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第95話 異界「???」(下)


「一体なんなのでしょうね、この現象は」


「この魔法石もこの異界に入るアイテムもミシェラの光の精霊に貰ったんだよね。今度聞きに行かない?」


  私はここにきてから思っていたことを口に出す。


「それは名案かも!  分からないことは全部光精霊さんに聞くとして、パワーアップした装飾品の性能を見ようよ」


「そうね」


  私はさっそくだけと、翡翠の奇跡の性能を確かめる。


  翡翠のイヤリングから、翡翠の奇跡になって、どれだけ性能が上がったんだろう。


  翡翠のイヤリングの性能はこんな感じだった。


UR【翡翠のイヤリング】HP+100

即死ダメージを食らっても、HPを1残す。イヤリングに5つのアイテムをセット出来る。イヤリングにセットしたアイテムは死んだり、クエストをリタイアしても落とさない。


  しかし今回翡翠の奇跡に進化して、性能が大幅に上がった。


SCR【翡翠の奇跡】HP+1000

即死ダメージを食らっても、HPを1残す。イヤリングに5つのアイテムをセット出来る。イヤリングにセットしたアイテムは死んだり、クエストをリタイアしても落とさない。

HPのステータスが2.5倍になる。

さらに異界や裏世界の物、異形のものと戦うことが出来るようになる。


  性能もそうだし、ステータス補正もすごい上がりようである。これでSCRの装備品は2つ目。スキルも含めると、SCRは3つ目だ。


  私はSCRが増えた喜びを噛み締めていた。こんなにSCRがあったら、もう何が出ても何とかなりそうである。


  気になるのは異界のものと戦うことが出来るようになるってところ。異界のものとは普通に戦えないのだろうか。今回私達は逃げてばっかりで、戦おうとしなかったから、検証出来ていない。



  まああの人数と戦うのは骨が折れるし、1人殺して、犯罪者になっても嫌なので、試す気は湧いてこない。


  それからHP2.5倍も地味に嬉しい。ギフトと組み合わせたら、HP5倍になるし。戦いをする上で、HPと言うのは生存率を上げることになると思うんだよね。


  魔法職は基本、後ろからばしばし殴る戦闘スタイルなので、HPを重視する人は少ないけど、私は藁人形とかを使う時に、敵のアイテムを拾うために敵に近付いたりするしなあ。


  それにMPはほとんど消費しないし、10倍だしあまり上げる意味を見いだせないでいた。まあスキルが増えてきたらMPも使うだろうから、MPを上げる装備を身に付けてもいいのかもしれないけど。


  何はともあれ、この翡翠の奇跡はこの先もずっと使えそうな性能である。



  他の3人の装飾品もそれぞれ強く進化したらしい。私と同じで、異界のものや裏世界のもの、異形のものと戦えるようになったと言っていた。


  何が原因で進化したのかは分からないままだったが、しばらくの話し合いの末にまあいっかとなった。


  考えても分からない不可思議な状況が起こっているわけで、これ以上考えても無駄だろうとなった。あの魔法石が関わっているならあの光の精霊に聞いてみた方が早いと思うし。



「どうやって脱出します?」


  ここからはどうやって、この城を脱出し、元の世界に戻れるかだ。


  元の世界、と思って気付く。私いつの間にかあのプレイヤーのいる世界が私のいる世界になっているんだ。前までは元の世界っていったら現実の世界だったけど。


  長くゲームにいたせいか、ゲームの世界にいるのが当たり前になっている。


「逃げる!  追っ手が来たら私の眠り玉で何とかする!」


  私が関係ないことを頭に思い浮かべている間にも議論は進んでいた。


「逃げるという点は同意です。しかし、眠り玉は効きますかね?」


「効かなかったら、ライト玉を投げて、その隙に逃げればいいんじゃない?  ルージュちゃん、眠り玉とライト玉多めに貰える?」


  私も慌てて議論に参加する。逃げる前提で話は進んでいた。逃げるのは私も賛成だし、不満はない。というかこの世界に来て、装飾品が進化したので、むしろ満足である。後は帰るだけっていう気分だった。


