表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/91

再会③

 城に戻ったジャック達は地上の訓練場——研究科の部屋から見える場所で、剣の稽古に励んでいた。とはいえ、今は休憩をしているのだが。


「なぁ、剣が強いってどういう事だと思う?」

「なんだまた唐突に」


 フィリカを研究部屋に置いてきた二人は、地面に胡座をかいて話していた。


「いや、最近魔法の練習ばっかりだったけどさ、その時に、もし魔力無くなったら頼れるの自分の腕だけになっちゃうよなー、って思って」

「なるほどねぇ」


 スライは水を飲みながら考える。


「どう思う?」

「うーん······動きに無駄がないとか、攻撃の最適解を一瞬で見出せることじゃないかね」

「最適解?」

「相手のちょっとした隙やクセ、弱点を見逃さない、ってとこか」

「なるほどなぁ。······ドラゴンにも弱点なんてあるのかな?」

「どうだか。大体は、脳と心臓くらいだろ」


 鼻で笑うスライは立ち上がり、立て掛けてあった木の剣を手に取る。

 続いてジャックも立ち上がる。だがその時、三階の窓から顔を覗かせたフィリカによって呼び止められる。


「ミーナさん帰ってきましたよー。話するそうですー」


 どこか眠たそうなその声を聞いた二人は剣を下げ、目を合わせる。


「残念だったな。もう少しで俺に勝ち越せたのに」

「このまま続けてもいいんだぜ?」


 そう言いながらも二人は剣を片付け、彼女らの元へと戻った。





 四人は、街全体の地図が書かれている紙を机に広げ、挟むように座っていた。

 ミーナが一人。向かいに三人である。



「結論から言うと、私たちがドラゴンを担当することになったわ」


 ジャック達はそれほど驚かず、真剣な顔を崩さなかった。それは皆、彼女なら一度言い出したらやるだろう、と考えていたからだった。


「あまり驚かないのね。まぁいいわ。とりあえず作戦を説明するわ」


 司令部で決まった作戦はこうだった。


 まず、ドラゴンが現れるまで、四人は北地区——橋付近に常に待機。そして、ドラゴンが空に姿を現したら、黒い実を潰しておびき寄せる。

 しかしこの間、別のモンスターが来る可能性も否めないので、それらは魔法、または武器を使って殲滅。


「基本的に雑魚は私が前でやるけど、取り逃がした場合はあなた達にお願いするわ。橋だけは渡らせないでちょうだい」

「お前ひとり前線で大丈夫か?」

「いえ。だからあなたは側で、私を守るのよ」


 少し身を引いたジャックはミーナと目を合わせると、すぐに体を戻し「了解」と頷く。


「後方のことは基本的に任せるわ。けど、スライは後で役目があるから、ドラゴンが降りてくるのが見えたら魔法は禁止よ」

「ん······? とりあえず分かった」

「フィリカも、魔力だけは使い切らないこと」

「わかりました」


 二人は頷いて返事をする。


「ちなみに、黒い実が風に乗った場合の話だけど、北以外——三つの橋には軍を配備してくれる事になったわ。だから他の地区のことは気にしなくて大丈夫よ。彼らを信じましょう」


 三人に、目で一度確認を取るミーナ。

 ついてこれていることを確認した彼女は、それからの話を続ける。


「それで、ドラゴンが地上へと降りたらだけど······スライとフィリカ。まずは、あなた達の出番よ」


 そうしてミーナは立ち上がると、ドラゴンの絵が描かれた大きな紙を黒板に広げる。彼女はその絵の、翼部分をチョークで丸く示す。


「魔法を使って、奴の翼を破壊して欲しいの。両方が望ましいけど、とりあえずは片方よ。飛膜部分を狙って飛べなくしてちょうだい」

「わかりました」


 そこでスライが手を挙げ、質問をする。


「直接、頭を狙って倒すっていう選択肢は?」

「恐らく無理よ。あなたの槍がいくら強力とはいえ、少し砕けるのがやっとじゃないかしら。——まぁ、暴れる敵の目を狙える、っていうのなら可能性はありそうだけど」

「それは、流石の俺も難しいなぁ······」


 後頭部で手を組むスライ。

 次はジャックが彼女に尋ねる。


「炎は通用しないのか?」

「きっとね。ドラゴンは寒さには弱いけど、熱には強いのよ」

「ふーん······」


 ジャックは、ドラゴンの棲家が火山であったことを思い出す。


「とにかく、私とジャックがドラゴンの気を引いてるうちに、飛膜を破壊するのよ。——いい?」

「わかった」

「はい」


 スライとフィリカは深く頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新作はじめました。
宜しければこちらもお願いします。

《出遅れ魔法使いとなった俺は、今日も借金を返すために少女とダンジョンへ潜り込んでレアアイテムを探索する》

小説家になろう 勝手にランキング
↑よければ応援クリックお願いします。一日一回可能です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