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第110話 リトビアとアルロ

 そして、次の日。私達は地下迷宮の探索に乗り出す。


 地下迷宮の洞穴では、意外と安眠出来ました。作戦も立てたし、火のアイテムもいっぱい用意したので、なんとかなるんじゃないかな? と思い始めていた。


 火のアイテムは業火の地獄でいっぱいゲットしていた。これらが使えそうである。


 私達は地下迷宮を真っ直ぐ進む。いくつも別れ道があったが、直感で選ぶ。


 一応私達は進んできた道を書いてるので、引き返したら迷うことはないはずだ。


 ルージュちゃんがいるから、買い物に困らないのは大きいね。ソウルンも食品も買えるから、最悪迷ってもいいという安心感がある。


 私達は何体かの魔物とは出会ったものの、群れってほどの魔物とは今日は出くわしていない。


 魔物の大乱が起こってるとはいっても、大軍だらけっていうわけじゃなさそうだね。



 とはいえ油断は禁物。いつ大軍が現れるか分からないので、慎重に進まないと。


「大軍ぽい気配が現れたら教えてね。避けられる戦闘は回避したいし」


「もちろんそのつもりですよ、アナさん」


 そう言えば、私達と一瞬すれ違ったリズムとかいう人。1人らしいけど、大丈夫かな?私達の先を進んでいったよね。



 昨日のような大軍を1人で相手にするのはキツそうである。



「前に気配がする。人と魔物両方だな」


 ぼーっと考え事をしていた頭はシグレの一言で、現実に戻される。


「それって十六夜と魔物なんじゃ?」


「おそらくな。行くか?」


 シグレの言葉に全員が頷いた。十六夜を倒せば、経験値もレアアイテムも手に入るし、地下迷宮の魔物の夜狂がとけて、魔物も倒しやすくなるし、一石二鳥である。



 私達は気配を押し殺し、ゆっくりと魔物達の群れへと近付いた。


 そして、魔物に気付かれる前にいくつもの爆弾を投げつける。これはルージュちゃん産の燃える爆弾である。


 火に弱いここの魔物たちには効果抜群のはず。


 桜子ちゃんの言ってた通り。魔物達にこの爆弾は効いていた。魔物達はこちらに気付いたようだ。


 そして、魔物達の後ろにいたのは2人組の男女。あれが十六夜??


