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第98話 人魚姫(3)

 そして私達はいくつものレアアイテムやレアスキルを入手した。私はレベルが140になった。嬉しみ。


 今回入手したのは海底での活動に役立ちそうなものが多い。


 特に称号2つはすごい高性能である。


LE【人魚姫の舞】

海の中で自由自在に泳ぐことが出来る。遊泳速度は人魚並。


LE【海の住人】

海の中でも、息が出来る。ずっと海の中にいてもHPが減ることがない。



 しかも2つともMP+500のステータス補正が付く。もちろん2つともさっそくセットした。これは4つずつゲット出来たので、海の探索とかも4人で出来るね。


 他にも深海生物に強いアイテムとかガチャチケットとか色々ゲットした。


 海のガチャチケットってなんなんだろうね。気になる。



「もうこの称号2つゲット出来ただけでも大満足! アナちゃん本当に裏ボス見つけてくれてありがと」



「どいたま。それね! この称号をゲットしたら、海の中とか行きたくなるよね」


 フェリシモ王国もペガサス王国も海に囲まれた国だし。あ、神聖アシュタリカ王国まで泳いでいく?


 いや、溺れなくても、体力的にしんどいからなしだな。


 私はすぐに思い浮かんだ危険な考えを取り除く。でも神聖アシュタリカ王国まで泳ぐのはなしでも、どこかで泳いでみたいな。



「そろそろ先に進みましょう。闇海の宝石を手に入れなければいれませんし」


 私達が感傷に浸っていると、茶々さんか私達を現実に戻してくれた。


 私達は黒い泉の中から出て、奥へと進む。風景や魔物の種類は変わらないが、魔物のレベルは奥に進むにつれて上がっていく。


 かなり奥まで来たと思うんだけど、まだあるのかな? そんなことを思いながら歩きていると、アリアちゃんが立ち止まって、体を震わせる。


「どうしたの? アリアちゃん」


「何かいる……」


 私の問いかけに、アリアちゃんは自分の体を抱き抱えるようにして、座り込む。


 一体どうしたんだろう。


 何だか嫌な予感がする。この先に何かあるのかな?


「大丈夫?」


 私は怯えているアリアちゃんの背中をさすってあげたけど、アリアちゃんは俯いたままだった。


 私達は顔を見合わせつつも、どうすることも出来ない。



 ひたすらアリアちゃんが落ち着くのを待っていた。


「ごめんなさい。取り乱しちゃって。昔お城を襲った魔物のことを思い出しちゃったから」


「お城を襲った魔物?」


 私が問い返すと、アリアちゃんは声を震わせながらも話してくれた。


「10年ほど前のことよ。私達のお城をある魔物が襲ったの……。それでね、今その魔物の気配がするの」



「そういうことなら、私達に任せといて、その魔物を倒すから!」


 ルージュちゃんがどーんと胸を張って言う。魔物は倒すけど、人魚姫ってこんな話だっけ? どんどん脱線していってない?