「おっけー」


  私達はライト玉と眠り玉をいつでも投げられるようにスタンバイし、物音をたてないように、井戸の上へ上がる。


  まず茶々さんが気配がないことを確認して、一番乗りで上がる。そして次にルージュちゃん、マロンちゃん、私と上がる。


  上に上がって辺りを確認したが、特に誰もいなかった。私達が姿をくらましてから、しばらく経ったから、向こうはもう逃げたと思って諦めたのだろうか。



  私達は無言で、出入口のある門まで走る。門番が2人なら逃げ切れるはずだ。


  と思ったら、門番の2人はまた寝ていた。どんだけ寝てるんだか……。ざる警備すぎませんかね。


  この城は果たして大丈夫なのかな?  そんな疑問を持ちながら、私達はこの城を後にして、プレイヤーのいる世界に帰還したのだった。



  プレイヤーの世界に戻って、私達は一息ついていた。そして、私は光の精霊の居場所を探るために、道しるべの宝石を取り出していた。


  道しるべの宝石は光の精霊に貰った宝石だ。これを使うと、光の精霊のいる方向が分かる。


  早速私は光の精霊の場所を探ると、大体道しるべの宝石は神聖アシュタリカ王国のある辺りの方向を指し示していることが分かった。



「神聖アシュタリカ王国の方向にいるっぽい。あの光精霊」


「神聖アシュタリカ王国かあ。1回行ってみようよ。私達、ペガサス王国とフェリシモ王国以外行ったことないじゃん」


  茶々さんとマロンちゃんもそれに同意する。神聖アシュタリカ王国はペガサス王国とデュアス帝国に挟まれている国で、ペガサス王国とはお隣同士なので近い。


  そろそろフェリシモ王国も立とうと思っていたし、次は神聖アシュタリカ王国を目指すのがいいかも。



  私達がそんな話をしていた時だった、お知らせがピコンと光った。


  何かと思ったら、イベントのお知らせだった。


  新しいイベントというのは2週間後に開かれる武道大会のことらしい。



武道大会

開催場所 神聖アシュタリカ王国

内容

個人参加の武道大会。エントリーしたプレイヤー達がトーナメント形式で1vs1の対戦を行う。

色んなトーナメントが開催されるが、参加出来るのは1人につき、1トーナメントのみ。

トーナメントにより、参加報酬や入賞報酬が変わってくる。



  今回のお知らせはテンションがまともだね……。それにしても、神聖アシュタリカ王国で行われるなんて、何の因果だろうか。これはもう行くしかないよね、神聖アシュタリカ王国。


  武道大会とやらで優勝したい。絶対優勝賞品美味しいよね。いや、さすがに優勝はむずいかな。優勝は無理でもせめて、いい順位を取りたいと思う。



  トーナメントは10種類あるらしい。


  報酬が1番豪華なのがレベル100以上の人しか参加出来ない上級者トーナメント。


  2番目に報酬が豪華なのが、全員が参加出来るトーナメント。


  3番目が物理職だけが参加出来るトーナメントと、魔法職だけが参加出来るトーナメント。この2つは報酬は違うけど豪華さは同じだ。


  4番目が戦闘職の人だけが参加出来るトーナメントと生産職の人だけが参加出来るトーナメント


  5番目は男性だけが参加出来るトーナメントと、女性だけが参加出来るトーナメント。


  6番目がレベル50~99の人だけが参加出来る中級者トーナメント。


  報酬が1番粗末なのがレベル49以下の初心者トーナメントである。


  どれに参加しようか迷うね。参加するのは決定として。優勝とか8位以内に入るのを狙うなら、女性だけが参加出来るトーナメントとか、魔法職だけが参加出来るトーナメントが1番可能性ありそうだけど。


  参加賞がいいのは上級者トーナメントだけど、強い人がいっぱい参加するだろうからね。入賞は厳しそうである。参加賞とか優勝賞品とかはまだ発表されてないから、発表されてから考えるかなあ。



「トーナメントには絶対に参加したいわ。光の精霊も神聖アシュタリカ王国の方にいるなら好都合じゃない」


「私も!  生産職限定トーナメント参加したい」


「私はどのトーナメントにしようか悩むな、いっぱいあるし」


  私達は和気あいあいと、どのトーナメントに参加しようと、盛り上がる。


「なら、人魚姫のストーリークエストをして、知り合いに挨拶をしたら、ここを出発しましょうか」


「「「賛成」」」


  私達はこの日の夜は遅くまで、トーナメント談義に費やしたのだった。

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