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第112話 扉の先には

「うーん、イベントの予感! まあこの扉を見たら、開けないっていう選択肢はないよね?」


 私が「ね?」と問いかけると、反対意見は出なかったので、遠慮なく開ける。


 「?」と書かれた扉を開けると、向こう側には黄金の廊下が広がっていた。金銀財宝が廊下の端に置かれ、まさしく黄金の道だった。


 金銀財宝が光輝いていた。その空間に私達は圧倒される。


「すごい! お宝がいっぱいだよ!」


 ルージュちゃんがはしゃいで、お宝に手を伸ばす。


「これはすごい量だな……」


「ええ、本当ね。これ全部でいくらになるのかしら?」


 すごい量のお宝だ。またまた大儲けでは? 私は興奮しやがらお宝に近付く。


 私は鑑定でお宝を見た。どんなお宝が眠っているのか気になったから。


 ……そして、非常に残念なことが分かってしまった。それらのお宝が全てレプリカだと気付いたのだ。売っても対して価値のないただの財宝もどき達である。


 これは持って帰っても、無駄そうだ。


「全部偽物だよ」


 私はお宝を回収しようとするルージュちゃんに真相を教える。嬉嬉としてお宝に手を伸ばしているルージュちゃんには申し訳ないけど、いずれ分かることだし……。


「え、そうなの?」



 私の言葉に、ルージュちゃんはすごくショックを受けたようだ。目に見えて分かるほど、大きく肩を落としていた。


「ここのは偽物だけど、奥にはなんかあるかもよ。とりあえず進んでみよ」


 何となく罪悪感が生まれた私はそうフォローする。これだけ偽物の財宝があるし、その先には何かあるはずである、多分。


「そうだね……」


 ルージュちゃんは偽物のお宝から手を離し、顔を上げる。


 私達は偽物の財宝の間を歩いて、この先へと進む。


「なんで偽物なんて置いとくんだろうね? どうせなら本物を置いてくれればいいのに!」


 ルージュちゃんは不満げに愚痴を零す。全くもってその通りである。


「それなーー」


 本物かと思わせて、偽物でした! なんてやめて欲しいよね。私の鑑定がなかったら、換金するまで気づかなかったんだろうな。



 一生懸命アイテムボックスにつめて、いざ換金しようとしたら、偽物でした! って泣けてくるね?


