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番外編 正義のために少年は(2)

 俺はフェリシモ王国に来ていた。俺は、というより俺たちはといった方が正しいか。


 俺たちがフェリシモ王国に来たのは、オークションに参加するためだ。オークションに参加して、PKに有利なアイテムをPKプレイヤーが入手するのを阻止する。もちろん見かけたPKプレイヤーは倒すつもりだ。


 どんな理由があろうと、PKは許されない。


 俺たちは船に乗って、フェリシモ王国にやってきた。比較的快適な船旅だったと思う。特に大きなトラブルもなかったし、船が大きく揺れることもなかった。


 フェリシモ王国に着いた時、俺はその景色に驚いた。辺り一面真っ白だったからだ。


「綺麗だね、アオ」


「そうだな」


 はしゃぎまわるヒヨリに相槌を打ちつつ、歩く。とりあえず、街の見回りから始めないとな。



 俺たちは街の見回りをしていて、気付いた。それなりの数のPKプレイヤーが集まっている。他の国からも手練が来ていて厄介だが、見つけたPKプレイヤーは全員倒した。



 俺たちはフェリシモ王国に来てから、何日もPKKを続けた。オークションが近付くにつれて、PKプレイヤーの数も増えていった。


 そして、いよいよオークションの日当日を迎えた。俺たちはフェリシモ王国の城で、作戦会議をしていた。ここならカルマ値の低いPKプレイヤーは入ってこない。


 普通のプレイヤーも今日のような荒れそうな日は大人しく室内で過ごしているだろうから、誰にも聞かれることは無いはずだ。


 そう思ったのだが、俺たちが会議を終えようとした時、人の気配がした。



 俺はちらりとそちらを見ると、2人組の少女だった。珍しいな、こんなところに戦えなさそうな子が来るなんて。片方は人形を抱えていたし。


 仲間のシロナが心配に思ったのか、少女達に声を掛けにいった。



 俺たちは、作戦会議を終えると、オークション会場へと向かっていった。ちなみにオークション会場は広場である。


 大々的に、大人数の集まるところでするらしい。



 オークション会場に着くと、そこには大勢のプレイヤーがいた。もちろんPKプレイヤーもいた。しかし、オークション中のプレイヤーの戦闘は禁止されていた。


 俺はぐっとPKプレイヤーへの怒りを堪えながら、オークションに向き合う。



 オークションでは、次々と商品が売り出されていく。俺や俺の仲間たちがいくつか買っていく。しかし、全てを買えるわけじゃない。



 終盤になると、目玉商品が売りに出された。いくつかの目玉商品を何とか買う。


 そして、最後。大目玉商品である。【血濡れのリング】が競りにかけられた。


 このリングを装着すると、プレイヤーを1人PKもしくはPKKするにつれて、HPが10上がる。


  2人PKKすればHPが20上がり、10人PKKすればHPが100上がる。PKプレイヤーやPKKプレイヤーにとっては破格の性能だ。


 それ以外のプレイヤーには、なんの価値もないだろうがな。


 この大目玉商品は俺たちと死神の使いの対決となった。値段は跳ね上がっていく。しかし、俺たちの資金的にこれ以上はきつい……、そう諦めかけた時だった。


「俺のお金使えよ! お前らPKKなんだろ?」


「私のも使ってください! 少ないですけど……」



 何人かのプレイヤーが支援を提案してくれたのだ。最初のプレイヤーの一声がきっかけになり、支援の声は広がっていった。


 そして、俺たちは大目玉商品を手に入れたわけなのだが、それにキレたのが死神の使いの連中だった。



 死神の使いからすれば、俺たちがレアアイテムを手に入れたのが気に食わないのだろう。


 オークションが終わった後、戦闘禁止が解けると、俺たちに死神の使いの連中が襲いかかってきた。


 俺たちも元々オークションが終わったら、PKプレイヤーを倒すつもりでいたので、戦闘準備は整っていた。




 そこから戦いは始まった。俺たちの戦いはどんどん激しくなっていき、こちらにもたくさんの犠牲者が出た。


 くそっ。大切な仲間が殺されていく。俺はPKプレイヤーへの憎悪が膨れあがった。PKプレイヤーは全員許さない……!


「アオ、撤退だ。これ以上犠牲者を出せない」


 リーダーがそう言った。


「でも……」


「これ以上はやめだ」


 リーダーに強く言われ、仕方なく俺は引き下がった。このままここで戦闘を続けたら不利なのがこちらなのは分かっていた。


 だが、こちらから引くなんて狙いさげだという気持ちや憎悪が、理性を上回っていた。


 俺たちは一旦引き、泊まっていた宿屋で、今日の成果を報告していた。


 オークションの成果は上々、かなりの数のPKプレイヤーも倒した。しかし、何人かの仲間が犠牲になったので、皆の顔は浮かないままである。


 そんな時、仲間の1人がある報告をした。


「そう言えば、この国の城で盗難事件が発生したらしいですね」


「盗難事件?」


 首を傾げるヒヨリに、シロナが答える。


「あの悪魔のアラトが騒ぎを起こしたらしいわよ。城の宝を根こそぎ奪ったみたいね」


「ああ、あいつか」



 噂には聞いたことがある。ペガサス王国にいるという悪魔のアラト。やばいプレイヤーだとか、イカれたやつだとか、そんな話だけだが。


 俺の嫌いなNPCキラーではあるが、PKプレイヤーではないらしいので、あまり興味を持ったことはない。


 そんな報告を俺は軽く聞き流していた。


番外編は一応終わりです。後は明日か明後日あたりに、登場人物とかスキルの一覧と説明をのっけて、来週の月曜日から第3章を投稿する予定です。第3章は多分短めになると思います。いつもブクマや感想、誤字報告、評価等ありがとうございます。第3章も読んで貰えると嬉しいです!

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