長い長いチュートリアル
長い長いチュートリアル
「はぁ……」
自分のふがいなさにため息がこぼれる、いよいよ今日は王様に結果を報告する日だ。
俺はなんだか親に成績を発表するときのような緊張を覚えていた、昨日ステータスチェックに付き合っていたあのイケメンも今回はキチンと鎧を着て王様の横に控えている。
そしてそのイケメンが王様に跪き何かの紙を渡した、おそらく俺のステータスチェックの結果だろう。
それを見た王様が驚いたような表情でこちらを見てくる、どうやら俺のステータスがすごすぎて声も出せないようだ。
王様が深く深呼吸をし、改めてこちら見るとようやく口を開いく。
「ああ、ええっと、なんだ、前にも言ったが勇者は最初はろくにモンスターも倒せないらしいしな……何、これからきっとよくなるさ!」
おっと、やはり俺の思っていた通りこちらの世界でその結果はすごいようですね!……悪い意味で。
というかこの王様、やっぱりフォローのふりして悪口言ってるよね?
周りまりにいる大臣風の男たちにも同じようにステータスが書いてある紙が配られ、それを見た男たちがこちらにあきれたみたいな目線を向けてくる。
そして口々に
「おいおい、こいつ本当に勇者か?」だの「マジかよwwこいつやっぱクソ弱エェーじゃんwww」だの「…フッ」だの……
あれ?最後の人今鼻で笑わなかった?
もう本気で泣いてもいいですかね?
しかしこの結果にはさすがに王様の困ったようで顎に手を当てて何かを考えている。
くっそ!
悔しいが確かにこいつらの言う通り俺は今むちゃくちゃ弱い。
けどこれでチュートリアルは終わり、もうこいつらの顔は見なくてもいいしゲームとかであればこれから隠された力に目覚めたり、レベルが上がりいつの間にか幹部キャラより強くなってたりするはずだ!
そう、これからが本番!勇者の本気、見せてやる!!
そんなことを考えながらニヤついていると、大臣風の男のうちの一人が声を上げた。
「王よ!いくら勇者とはいえ、これでは戦力になどなりませんぞ!せっかく教会から許可が下り、勇者を召喚できたというのにこれとは……いかがお考えか!!」
いや、そんなに叫ばなくても……少なくとも俺が弱いのは俺のせいで会って王様が悪いわけではないわけだし……
すると王様も気まずそうに
「うむ……まああれだ、過去の文献にもあるように勇者というのは最初は弱いのだ……たぶん……そ、それに精神分析テストの結果も優柔不断でお人よし、コミュニケーションが苦手などなど!まさに文献に書かれている勇者そのものではないか!!……まあ、天然の女たらしというのが抜けてはおるが……」
うーん、俺の判定結果そんな感じだったのか、やっぱりこの王様フォローするふりしてとどめ刺しに来てる気がs……最後の方なんて言った?天然の女たらし?
その過去の文献にはいったい何が書いてるのだろうか……
「なあ、こいつぜってー勇者じゃねーって」
「うーん、これはさすがに……」
「このまま冒険に出してもすぐ死にそうだしなぁ……どうする?」
「殺す?」
こいつら好きかって言いすぎだろ……さすがにそっちの都合で呼び出してるわけだし、殺さ……ないよな?ねえ、殺さないよね!?
俺が訴えかけるよな目で王様を見ていると、王様もこれではかわいそうとでも思ってくれたのか
「ふむ……では、勇者を今から軍に入れ、鍛え、ある程度強くなってから魔王討伐に行ってもらうのはどう
じゃ?」
そんなお優しい言葉を……え?
「……うん、それならまあ」
「いいんじゃね?」
「異議なし」
はあ?!
「……ふむ、それでは勇者にはわが王国の軍隊に一時入隊してもらう!明日までには準備しておくよう
に!!」
「以上!解散!!」
嘘だろおおお!!!!????
俺の長い長いチュートリアルはまだ始まったばかりのようです。