 そう考えたら、今気付いて良かったかもしれない等とポジティブシンキングを始めた。



 辺りの道はしばらく偽物の金銀財宝で埋め尽くされていた。どこまで続くんだろう、この道。



 私達はゆっくりと、辺りを観察しながら進んでいた。急いては事を仕損じるというやつである。


 廊下を通り抜けるのに時間がかかっているのもおそらくそのせいだろう。


 早足で歩けばあっという間に通り抜けられそうだ。そんな空間を私達はゆっくりと歩き続け、扉の前にたどり着いた。


「またドアですね」


「だねーー。今度は私が開けてみていい?」


「いいよ、ルージュちゃん」


 ルージュちゃんは好奇心が抑えきれないといった様子で、ドアに手を掛ける。


 ドアはギィィという音を鳴らして、開く。そして、ドアの先に広がっていたのは大量のゴーレムだった。


「げっゴーレムだ」


 先頭を歩いていたルージュちゃんが顔を顰める。ゴーレムは固くて削るのが大変なんだよね……。


 私はゴーレムを鑑定する。


キュアゴーレムLv175

スキル キュアヒール 頑丈 粉砕 怪力


 鑑定結果を見て、私の口から笑みが零れる。回復スキル持ちなんてラッキー。一体だけじゃなくて、ここのゴーレムは皆回復スキル持ちだ。楽に倒せそうな予感。


「ゴーレムがいるところに先にには珍しい物があるって相場が決まってるんだよ。それにここのゴーレムは回復スキル持ちだから」



「アナちゃんにとってカモれる相手ってわけだね」


「ルージュちゃん、言い方!」


「貴様の反転とやらの効果を目の当たりに出来そうだな」


 ゼノンとシグレは私の反転の本領をまだ見ていない。群れとの闘いで見せたのは微々たるものだしね。



 さっかくだし、ここで披露しますか。


「【破滅の旋律】【反転(呪)】」


 私は2つのスキルを発動した。私の呪いダメージを受け、敵のゴーレムは回復スキルを使う。



 そして、私の反転の効果で、敵のゴーレムはHPを呪いダメージを受けた。


 敵のゴーレムは私の反転効果で、どんどんHPが削られていく。NPCは何も考えずに、回復スキルを使うから、やっぱり楽ちんです。



 そこからは地獄絵図だった。私の反転で敵の魔物はダメージを受ける。回復をする、呪いダメージを受ける……、の繰り返し。何このエンドレスゲーム。


 私は2つのスキルを使っただけで、敵のゴーレム軍団を壊滅させてしまった。あっという間にゴーレム達は全滅したよ。


 ルージュちゃん達は慣れたようで、「瞬殺だねーー」等と呑気に話していたが、ゼノンとシグレは少し引いていた。


「えげつないね……」


「魔物が可哀想だな……」


 この2人にまでドン引きされるなんて、少しショックてある。確かに自分でもえげつないなぁと思わなくはないけれども。


 ちなみにだけど、100体近くいたゴーレムを倒したおかげで、レベル180になった。レベルが上がる速度が異常だね。



 先程までゴーレムで埋め尽くされていた部屋は、一気にクリアになった。



「本当に貴様の反転は便利だな」


「私もこれ気に入ってる」


「また扉があるよ。ゴーレム出たらアナちゃん掃除よろしく」


「ゴーレムが出たら任せといて」


 次もゴーレム来ないかな。ゴーレムはゴーレムでも、キュアゴーレム。一瞬で全滅して見せるよ。


 キュアゴーレムは回復するうえに硬いので、嫌われている魔物だが、私は大好きだ。


「掃除って、ゴーレムはゴミ以下ですか?」


「1回言ってみたかったんだよね。魔物を掃除って。中々日常で使うことないじゃん」


「私はあれを言ってみたいわ。魔物がゴミのようだ……」


「それをいうなら、人がゴミのようだ、じゃないのかい?」


 マロンちゃんはおそらくボケではなく本気で言ったのだろう。それにゼノンが突っ込む。


 マロンちゃんは人がゴミのようだの元ネタである天空の城ラピュタを見たことが有るのだろうか? あるなら何をどう間違えたら、魔物がゴミのようだになるんだろう……。


 そんな解消されない疑問を抱えながら、私は話にテンポよく返していく。


 そして、扉の前に来ると、またもやルージュちゃんが開ける。ルージュ曰く、扉を開けるのが楽しいらしい。私にはよく分からないけど、まあ楽しいならいいんじゃないかな。


 ギィィ。重苦しい音とともに扉が開く。


 今度の扉の先には、さっきの倍近くのゴーレムがいた。しかも、それらは皆キュアゴーレムで、受ける物理ダメージと魔法ダメージの全てを10分の1にする守護者の守りスキルを持っていた。


 まあ呪い使いの私には、受ける物理ダメージや魔法ダメージをカットするスキルを敵が持っていようが関係ないけどね。


「ラッキー。キュアゴーレムだ。しかもレベル180。経験値うまうまの予感」


「アナちゃんやっちゃって!」


「もちろんそのつもり。【破滅の旋律】【反転(呪)】」



 私は2つのスキルを発動する。今回も、敵のゴーレムが【破滅の旋律】で呪いダメージを受け、回復を使い、反転でそれが呪いになり……の繰り返しだった。



 あっという間にゴーレムの群れは全滅した。あまりの壊滅ぶりにはさすがの私も白目になるね?



 皆は何も言わずに無言で、ゴーレム達を見つめていた。


「うん、あっという間だったね。アナちゃんないす!」


「すごいな……。あ、いやごめん。あまりの瞬殺に僕の語彙力が消失した」


「レベルがものすごく上がったわね……。アナ怖い」


 しばらくの静寂の後、ゴーレムを倒したという実感がやってきたのか、皆が私を持て囃す。


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