表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/149

第117話 エントリー

「あ、そうだ。ルージュちゃん。この【竜爪】ってSSRのスキルいらない? ルージュちゃん一応爪使いでしょ? 使わなくても、スキル売買があるし」


「え、なにそれ欲しい! あ、そうそう。私も魔法職向けのスキルゲットしたから、アナちゃんに渡そうと思ってたんだよね」


 ルージュちゃんは【竜爪】に思ったより食いついてきた。私の使えないスキルなので、喜んで使って貰えるなら嬉しい。


 にしても、ルージュちゃんがゲットした魔法職向けのスキルってどんなのだろ。


 私が期待を込めてルージュちゃんを見つめると、ルージュちゃんは「えへへ」と自慢げに笑った。


「【リジェネエリア】ってSSRのスキルだよ! 自分と味方のHPを持続回復するエリアを作るスキル!」


「え、欲しい。持続回復のスキル持ってないし」


「じゃあ交換しよ!」


「うん!」


 私達はルージュちゃんのギフトでスキルを交換した。スキル売買はかなりレアなギフトだ。スキルを売買、または交換できる方法は、今のところスキル売買のギフトくらいしか発見されていない。


 ルージュちゃんがその気になれば、スキル売買で億万長者になれるんじゃないかな。本人は冒険重視みたいなので、あまりスキル売買はしてないみたいだけど。



 盗賊ガチャを回しまくって少し余ったガチャチケットは、呪いガチャに費やす。


 だが、あまりいいのは出なかった。盗賊ガチャで今日は運を費やしたかな。


 私は少しショックを受けつつも、盗賊ガチャの結果が良かったので、素直に喜ぶことにする。


 呪いガチャはまたスキルチケットが溜まったら回そっと。


「そういえば、十六夜の隠れ家にあるこの地図には、深海エリアへの行き方が書かれていますね」


 ずっと地図を眺めていた茶々さんがふと顔を上げた。


「なら、迷わなくてすむわね」


「けっこう遠いの?」


 私の問いかけに、茶々さんは首を振る。


「いえ、この辺りです」


「それなら、明日から深海に行くということでいいんじゃかいのか? 地下だから暗さは分からないが、時間的には夕方だ」


 そう言って、シグレはスマホの時間を見せる。


 確かにもうこんな時間だし、大きな戦闘もあったし、休憩にした方が良さそう。


 このゲームにおいて、戦ったり、行動したりすれば疲れる。そして、その疲労は時に命取りとなるからね。


「そうですね!」


 私達はずっと動きっぱなしだったので、ここら辺で休もうということで、全員の意見が一致した。



「何か食べる? トレーダーショップでなんでも買えるよ」


 ルージュちゃんがスマホを眺めながら、私達に尋ねる。


「いいね! あ、お寿司ある? わさび抜きのやつ」


「あるよーー」


「お寿司いいですね!」


 私がお寿司を頼んだのをきっかけに、皆もお寿司を頼み始める。



 気が付くと、お寿司パーティ状態になっていた。


 私はサーモンやマグロをメインに食べる。もちろんわさび抜きで。わさび苦手なんだよね。


 私達がお寿司で盛り上がっていた時だった、お知らせがピコンと光った。


 なんだろう、皆が一斉にスマホに手を伸ばして、確認する。スマホを開くと、すぐにイベントのことだと分かった。


 武道大会についての詳しい連絡が来ていた。それから報酬についても。


「すごいよ! 上級トーナメントの優勝者は七つの大罪シリーズの武器だって」


「七つの大罪かあ。強そう」


 ルージュちゃんが真っ先に声を上げる。七つの大罪シリーズってなんかかっこよくない? 持ってるだけで、強そう。


 性能はゲットしないと分からないらしいが、上級トーナメントの1位の商品が強くないわけがないだろう。


 ちなみにだが、武器の形態は優勝者が選ぶことが出来るらしい。剣がいいとか、杖がいいとかね。



 報酬を色々見てみたが、やっぱり上級トーナメントはベスト16とか参加賞も豪華だった。



 ちなみに、メインの優勝商品は、上級トーナメントが七つの大罪シリーズの武器、全員参加が七つの大罪シリーズのメイン防具。


