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第114話 十六夜降臨

 そして、石像を倒した次の日。私達はまったり探索を再開していた。


 今日も道のりをメモしながら、歩く作業である。時々遭遇する魔物は群れで、厄介なこと極まりない。


 まあコツは掴んだし、私達のレベルも上がったので、前よりは楽に倒せるようになったけど。


「なにみてるの? アナちゃん」


 私が本をちらちら見ていると、ルージュちゃんが顔をこちらに近付けてくる。


「呪毒の作り方。なんかこの迷宮に材料があるっぽいんだよねーー。花とかは種を見つけたら栽培出来るし、育てたいところ」


「そう言えば、アナちゃん前植物育ててたよね? あれどうなったの?」


「順調に成長してるよ。ルージュちゃんのは?」


「私のも順調……とはいえないけど、成長はしてる」


 ルージュちゃんは歯切れが悪そうに答える。これはあんまり上手くいってないのかな……?


 植物育てるの苦手っていってたし。


 頑張って育ててるっぽいけどね。何度か花に話しかけてるのは見たし。


 私の呪いの花は花開くのにまだまだかかりそうである。気長に育てるしかないね。それが園芸の楽しみなんだろうし。



「そういえば、地下迷宮を通って、神聖アシュタリカ帝国にいくのって7日くらいかかるんだっけ?」


 私の問いかけにルージュちゃんはうんうんと頷く。


「そうそう! 最短ルートで7日って言ってたよ」


「そうなのかい? 君たちは詳しいんだね」


「まあね! 情報屋さんに教えて貰ったから」


 私の答えに、ゼノンは興味を持ったようだ。ゼノンは瞳を輝かせた。


「その情報屋、紹介してもらえないかい?」


「うーん、紹介するのはいいけど……。プレイヤーのトーナメントにも来るみたいだし」


 勝手に紹介していいのか分からないし、プレイヤートーナメントで会ったら聞いてみようかな。


 あの2人はAmaterastをメインの客とした情報屋っぽいし、ゼノン達の力になってくれるかは微妙なところではあるが……。



 別にAmaterastとゼロの集いは仲良くないし。まあ敵対もしていないけど。



「ありがとう。それはそうと、海のエリアに行くまでにはどのくらいかかるの?」


 ゼノンのいう海のエリアというのは、このような地下通路ではなく、海を泳ぐエリアのことだろう。


「海のエリアまでは最短だと2日で着くらしいけど、色々道が入り組んでるからなあ。来る途中に別れ道が色々あったでしょ? 選択によってはすっごい時間がかかるらしい」



 私の説明のゼノンは複雑そうな顔を浮かべる。


 私達は短めのルートを選べてるのか、それとも時間がかかるルートを選んでるのか、全く分からないんだよね。


 例え、短めのルートを選べていても、ゴーレムとか石像の相手をしたから時間をロスしてるのは間違いないので、最短時間では辿り着けないだろう。



 地図とかもないからねーー。地下迷宮は挑む人が少なすぎてあまりデータがないというのが事実なのだ。


 地下迷宮に挑む人が少ないのは、海を泳いだり、水中で呼吸できるスキルを持っている人が少ないことや、毒対策が大変なこと、敵のレベルが高いことだろう。



 地下迷宮に挑むのは変わったスキルを持ったそこそこ上級のプレイヤーが多いと言える。


 アラトみたいな最前線プレイヤーはとっとと移動して、効率いいレベリングしてるしねーー。



 私達は効率もある程度は重視するが、楽しいのが1番である。



「また来ましたよ! 群れです」


 私達が別れ道の1つを選んだ頃、茶々さんがそう知らせてくれた。


 私はまたかと思いつつ、準備を整える。


 敵の魔物達は毒系のスキルを持っていたので、いつも通り鑑定して、皆に伝える。


 そして、戦闘体制に入る。


「【破滅の旋律】【黒魔法】」


「【花鳥風月】」


「【風水火山】」


「【雷神伝】」



 私達は次々にスキルを使って攻撃していく。


「[爆裂ウィンク]」


「[物点予測]」


 特にはユニークスキルも使い、全ての魔物を倒しきった。その時だった。おぞましい殺気を感じた。私達は殺気の方向を一斉に向く。


