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番外編 とあるクノイチの受難(2)

 『呪いの遺跡』のパーティ募集で集まったのは、私を含めて6人。十分な人数だろう。


 簡単に自己紹介をして、クエストに挑む。


  1人、武器ではなく藁人形を持っている可愛らしい女の子がいたのが印象に残った。藁人形を持っているなんて珍しい。


 この子、武器はどうしたんだろう。実は藁人形が鈍器で、藁人形で殴ったりするのだろうか。


 その疑問は共闘するうちに解消されることになる。


 私達は当初の予定通り、クエストを進めていた。しかし、ここで問題が起こった。パーティを組んでいたうちの3人が横暴な振る舞いを始めたのだ。


 何回かパーティを組んでいて嫌な思いをしたことはあった。しかし、ここまで非常識な振る舞いをされたのは初めてだった。


 かなり腹が煮えくり返ったが、パーティリーダーなので、なんとか穏便に済ませようとした。



 しかし、彼らの横暴がやむことはなかった。まともな2人ーー藁人形の少女と守護者の青年も困っていた。せっかくパーティを組んだのに、こんなことになって、この2人には申し訳ないことをしたかな。


 私がモヤモヤとしと気持ちのまま歩いていた時だった。


  3人組がとある魔物に苦戦していた。そして、私が助太刀に行こうとすると、意外なことに藁人形の少女に止められた。


「あの3人のことは放っておきませんか? あの3人が諦めてリタイアするのを待ちたいです」



「……そうですね」


 確かに、わざわざあの3人の助太刀に行く意味はない。私は藁人形の少女の言う通り、3人がリタイアするのを待つことにした。


 私は2人と雑談を始めた。



「手伝ってくださいよ。こんなところで何やってるんですか」


 私達が楽しく、談笑していると、3人組の1人、雄司がこちらにやってきて、文句を言ってきた。それに対して、藁人形の少女は笑顔で言い返した。


「私達のこと使えないって言ってたじゃないですか。使えない私達はここで見てるので、どうぞ3人で倒してください」


「後悔しますよ!」


 藁人形の少女の言葉に、雄司は悔しそうな顔をして、あの2人の元に戻っていった。正直かなりすっきりした。


 この子、可愛らしい顔をして、けっこうすごいな。私はさっきの雄司への少女の切り返しに感心していた。



 その後、私達は3人で話しながら、あの3人の戦いを見ていた。やがて3人組はリタイアしていった。いい気味である。


「あの3人がリタイアしたのはいいが、俺たちだけで倒せるか?」


 守護者の青年は不安そうな顔を浮かべる。確かにそれは最もだ。あの魔物はかなり厄介そうに見える。私達3人だけで倒せるだろうか……?


 回復スキルを持った敵というのは面倒極まりない。攻撃しても、HPが元に戻るのだから。


「何とかなりそうです。私は敵の回復効果を呪い効果に変えるスキルを持っているので。敵は10分間は回復出来ません。その間に敵のHPを削り切りたいですね」


 藁人形の少女は、自信ありげに言った。そんなスキルがあるなら、問題はなさそうだ。


「便利なスキルを持っているのだな……。了解した」


「【反転(呪)】! このスキルの効果が切れる前にキュアゴーレムを倒したいです。キュアゴーレムから狙ってください!」



 少女の言う通り、私はキュアゴーレムを集中的に狙っていく。


 少女のスキルのお陰で、キュアゴーレムは回復を使ったようだが、呪いダメージに変わっていた。


 すごい、これがこの子の力か。


 少女の反転というスキルのお陰で、楽に魔物を倒せた。その後も、私達は3人で魔物を倒し、このクエストをクリア出来た。


 高性能な呪いの刀も入手出来たし、最初不愉快な思いをしたことを除けば、有意義な時間だった。


 その後、私は少女ーーアナスタシアさんとライアンさんと友達登録をした。



 それ以来、私は1人でもくもくとクエストをしていたのだが、偶然アナスタシアさんと再開することになる。


 それはアレラム村へ向かう途中のことだった。偶然、アナスタシアさんとその友達のルージュさんと一緒になり、共に行動することになった。


 ルージュさんもアナスタシアさんも話しやすい人で、この2人といるのは楽しかった。そして、アレラム村ではマロンさんと出会った。


 初めは迷子になっていた変わった少女だと思っていたが、話しているうちに面白い子だと思った。



 そして、アレラム村で共闘するうちにこの子とも仲良くなれた。こんな風に誰かと楽しく話すなんて、いつぶりだろう。私はそんなことを考えていた。


 アレラム村での共闘が終わった後、私とマロンさんはルージュさんとアナさんが暮らしているお店にお邪魔することになった。


 そして、私達4人は気付けば、一緒に行動するようになった。クエストに挑んだり、イベントに参加したり……。


 友達がいたらこんな感じなのだろうか。私はこの日々を気に入っていた。


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