呼ばれた理由
呼ばれた理由
俺は異世界に召喚されたその日、王様に呼び出されこの世界の説明を受けていた。
なんか長々語っていたが要約するとこういうことらしい。
この国「ビリーサム王国」では数十年前まで各地で戦争が続いていたが前国王が勝利したことにより一つにまとまった。
この世界には大まかに言って四種族の人類が存在していて、この国にいる種族「人間族」のほかに、武器の生産扱にたけた精霊族、並外れた戦闘能力を持つ「獣人族」、そして常軌を逸した魔力量を誇る「魔人族」がいる。
その四種族の中で、精霊族とは友好関係を結んでいる。
戦後はこの精霊族以外とはお互いに干渉することはなかったのだが、数か月前の地震の後に起きた神の啓示とやらで魔人族と獣人族が手を組み、この国を攻め滅ぼそうとしているということが分かったらしく、しかも魔王を崇拝することで永遠の寿命が手に入るという噂が流れており、魔王教などというものまではやり出しているらしい。
そして、そんな問題を解決するために勇者として召喚されたのが俺……だったわけだが……
本来であればこの国にとってよそ者であり、どこの馬の骨としれない俺を召喚するよりも、この国の強いやつだけを選抜してチームを編成、その全チームで魔王を袋叩きにした方が早いのだろうが……この国の成り立ちとやらをつづる過去の文献には魔王を倒すには勇者の力が必要不可欠と書いてあったそうな。
……しかし、なぜ勇者が俺なのだろう。……
周りの様子からして誰かに選ばれたわけではなさそうだし、案外ランダムだったのかもしれない。
そんなことを考えていると王様が俺のステータスを確認しておきたいと言ってきた。
お!ついに来たかこのイベント!ここで俺のくそ高い潜在能力があらわになり、さっきまで俺のこと馬鹿にしていた連中の鼻を明かせるわけだ。
「ふむ……では準備を始めよう。」
王様がそういうと家臣っぽいやつが布にくるまった何かを持ってきた。
きっとステータスを可視化できる石板とかそんなところだろう。
その家臣っぽい男は俺の目の前まで来るとそれを渡してきた。
持ってみると……なんかやけに軽い、確認するとそれは布にくるまった石板……ではなくただの布、というよりただの服だった。
「では、これより勇者のステータスチェックを執り行う!」
「え、ごめん、どゆこと!?」
俺は王様の言うことがまるで理解できなかった。