表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

126/149

第116話 盗賊スキル

「ここが十六夜の本拠地かあ」


 十六夜の本拠地へと私達はゆっくりと足を踏み入れる。そこは以下にも怪しげな魔物の研究なんかをしていそうな施設だった。


 十六夜は魔獣使いだし、魔物の研究をしていてもおかしくないだろう。


「あ、なんか魔物使い向けっぽいアイテムは色々あるね」


 真っ先に、アイテムを物色しにいったルージュちゃんはいくつかのアイテムを手で弄ぶ。


「なら、拙者達にはあまり縁がなさそうですね」


「精霊使いのアナちゃんとかは、わんちゃん使えるかもよ?」


「え、なになに」


 ルージュちゃんに言われて、アイテムを覗き込む。そこには、魔物を従属させる首輪なんかがあった。魔物用だけじゃなく、人用のも。しかもこの首輪を付けた魔物を夜狂状態にさせられるらしい。


 人用というのはNPCもプレイヤーも両方使えるらしいが、少し怖くなったので、考えるのを辞めておく。


 これ、精霊に使えるのかもだけど、夜狂状態にして、戦わせるのはちょっと可哀想な気がする。


「うーん、やっぱりあんまりかな!」


 気乗りしない私の顔を見てか、ルージュちゃんは前言撤回する。


「ねぇ、十六夜の手紙を見つけたわ」


 アイテムに盛り上がる私達に、マロンちゃんが少し声のトーンを上げて報告する。


「どんなのなんですか?」


「十六夜からリーダーに送る予定だった手紙のようね。見た方が早いかしら」


 そう言われ、私達は手紙を覗き込む。



夜の君へ

地下迷宮の捜査は順調に進んでいます。あれはおそらく地下迷宮の深海部分にあります。潜水スキルのない僕には潜れませんでしたが、気配は察知しました。潜水スキルのある一員を派遣してください。



 手紙には短く、そう記されていた。おそらくこれからこの手紙を届けるつもりだったのだろう。



 すごい、まともな文章……。それが私の1番の感想だった。十六夜、やばそうな雰囲気出てたけど、リーダーにはちゃんと敬語使えてるね?



「この手紙のあれってなんなんだろ。深海部分にあるらしいけど」


「潜ってみたら分かるんじゃないかしら? 深海部分にはどの道いくつもりだったし、好都合よ」


 小首を傾げるルージュちゃんに、マロンちゃんが冷静に答えた。


 私達は元々深海部分にいくつもりだったし、ついでにあれの正体を確かめるのも良さそうだ。あれっての何か気になる。



「それがこのゲームを解くヒントになるかもしれないね……」


 ゼノンは感慨深そうに言う。


「ゲームを解くヒントかあ。どうなんだろ、あんまり期待出来ないけどねーー」


 ルージュちゃんはぽつりと呟く。


「いや、ここまで夜の使徒に近付けるのは中々ないことだよ。夜の使徒については、噂では色々な話を聞いていたけど、戦闘だけで終わっているし。というかアナちゃん達が夜の使徒と関わりすぎなんだよ」


