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第11話 食堂と新たな出会い

 ルージュちゃんが整理を終えると、私達は2人で店を出た。夜ご飯を食べるためだ。今日行くのはルージュちゃんのお気に入りの店であるまんぷく食堂。ルージュちゃんの店の3つ隣の店だ。


 そこはプレイヤーがやってる店らしい。さっそくお邪魔する。白を基調とした清潔感の溢れる店内。中には観葉植物とかも置かれてあってオシャレだ。人もちらほらいる。お客さんのほとんどはプレイヤーだ。


 私達は2人で、カウンターに座る。


「ルージュさん、来てくれたんですか?」


「うん! 友達を連れてきたの。紹介するね。この子はアナちゃん」


 ルージュちゃんと料理を作っている人間の少女、それから可愛いスライムを連れたカウンター席に座る青年は知り合いらしい。


「初めまして、アナスタシアです。アナって読んでください」


「初めまして、アナさん。私はヒナミです。このたらふく料理亭の店長をしています」


「俺はリク。ヒナミの兄だ。サモナーをしているんだ。このスライム可愛いだろ!」


 ちょっと雰囲気が似てると思ったら兄弟だったか。にしてもスライム可愛いね。私が森で見たのは気持ち悪かった。この差はなに?


「このスライムはプリティスライムって言ってな、普通のスライムとは違うんだ」


 リクさんは何やら熱弁しだした。プリティスライムののことが大好きなのだけは伝わってきたよ。


「もうお兄ちゃん……、スライム語りは辞めてください」


「その堅苦しいキャラやめようぜ、ヒナミ」


「私は敬語系のメイドキャラでいくって決めてるの! じゃない……。決めてるんです」


「なんだよそのキャラ縛り」


お兄さんと妹さんは仲良しらしい。いいね。私も妹とは仲はいい方だと思うけど、一緒にゲームするほどじゃないからなあ。兄弟で仲良くゲームとかちょっと憧れる。



「2人とも相変わらずだね。ヒナミちゃんのお手製のオムライスを食べに来たの! オムライスお願い!」


2人の会話に割って入って、注文するルージュちゃん。私にもオムライスでいいか聞いてきたので、頷く。


「オムライス2つですね。畏まりました」


ヒナミさんは恭しくお辞儀すると、オムライスの具を切り始める。すごい包丁さばきだ。これぞプロの技! って感じ。


 私達はなにやら圧倒されて、ヒナミさんの包丁さばきをじーっと見ていた。


「ヒナミちゃんのオムライスはすごく美味しいんだよ」


「これは期待出来そうだね」


 ヒナミさんの料理の仕方というか、包丁さばきというか何というか料理出来そうな感じを醸し出している。料理の出来栄えが楽しみだ。


 ヒナミさんはすごいスピードで料理を仕上げていく。卵をふわって空中で回転させて、フライパンでキャッチする。リアルでする人始めてみた。私は少し感動していた。


 最後に卵を乗っけて、卵の上にケチャップで、アートを描いたら完成だ。卵の上は剣や杖といった武器の絵が描かれていた。絵、上手だね。こんなに上手な絵を描かれると食べるのが勿体無いなくなる。


「「いただきます」」


 お腹が空いてるから食べるけどね。美味しそうだし。


 私とルージュちゃんは同時にスプーンで、オムライスを口に入れる。卵が口の中でとろける。まろやかな味わい。暖かくて美味しい。心の中で食レポをしていた。


「美味しい!」


「ヒナミちゃんのオムライスは何回食べても美味しいよ」


「ヒナミのはオムライスも上手いけど、ハンバーグも美味いぞ」


「なら次来た時はハンバーグを注文しよっかな」


 私は美味しいものが大好きだ。美味しいものを食べてる瞬間って幸せになるよね。ゲームすることの次くらいに好き。


 そんな風にはわいわい盛り上がった。夕飯を食べ終わるとその場はお開きになった。












☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 そして次の日のこと、私とルージュちゃんは経験値の森のクエストチケットを使って、経験値の森に来ていた。


 このようなクエストチケットを使うと、特殊なエリアに転移出来る。チケットを使って、移動するエリアは自分達だけのオリジナルエリアとなっており、私とルージュちゃん以外のプレイヤーがこのエリアに入ってくることはない。他のプレイヤーが経験値の森のクエストチケットを使っても、私とルージュちゃんとは別の経験値の森に移動するので。


 経験値の森のクエストチケットは私が誘いのスライムの隠れ家でゲットしたものだ。このチケットは1枚につき2人が使用することが出来る。なのでルージュちゃんを誘ってきたわけだ。