「人間が来たよ。どうするの? リトビア」


「決まってるでしょ、アルロ。皆殺しよ。十六夜先輩に褒めて貰うの。あたしってば、やる気出しちゃう」


 会話を聞く感じ、女の方がリトビア。男の方がアルロらしい。十六夜先輩って言ってたし、十六夜の後輩? 何にしても倒すだけだ。


「【破滅の旋律】」


 私は魔物とこの2人組に呪いスキルを発動した。


 他の皆も作戦会議をしたように、各自が動いてくれる。


 私達は十六夜が出た時のことも話し合っていた。今回は十六夜ではなかったけれど、あの2人組も十六夜もそんなに変わらないだろう。


「『呪い精霊王召喚』『呪い精霊召喚』『闇精霊の導き』」


 精霊を召喚して、魔物との戦いに加勢してもらう。



 シグレと茶々さんは魔物のHPを削ることを優先してくれている。そして、夜の使徒の2人組はゼノンとマロンちゃんが対応する。


 ルージュちゃんの爆弾は広範囲の敵のHPを削る。



「【反転(呪)】[カース召喚]」


 カースちゃんには後衛組の防衛をお願いしつう、敵のHPも削ってもらう。


 そして……、私はマロンちゃんの方をチラリと見た。マロンちゃんは頷く。


「きゃはははは! あんたさっきからなんなわけ? 撃つのが下手くそね」



 リトビアは自身の髪飾りを掠めるばかりのマロンちゃんのことを嘲笑う。マロンちゃんの銃攻撃は、リトビアのHPを全く減らしていない。



「遊んでる暇はないよ、リトビア。とっとと終わらせよ」


 アルロはそう言うと、目をぐっと見開く。すると彼の金色の瞳は光輝き、瞳の光を受けて、魔物達はさっきよりも苦しそうに喚く。


 そして、凶暴さが増した。


 速くあの2人組を倒さないと。私は後ろで呪い使いとエンチャーの役目をこなしていた。


 カラン。敵のリトビアの髪飾りとアルロのバッチが下に落下する音がした。マロンちゃんの銃の仕業だろう。


 それを見届けた私はカースちゃんに髪飾りを回収するよう指示を出す。


 カースちゃんは私の言う通りリトビアの落とした髪飾りとアルロの落としたバッチを回収してくれた。


 このまま藁人形を使えば、この2人は倒せる。けれど、その前に聞きたいことがあった。


「ねぇ、あなた達、デュアス帝国の皇帝を知ってる? いや、会ったことある?」


 怪しげな占い師にデュアス帝国の皇帝が夜の使徒のリーダーということを聞いてからずっと気になっていた。この2人なら何か知っているかもと思った。


「デュアス帝国の皇帝? あたし達がそんなやつと会ったことあるわけないでしょ?」


 バカにしたようにリトビアは笑い、杖を振る。すると、黒い玉がこっちに飛んできたが、カースちゃんが庇ってくれた。


「なら夜の使徒のリーダーってどんな人なの?」


「夜の使徒のリーダーですって? あんたに教えるわけないでしょ」


「とかいって、知らないだけなんでしょ?」


 この女は怒りっぽそうなので、挑発してみる。挑発に乗ってきてくれないだろうか、なんて淡い期待を抱きながら。


「知ってるわよ! あのお方と私は直接会ったことが……」


「喋りすぎだよ、リトビア」


「あのお方のことは教えないわよ」


 リトビアから何か聞き出せるかと思ったが、アルロという少年の方に邪魔をされた。ちぇっ。


「なら怪しげな占い師は?」


「怪しげな占い師? ああ、あの気味の悪い。あいつ、大嫌いなのよね」


「私もあの人は苦手。どんなやつなの?」


「知らないわよ。ってあんたさっきから何なのよ!?」


 リトビアは急にブチ切れ、何度も杖を振る。黒い玉が無数に飛んでくる。


 これ以上は何も聞けそうにないかな。


 私はリトビアの髪飾りとアルロのバッチを、藁人形に入れ、ゴスンゴスンと五寸釘を金づちで打った。


「あんた、一体なにを!?」


「そんな、十六夜先輩にお見せする顔が……」



 どんどん2人のHPは減っていく。2人も異変に気付いたらしい。顔が青ざめていく。


 リトビアとアルロのHPはやがて0になり、消滅した。



 そう。始めからマロンちゃんはリトビアの髪飾りを狙っていたのだ。下手に攻撃するより、敵の持ち物を奪って私の藁人形で倒す方が早い。


 たくさんの経験値が入った。そして、2人組を倒した私達は魔物倒しに加勢する。



 魔物はリトビアとアルロを倒したおかげか、少し弱体化した。あの2人も魔物使いだったから、何らかの影響を受けていたのだろう。


「【カルタフィルスの呪い】」


  100体近くいる魔物のほとんどのHPが25%以下になっていた。私のこのスキルで、4分の1くらいの魔物が死ぬ。


 一気に魔物を葬れた。


「【アラウンドヒール】」


 皆のHPを回復しつつ、ルージュちゃんに貰った燃える爆弾を敵に投げていた。


 それからルージュちゃんの爆弾で燃える敵に、着火ファイアーを投げつける。これは業火の地獄でたくさんゲットしたアイテムなんだけど、燃えてる敵に大ダメージを与えられるんだよ。


 私達はそんな風に、戦いを続ける。ひたすらにスキルを使い、殴る。


 私はクールタイムが切れると、2度目の【カルタフィルスの呪い】を発動した。


 これで、敵の多くが死んだ。


 この時、敵のHPはもうほとんど残っていなかった。ゼノンが大きく雷のスキルを使うと、ゼノンの周囲の敵は全滅した。


 後もう少し。私達は最後の総仕上げへと入る。私達が色んなスキルでタコ殴りし、群れの魔物を全員倒した。


 私のレベルはなんと178にまで上がった。経験値あがーるを飲んでるとはいえ、この上がり方はすごい。


 いっぱい魔物倒したもんね。


 昨日よりは作戦を立てたお陰か、楽に倒せた気がする。


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