俺のステータス2
俺のステータス2
俺は今異世界に来て最初のお仕事ステータスチェックを行っていた。
「1,2,3,4,5、…13,14、勇者様!!ペースが落ちてきていますよ!!!」
「は…はいぃ!!」
俺は今、反復底飛びをしている。
え?なんで異世界まで来てそんなことやってるかって?
そんなの俺が聞きたい……
どうやらこの世界でステータスを確認するためには、学校とかで受けていたようなスポーツテストのようなものを受けなければならないらしい。
せっかく異世界なんですし、ステータス魔法やらギルドカードでの確認なんかの便利な方法とかはないんですかね?と聞いたら
「え?なんですかそれ……ギルドカード?ステータス魔法?」
これである。
この世界は俺が思っていたより甘くないらしい。
しかし、これさえ終わってしまえば俺の大冒険が始まるはずだ!
だって俺、勇者だしね。
ちょっと長めの中チュートリアルだと思えば全然耐えられる……そう思っていた。
「勇者様!!またペースが落ちています!!!これ全く勇者ともあろうものがこれが終わったら持久走もあるのにそんな調子でどうしますか!!!」
「は、はいぃ!!!」
なんかこの人どんどん厳しくなってる気がします。
この後握力測定、走り幅跳び、立ち幅跳びに上体起こし、垂直飛び、長座体前屈、持久走、50メートル走、ボール投げなどをやった。
これでやっと終わると思ったらこの後に知能検査や性格検査を受けさせられた。
全ての検査を受け終えると日はすっかり落ちてしまっていた。
……もうやだ帰りたい。
もうこの世界の平和とかどうでもいいからさっさと家に帰って寝たいと思ったがもちろんそんなことはできない。
というか帰れるかさえもわからない。
俺は今、客室の広い部屋の大きいベットで小さくなりうずくまっている。
もうやだ帰りたい。
さっきまではしゃいでいたはずなのに少し時間がたち冷静になったのか、それとも疲れたからなのかここ
に来て初めてもうあちらの世界に、自分の住み慣れたあの家に、帰ることができないということに気づい
た。
そう思ったとたんに寂しさや不安、後悔といった感情が襲い掛かってくる。
おそらくはもう一生両親や友達とも会うことができないのだあろう。
……きちんとお礼を言っておけばよかった
明日は王様に俺のステータスを発表するらしい。
あんなぼろぼろの成績を見たら王様はどんな顔をするだろう使えないから元世界に返すとか言ってくれな
いかな?
……そうならいいな。
今日は疲れているからか、いつもより全然早い時間のはずなのに強い眠気がする。
「……今日はもう寝よう……」
こうして俺は異世界最初の一日を終える。
なんだか今日の枕はいつものよりふかふかで気持ちよく、酷く寝心地が悪かった。