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hello world  作者: しろながす
magネット
2/22

水族館とゴルフ場

タケシは病院への搬送中、こんなことを思っていた。


ハリウッドスターに憧れて死ぬとは思わなかった。

英語で遺言を残そうとするも、リストカットの綴りがわからず、結局書けなかった。

辛い人生だった。


よく考えるとそこまで辛くなかった。

飢えることなく、教育を受け、病にかかれば十分な薬が手に入る。

部屋の側にゴルフコースもあった。


俺の体はぐちゃぐちゃで、まるでチョコレートの様だ。

これではジョニーデップのチャーリーとチョコレート工場だ。

ギリギリで生きてる。


トム・クルーズみたいな、タフさが欲しかった。

意識がなくなる前、頭に浮かんだのは台所のハムスターの人形の姿だった。


------


タケシは自室の所有権を手放した。

自ら意思表明することができないので、後見人によりそうされた。


タケシの部屋のハムスター人形は洗濯機と電子レンジと照明器具などの家電とデータリンクする。


部屋はモーターの駆動音とともに下降をはじめた。

ゴルフコースの横を下り、水族館の横を下り、下層部に到達する。

部屋は家電ごと、アンブレラ社のリサイクル工場に運ばれる。


テツコ「部屋のハムスターの回収終わったよ」

先生「部屋のハムスターより、部屋の主のことを少しは想いなさい」

テツコ「ジョニーデップになりたかった人?」

先生「違う、たぶんスティーブンセガールだ」


リサイクルマシーンのランプが黄色から緑に点灯し、部屋がまるごとリサイクルされたことが通知される。

コイルが励磁され、部屋の中の有機物がプラズマ化し、掃除は一瞬で完了する。


テツコ「新しい部屋になったね」

先生「新しい部屋だよ」


テツコ「このゴルフバックはどうするの?」

先生「今年のクリスマスに13階のサトウさんにあげなさい」

テツコ「サンタの靴下に入らない!!」


部屋は再びモーターの駆動音とともに上昇をはじめた。

下層部から水族館の横を登り、ゴルフコースの横を登り。


テツコ「ハムスター載せ忘れた」

先生「新しい部屋の主が来る前に、後で届けてきなさい」

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