 ゼノンは苦笑する。普通は夜の使徒とはそう何度も関わりを持つことがないらしい。


「そんなことより、ドロップ品を分けない?」


 マロンちゃんはいくつかのドロップ品を指差す。マロンちゃんはドロップ品を分け合いたくて、うずうずしているようだった。


 ドロップ品の分け合いは、戦闘の後のご褒美イベントだもんね。


「そうだな。ここからそれなりのスペースもあるし、魔物も来なさそうだ」


「うん! 賛成!」


 私もすぐに賛成の意を示す。


 そして、私達は時にジャンケンをしたり、話し合ったりしながらドロップ品を分け合う。


 長いドロップ品争奪戦の果てに、私はいくつかのアイテムやスキルをゲットした。



LE【暗黒魔法】

暗黒を操る魔法。全てを闇で包み込む。


 このスキルをセットすると、MP+500のステータス補正が付く。しかも強い。私の厨二心がくすぐられます。



 黒魔法の上位交換みたいな感じかな。


 それから、サモナー向けのアイテムも色々ゲットした。これは応用したら、私の精霊ちゃんにも使えなくはなさそうだ。後は呪毒を作る材料に使えそうなのも色々ゲットした。


 呪毒を作る本はあるし、今度調合しよう。そうなると、調号系のスキルとか称号欲しいな。後、敵のアイテム奪う盗賊系のスキルも欲しい。


 スキルガチャチケットはいっぱいゲットしたから、何に使うかめちゃくちゃ悩む。


 調号系のスキルガチャを回すか、盗賊系のスキルガチャを回すか、呪いガチャを回すか。


 うーん、調号系のスキルがなくても、低性能な呪毒なら作れるし、とりあえず盗賊系かな。


 盗賊系のガチャを回しても必ずアイテムを盗めるスキルが出るかは分からないが……。こんなにいっぱいスキルチケットがあったら、1つくらいでるはず!



 盗む系でも色々種類があるんだよね。確率で盗むやつとか、しょぼいのだけど確実に盗めるやつとか。私はもちろん後者のスキルが欲しい。


 どんなごみアイテムでも奪えればいいんだよ、奪えれば。ゴミみたいなアイテムでも、藁人形を使うのには、問題ないわけだし。


 とそこまで考えてあることに気付く。これ、相手のアイテムを奪った時って、藁人形使えるのかな? 盗んだ時点で、私のアイテムになって、藁人形を使えない可能性もあるよね?


 そう思って、私はヘルプの盗みの項目を見る。マルを持っている私は一応ヘルプは解放できるところは解放していた。


 盗みの項目のところも読んだはずなんだけど、あんまり縁がない項目で、熟読していないので、覚えていない。


盗み

相手のアイテムを盗むスキルを使うと、相手のアイテムボックスのアイテムを奪うことが出来ます。奪ったアイテムボックスを自分のアイテムボックスに入れると、自分のアイテムと認識されます。



 そこだけ読んで、私は心の中でガッツポーズを浮かべる。


 つまり、盗んだアイテムで藁人形を使えば呪えるということだ。


 絶対、盗みスキルを手に入れてやる!!


 気合いを入れて、私は盗賊スキルガチャを回す。


 記念すべき最初のスキルはSRだった。


SR【忍び足】

自身の気配をかなり薄めることが出来る。


  HP+25のステータス補正がつく。


 求めていたのとは違うが、まあ使えそうである。


 私はどんどんガチャを回していく。NとかRとかレア度の低いスキルですら、盗めるものは出なかった。このRの【ナイフ投げ(小)】なんて、物理攻撃力が猫パンチ並の私には使い道がなさそうである。


 どんどん回していると、ガチャが光った。この演出はURかな?


 私の心は期待に満ち溢れる。



UR【ピッキング】

大体の鍵をピッキングすることが出来る。



 しかし、スキルを見て、肩を落とす。


 これも盗賊らしいスキルだね。私の求めていたものではないが、まあ何かに使えるかもしれないので、セットしよう。HP+100のステータス補正がつくし。



 その後も回すが、あまりいいのが出ない。


SSR【竜爪】

竜のごとく固い爪で、敵を攻撃する。



 これとかも普通に強いんだろうけど、私には使えないな。スキルを売買出来るルージュちゃんにでも引き取って貰おう。


 そして、私はスキルガチャチケットを何枚も盗賊ガチャに費やす。盗みのスキル来い!


 何度かガチャを回した時だった。ついに、私の思いが通じたのか、目当ての敵のアイテムを奪うスキルをゲットした。


SSR【スリ】

アイテムボックスに入っているアイテムを1つ、ランダムで奪う。


 ちなみに、セットするとHP+50のステータス補正が付く。


 やった!  100%相手のアイテムを奪えるやつみたいだし、文句のない性能である。



「なんかいいのゲットしたの?」


 ご機嫌そうなルージュちゃんが、私に近付いてくる。


「うん! 相手のアイテムを奪えるスキル!」


 私の言葉に、ルージュちゃんはぱあっと顔を輝かせた。


「それで、藁人形の使い方が広がるねーー」


「そーなんだよ! ルージュちゃんは、どうだったの?」


「私はね、毒のスキルをゲットしたの! 爆弾に毒を込めようと思って」


「すごい兵器になりそうだね。ルージュちゃんの爆弾の毒にも、前手に入れた毒の本使えそう」


「確かに!」



 私達は新しいスキル談義に花を咲かせる。やっぱり新しいスキルが手に入ると、心が踊ります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