 物理職限定が七つの大罪シリーズの靴、魔法職限定が七つの大罪シリーズの靴下である。


 戦闘職限定は、七つの大罪シリーズのバッチ、生産職限定は七つの大罪シリーズの建物となっていた。


 女限定と男限定は七つの大罪シリーズではなく、王の武器と女王の武器シリーズだった。


 中級者限定と、初心者限定はいっちゃなんだけど、そこまでいいものではない。


 これどうしようかな。1位狙いなら、魔法職限定トーナメントに参加したいよね。丁度靴下は持ってないし……。


 七つの大罪シリーズってなんかかっこいいし、欲しいよね。


 上級者トーナメントは、参加賞もいいけど、強いプレイヤーがいっぱいいるだろうから、多分ベスト16入りとかベスト32入りとかは無理だろう。


 上級トーナメントの参加賞より、魔法職限定トーナメントのベスト16の報酬が大分美味しいし、魔法職限定とに参加しようかな。


 目指すは優勝! 優勝は無理でもベスト16入りはしたい。



「七つの大罪シリーズの建物って何なんだろ。店にも家にも工房にもなるらしいけど」


「確かに。建物が1番謎だよね。あ、ルージュちゃんはやっぱり生産職トーナメント?」


「うん! そのつもり! アナちゃんは結局どうするの?」


「私は魔法職限定!優勝狙いーー」


「マロンちゃんと茶々さんは?」


「私は戦闘職限定にしようかしら」


「拙者は物理職限定にします!」


 私達はどのトーナメントに出るかを決めると、参加ボタンを早速押す。申し込み期間は短いし、忘れないうちに参加しないとね。


「ゼノンは上級で、シグレは全員のだっけ?」


「そうだよ」


「ああ」


  2人がどれに出るかは冒険者ギルドで聞いたが、報酬を見ても、気持ちに変化はないらしい。



 私達は誰も、トーナメントが被らなかった。これなら、遠慮せずに優勝目指して戦えるね。


 トーナメントの画面から、参加人数が見えるが、緩やかに参加者数が増えていっている。


  1番人数が多いのはやっぱり全員参加だった。私の出る魔法職限定はどちらと言えば、人数が少ない。



「そういえば、七つの大罪って、確か強欲、怠惰、色欲、嫉妬、憤怒……、後なんだっけ?」


 可愛らしく小首を傾げるルージュちゃんに、私が答える。


「傲慢と悪食かな」


「それそれ! 七つの大罪シリーズってどれなんだろーね」


「トーナメントによって、どの罪か違うのかも、全部同じ罪なのかも分かりませんよね」


 優勝者にしか、どんなものなのかは分からないからね。そう思うと、やっぱり優勝したい。


 私達はトーナメント談義で盛り上がる。



「やっぱり七つの大罪の中なら悪食がいいなあ。悪食な建物ってかっこよくない?」


「なんか建物に入っただけで食べられそう」


「人喰いハウスを思い出しますね!」


「人喰いハウス! 懐かしいーー」


 茶々さんの言葉に、私は懐かしの人喰いハウスを思い出し、思わず声を出す。


「人喰いハウス? えらく物騒だね」


 ゼノンが興味津々といった様子で会話に加わってきたので、概略を説明する。


「そんな魔物が……」


「ゼノン達は面白い魔物とかとあんまり出会わないの?」


 ルージュちゃんの前振りに、ゼノンは首を傾げて、考え込む。


「面白い魔物かあ」


 ゼノンは少し思案した後、何か思い出したような顔をした。


「面白いかは分からないけど、前カルマ値を下げるために、村の守り神と言われる村を守っている魔物を倒しに行ったんだ」


「鬼畜!」


 ルージュちゃんの言葉にゼノンは苦笑いしつつ、話を続ける。


「その時の守り神の魔物は普通に話せたよ。普通にいい魔物っぽかった。倒したけど」


 そう言いながら、屈託のない笑顔を浮かべるゼノンに私は少しゾッとした。


 中々にえげつないことをするね。色々やらかしてる私が言えたことではないけど……。


 私達は十六夜を倒し、様々な情報やアイテムを手に入れたこともあり、話に花を咲かせるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