ハーブ
アンブレラ社のリサイクル業務を終え、ハムスターをカバンに詰め込みゴルフバッグを愛車のランボルギーニに放り込んだ少女の名前はテツコ。
テツコ「OK、グーグル、サンタの家まで」
自動運転のランボルギーニが爆音とともに、破竹の勢いで吹っ飛び、中層部のサンタの家にピタリとつける。
説明書をよく読まずに、乗ったのが悪かった、テツコはむち打ち状態になった。
最近はけが人やら死人やらが沢山出るせいで、テツコの部署は徹夜続きで時間が無かった。
仕方が無かったのだ。
爆音を耳にし、家の中からサンタがケミカルなステップで慌てて飛び出してくる。
サンタのポケットから、ハーブがこぼれ落ちている。
テツコは安堵した、ああ、いつものサンタさん!!
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サンタは普段はやることがない。
力を蓄える必要があった。
12/25の朝に全ての住民にプレゼントが届くよう、毎年12/24の深夜に力を爆発させるのだ。
サンタはライオンの様なものである。
サンタは自身のことを勝手にそう考えていた。
狩りの時以外、無駄な力を消費せぬよう、ひたすら眠るのである。
サンタにとって12/24とはさながらライオンにとっての狩りと同じであろう。
サンタが一年かけて蓄えた脂肪も、狩りの1晩で燃え尽きる。
強靭な心を持つ必要がある。プレゼントの返品や交換に応じない。
高度な陽動力が必要である。プレゼントを交換したい場合、サンタからプレゼントを受け取った同士の交換なら許される。
寛容な心が必要である。サンタがプレゼントした贈り物を中古屋で売却されるのを、サンタ自身が許す心が必要である。
リサイクル意識が必要である。ゴミを街の中にバラまくことになるのだから、リサイクル意識は高くなければならない。
高度なストレスのため、ハーブでハイになるぐらいは許されていていい。