMAXまで上げてくれたらしい。SSR武器のMAXレベルは50だ。MAXレベルは武器のレア度によって変わる。


 通常魔法攻撃だが、レア度が高い武器を使ったり、レベルが高い武器を使う程多くのダメージを与えられる。その文消費MPは増えるけどね。Nの武器の時は4だったけど、このSSR武器は20だ。そう考えると、私のギフトMP消費20%カットは当たりだったね。本来なら25必要なMPを20に下げてくれてるから。


 私はさっそく藁人形を武器として装備する。藁人形にはMP200のステータスがあるので、MP200のステータス補正が付いた。


 私が藁人形を装備すると、藁人形を左手で抱えている状態となった。藁人形を持ってる少女って、怪しいかな、と思ったけど、街には変な格好の人多いし、気にしたら負けだよね、とポジティブに考えることにする。それに私は藁人形のこの感じ好きだし。


「何から何までありがとうございます!」


 改めてルドーさんにお礼を言う。


「大事に使うんじゃぞ。また武器進化石なんかを持ってきてくれれば武器を強化してやるから、いつでも待持ってこい」


「はい」


 武器の進化かあ。武器進化石をゲットして、武器を進化させる時には是非お願いしたい。


 その後、私は25万マル支払って店を出た。最初にこのくらい必要と言っていた金額そのままだった。強化分の費用はいいのかな? と思ったら、魔杖化自体はコストが思ったよりかからなかったので、強化もしてくれたのだとか。


 思ったより気さくというか、気前のいい人だったなあと思いながら。見た目は怖そうだったけど、人は見た目によらないって本当だね。私の中でのルドーさんの評価はプラスカンストしていた。


 藁人形を持って、この店に来る時以上にるんるんしながら始まりの森へ向かっていた。藁人形の試運転をするために。鼻歌でも歌い出したい気分た。藁人形を持って、歌いながら歩くってかなりの不審者だと思われそうだから自重したけどね。



 始まりの森についた私は、さっそく魔物を物色する。しかしこんな時に限って魔物が寄ってこない。あるよね、そういうこと。出会いたい時に出会わないけど、出会いたくない時に出会うみたいな。


 しばらく歩いていると、ようやく魔物が寄ってきた。私は通常魔法攻撃を打つ。藁人形の右腕から、小さな紫っぽい魔法の球が飛んでいき、魔物にヒットする。通常魔法攻撃も慣れたものだ。今では命中率は百発百中である。


 魔物を一撃で倒すことが出来た。私自身も武器も強くなったからね。


 その後も魔物を通常魔法攻撃を打つと、一撃で倒せた。もう始まりの森も卒業かな。私のレベルじゃ始まりの森の魔物は弱すぎる。


 もう試し打ちは十分したので、昼頃には街に戻って、そこら辺の店で食事をする。そして次は冒険者ギルドに向かった。呪いの遺跡に一緒に挑むパーティメンバーを集めるために。


 私はブラックファローの討伐でゲットした呪いの遺跡のクエストチケットを使って、呪いの遺跡に挑むつもりなのだ。


呪いの遺跡

呪われた遺跡である。呪いスキルを持つ魔物がたくさんいる。

ソロ推奨レベル 20~

パーティ推奨レベル15〜


 これを使って、呪いの遺跡を攻略したい。呪いの遺跡だよ。呪い系の何かをドロップ出来そうじゃない? 武器も強くなったし、挑みたいんだよね。でもソロクリアするのに推奨レベルに達していないから、パーティを組みたいなって思って。


 推奨レベルに達してないだけで、挑めないわけじゃないけど、パーティを組んだ方がクリア率は高いだろう。


 ただ簡単にパーティを組めないんだよね。呪いの遺跡のクエストチケットを使って、呪いの遺跡に行けるのは1枚のチケットにつき1人だけだ。だから、呪いの遺跡のチケットを持っている人としかパーティを組めないのだ。


 冒険者ギルドへ入ると、私はクエストパーティ募集の張り紙を見る。ここへ挑みたいクエストの名前と、パーティを組む条件なんかを書いて、一緒にクエストを攻略するパーティメンバーを募集出来る。ここでパーティメンバーを探すしかない。


 呪いの遺跡のパーティメンバーを募集している人がいないか先に確認する。いなかったら、私が募集しちゃおうなんて思いながら。


  1通り確認すると、1人だけいた。茶々(ちゃちゃ)さんって人が募集してる。条件はレベルが15以上であることだけだ。私は募集条件に合致しているので、これに参加させてもらおうと思う。


 参加希望者は、明日の朝9時に冒険者ギルドの雑談スペースに来てくださいと書かれている。4人以上集まったら、呪いの遺跡に挑戦するとも。


 明日の朝9時か。野良パーティなんて少しドキドキする。このゲームで野良パーティを組むのは初だ。野良パーティは他のスマホゲームで組んだことがあるけど、当たり外れが激しい。いい仲間と巡り会えるといいなあと思いながら、冒険者ギルドを後にした。


 家に帰ると、私はさっそくルージュちゃんに藁人形を見せた。私だけの自慢のオリジナル武器だ。オリジナルっていい響きだよね。


 それからルージュちゃんにお願いして、クローゼットを原価で売ってもらった。クローゼットにはものをしまえる。しまえる量はクローゼットによって異なるけどね。


 明日クエストチケットに挑むので、念の為いくつかのアイテム以外はクローゼットに閉まっておこうと思って。


 クエストチケットを使って挑んだクエストはリタイアが出来る。ただし、リタイアすると全てのアイテム(装備しているものを除く)を落としてしまう。


 なので、念には念をいれて、MPポーション(小)×5とHPポーション(小)×5だけをアイテムボックスに入れ、これら以外はクローゼットにしまう。五寸釘とかなづちも今回はお留守番だ。知らない人と組むから色々不安もあるしね。


 クエストチケットを使うクエストは2回目だけど、経験値の森のクエストは難易度が低いプレゼントクエストみたいなものだったからね……。実質初めてのチケットクエストだ。


 ちなみに今の私の装備はというと、こんな感じ。


武器 SSR藁人形

防具 NR薄紫のパーカー

NR桃色のミニスカート

NR黒のニーハイ

NR黒のスニーカー



 武器はかなり強くなったので、防具をもっと強くしたいところだ。後指輪とか髪飾りみたいな装飾も手に入れたい。


 まあ気長にいいのを見つけていこうと思う。明日は呪いの遺跡にも行く訳だし。なんかドロップ出来たらいいなあ。







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