  3人とも気にしてなさそうだけど。私の選択肢が悪かったのだろうか。


「本当!? でもあの大きなクラーケンを倒したあなた達になら出来るのかも!」


 私が人魚姫のストーリーを思い起こしていると、ルージュちゃん達の会話は進んでいた。



「なら先に進みましょう」



 アリアちゃんも落ち着いてきたところで私達は先へと進む。相変わらず変わり映えしない景色だな。


「あれ、なに?」


 私達がまったり魔物を倒しながら歩いていると、ルージュちゃんが突然ある方向を指さした。


 私達も一斉にルージュちゃんの指さした方向を見る。それを見て私は驚いた。


 無数の骸骨が蔦に絡まっていた。これ、なに? めちゃめちゃ気味悪いんですけど。



「あれって、魔物に殺られた……?」


 恐る恐るといった様子でルージュちゃんが呟く。


「魔物かしら。お気の毒に。先へ行きましょう」


 マロンちゃんはスタスタと歩いていく。マロンちゃんや茶々さんはホラーもグロも平気なので、涼し気な顔である。これはそんなにグロいわけではないけど。


 一方私とルージュちゃんは少しホラーが苦手だ。私も呪い使いのくせに、ルージュちゃん程ではないけどびびりなのである。


 呪い使いならむしろ骸骨と仲良くするべきはずなのに。ちなみにこの藁人形だってホラーだが、藁人形は平気だ。だって私の武器だし。むしろ可愛いと思っているくらいである。


 アリアちゃんは大切に育てられた人魚姫様なので、もちろん私とルージュちゃん以上に怯えっぷりだった。


 茶々さんとマロンちゃんの後を私達3人はおずおずと着いていく。


 私達が蔦の傍に近づくと、蔦は私達の方に迫ってきた。私達は蔦を避けるも、蔦は私達を追ってくる。



 あの蔦、一体なんなの? 鑑定を使うと、あの蔦が魔物の操るものだと分かった。


「あの蔦を操っているのはあの石像だよ。本体を狙わないと多分だめ!」



 私が慌てて叫ぶも、マロンちゃんとアリアちゃんが蔦に絡み取られていた。



「【反転(呪)】[カース召喚]」


 私はカースちゃんを召喚すると、早口でカースちゃんに命令する。


「マロンちゃんを助けて」


 ガンナーのマロンちゃんは蔦に絡み取られるとどうすることも出来ない。なんとか振り払おうとしているが、きつそうだ。



 カースちゃんはマロンちゃんの元へ向かっていく。敵は今マロンちゃんとアリアちゃん、それからアリアちゃんの救出に向かった茶々さんに集中していた。


 本体を狙うなら今がチャンスだよね。私はカースちゃんに蔦の足止めを任せつつ、本体を狙いに行く。


 私が蔦を避けつつ本体へ向かうが、近付こうとすると、蔦が迫ってくる。


 避けきれるか? と不安に思ったが、蔦は引っ込んだ。カースちゃんに救出されたマロンちゃんが蔦に弾丸を打ち込んでくれたのだ。


「アナ、本体を狙うんでしょ? 任せたわ」


「うん、ありがとう」


 マロンちゃんにお礼をいって、私は本体の石像へと急ぐ。蔦を避け、私は石像の前に立つ。この石像魔物っていうよりただの石像だけど……。



深海の石像Lv140

スキル 絡み付く 蔦操 硬化


 蔦を操るスキル以外は防御力を大幅に上げるスキルしかもっていなし、私の呪いで何とかなるはず。呪いは防御力と関係ないし。


 石像は私の気配に気付き、蔦をこたらに絡ませてくる。私は逃げながらもスキルを使う。


「【破滅の旋律】」


 これは1人じゃきついな。とりあえずこの呪いの効果が切れるまで、蔦を避けなきゃ。


 私が頭を悩ませていると、カースちゃんが駆けつけて、私を庇うように前に立ってくれた。


「カースちゃん、向こうは大丈夫なの?」


 私の問い掛けにカースちゃんは頷く。そして、カースちゃんは蔦を掴んだ。


 これで、後は呪いの効果がカースちゃんに触れられている間は続くはず……。


 そう思ったけれど、敵はカースちゃんの呪いの攻撃を受けていない。なんで? と思うと、蔦は敵の体から切り離されていた。こんなことが出来るの……? 私は驚きつつも次の手を考える。



 そうだ、この蔦を使えば……。


「カースちゃん、少し敵を引き付けて!」



 カースちゃんは私の命令に忠実に従ってくれる。その隙に私は敵が切り落とした蔦を藁人形の中に入れる。そして、かなづちで五寸釘をごすんごすんと打つ。


 すると、敵のHPはみるみると減り始めた。やった、効いてる!


 私は安堵と高揚感が混ざり合いながらも、藁人形を打ち続け、敵のHPを0まで削りきった。


 すると、辺りの蔦は消え、静かな空間に戻った。


 残りの4人も無事で、ほっと一息吐く。


「あの蔦の厄介だったね」


「アナさん本体潰しありがとうございました。本体を潰さないとジリ貧状態になりそうでしたからね」


「皆が蔦の気を引き付けてくれたお陰だよ」


 蔦は主に3人が何とかしとくれていたので、私は安心して本体と戦えた。


 私達はお互いを褒めたたえつつ、次へと進む。大分時間をくってしまった。




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