 経験値の森はその名の通り、経験値をたくさん獲得出来る森のことだ。さらに私達2人は経験値取得量up薬(小)を飲んでいる。この薬を飲むと、6時間経験値取得量が2倍になるのだ。今日はレベル上げを頑張るぞ。心の中で気合いを入れる。


 経験値の森の中はというと、普通の木々が生い茂る森だ。1本道になっていて、歩きやすいし、迷う心配がなさそうだ。


  2人並んで周囲を警戒しながら歩いていると、歩く木が現れた。その気は経験値と書かれた袋をいくつかぶら下げていた。一応鑑定をしておく。


経験値の木 Lv5

スキル なし

倒したものにたくさん経験値を与える。


「スキルも持ってないし、大したことなさそう。【破滅の旋律】」


 私が【破滅の旋律】で、呪い状態にする。その後は、私の通常魔法攻撃とルージュちゃんの爆弾でタコ殴りにする。


 その方法で、経験値の木を楽々倒せた。レベルが8から9に上がった。やったね。私は小さくガッツポーズをして、喜んだ。


「お、すごいよ! アナちゃん。1体倒しただけで、レベルが4から7に上がったの」


「私もレベル上がった! この調子でレベル上げてこ」


 その後も歩いていると、経験値の森の木が2体セットで現れた。経験値の木のダブルセットを倒すと、レベルが10になった。レベル10になったボーナスとしてステータスポイントが追加で、100も貰えた。帰ったら割り振らなきゃ。


ーーレベル10達成おめでとうございます。スキルポイント機能とスキル入手機能が解放されました。



 それとスキルポイントとかいうのも貰った。10スキルポイント。解放された機能も確認する。スキルポイントを使うと、精霊専用のスキルやエンチャンター専用のスキル、それから1部全員向けのスキルも購入出来るらしい。レベル10だから、レベル10で購入できるスキルは少ないけどね。




「10になったら、新しい機能が解放されたっぽい! スキルが入手出来るみたい」


「いいな。私も10になりたい。後2レベルで10だ、今日中に10にする!」


 レベルがすぐに上がるって楽しいね。成長してるってのが実感出来る。


 そんな感じで、もう7、8体倒したところで、ルージュちゃんはレベル11に、私はレベル13になっていた。そこで1本道が終わって、開けた場所に出た。


ーー経験値の森のボス魔物、経験値の木が現れました。


「ボス魔物も経験値の木なんだね。経験値の木以外見てないよ……」


「ね。レベルはどう?」


 一応経験値の木を鑑定をしておく。レベルが少し高いくらいで、特に危険なスキルもない。


「経験値の木のレベルは10。今までのより高いかな」


「いつもので行くよ!」


「うん! 【破滅の旋律】」


 私達の間で、連携が成立した。【破滅の旋律】からの爆弾コンボ。私は呪いと魔法、ルージュちゃんは物理で殴っていく。けっこうバランス取れてるのではないだろうか。トレーダーとエンチャンターのパーティってけっこうレアなんだろうけど。これは私とルージュちゃんだからこそなせる技だね。


 経験値の木はしぶとい。さっきまでのより固い。でもHPバーは残り4分の1くらい。もう一息だ。


「【呪い】」


「いって、私の必殺爆弾!」


 これで決まった。しぶとい経験値の木が大量の経験値を落として、消滅した。レベルが一気に15に上がった。


 クエストをクリアすると、白い光に包まれる。私達は私達が元々いた場所、ルージュちゃんの家のリビングに戻っていた。


「レベル13になったよ。アナちゃんに追いついた?」


「私は15になったよーー」


「がーーん」


 少し落ち込んだ声を出すルージュちゃん。


「なんてね、13に上がっただけで十分嬉しいよ、スキルポイントの機能も増えたし! チケットありがとね」


 ルージュちゃんは明るい声で、笑って言った。


「いえいえ、あ、そうだ。まだ経験値の薬の時間残ってるし、枯葉の森にいってみない?」


 枯葉の森は始まりの街の東にある森だ。ちなみに始まりの森は始まりの街の南にある。枯葉の森は枯葉がたくさん落ちていることから、枯葉の森と言われるようになったらしい。


 始まりの森よりは強い魔物が出るらしいけど、レベルが上がった私達なら大丈夫だろう。1度行ってみたい。


「いいね、行こ」


 私の提案にルージュちゃんは乗ってくれた。私達は少し早い昼ごはんをぱぱっと食べると、枯葉の森に向かうことにした。





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