 そして、私達が向いた方向には1人の白髪に赤い瞳をした男が立っていた。目の瞳孔は開き、殺意が全身に湧きたっている男性は相当お怒りなのだろう。


「お前たち、僕の可愛い魔物たちに何をしてくれたのかな?」



 怒気を含み、声を荒らげる。



十六夜Lv190

スキル 夜吸 洗脳 魔物狂化 魔物操作 魔物召喚 ダークヒール 暗黒魔法

称号 夜の使徒の幹部 夜の魔獣使い


 私が鑑定を使うと、その男が夜の使徒の幹部である十六夜だと分かった。この男が魔物を凶暴化させた張本人だ。


 私達が追い求めていた十六夜とついに……。


 もちろん戦う以外の選択肢はない。向こうもやる気のようだし。


「魔物を操作するスキルを持ってるよ。後暗黒魔法」


 私は皆に、敵の情報を伝えつつ、戦略を練る。十六夜は味方の魔物を回復するスキルを持っている……。これ、十六夜はともかく、十六夜の使役する魔物は何とかなるのでは。



「僕の魔物達の力を見せてあげるよ。お前たちは僕の魔物を殺した罪で皆殺しだ」



 十六夜がそう言って手を振りあげると、どこからか魔物たちが一斉にこちらへやって来る。


「十六夜は魔物を回復するスキルを持ってる。魔物は私が何とかするから、十六夜をお願い!」


 魔物のHPを呪いのスキルで、削れば十六夜は魔物を回復するはず……。そしたら反転コンボで殺せる。問題は十六夜本体だけど、それは皆に何とかしてもらうしかない。


「【魔物狂化】【魔物操作】」


 十六夜の手から闇のようなものが生み出され、その闇を浴びた魔物達は苦しそうに呻く。そして、魔物達の目は赤く充血した。


 かなり凶暴化されてる……。



「【破滅の旋律】」


 私が呪いスキルを使うと、十六夜の使役する魔物のHPが削られていく。そして、ある程度削られると、十六夜は思った通り、ダークヒールを魔物に使う。そして、魔物は大ダメージを受ける。



「[爆裂ウィンク]」


「[物点予測]」


「[花紅柳緑]」


「[我電風雷]」


「[疾風之導き]」



 皆出し惜しみはしないといった感じで、初手からユニークスキルを重ねていく。


「[カース召喚]カースちゃん、守りは任せるよ」


 私の言葉にカースちゃんはこくりと頷く。そして、私を守るように立つ。カースちゃんはすごく頼もしいです。



 私の反転でダメージを受け、敵の魔物は自動消滅していく。十六夜は何度か魔物を召喚したが、私の反転で永遠と魔物を葬り続けることが出来た。


「僕の魔物達に何をした……。お前らだけは……殺してやる!」


 十六夜の怒りはヒートアップした。目が完全に血走っててめちゃめちゃ怖い。こんな人がいたら間違いなく通報されるだろう……。


 私が魔物と戯れている間に、皆は十六夜のHPをかなり削ったようだった。



 あともう一息まで来ている。


「【カルタフィルスの呪い】」


 試しに十六夜にこの呪いのスキルを使ったものの、失敗した。ちぇっ。まあ確率の低いスキルだし仕方ないか。


「もっとこい……。魔物達よ!」


 十六夜が手を振ると、さっきより多くの凶暴化した魔物達が現れる。けどそんなのは関係ない。私の呪いと反転コンボですぐに全滅させる。


 魔物を倒しまくると、十六夜の怒りはさらにヒートアップする。


 そこで私は十六夜に話しかけてみた。情報収集は大事だしね。


「ねぇ、夜の使徒のリーダーのことを知ってる?デュアス帝国の皇帝らしいけど」


「お前、なぜそれを?」


 私の言葉に、十六夜は明らかに顔色を変えた。そして、ほぼ肯定と取れる返事をする。


「事実なんだね」


「鎌をかけたのか……。この僕に」


「それなら、怪しげな占い師のことは知ってる?」


「……っ。お前に言うことはない」


 怪しげな占い師のことを聞いて、一瞬動揺したが、口を滑らせてくれる気はないらしい。


「なら、怪しげな占い師が、夜の使徒のリーダーの正体を教えてくれたっていったら?」


 私の言葉に十六夜はさっき以上の動揺を見せた。



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