王との面会
王との面会
「き、緊張するな……」
国王というワードにビビり小声でつぶやく。
扉が開くと広い部屋の両脇に兵士風の男隊が整列しており、正面には大きなステンドグラス、その下に玉座がありそこにはいかにも王様っぽいお爺さんが座っていた。
「王、勇者様をお連れいたしました。」
神官が跪き、慌てて俺も動きを合わせる。
「うむ……貴殿が勇者か、そのままでは顔が見えぬ、顔を上げてはくれまいか?」
そう言われ、顔を上げると周りの連中がどよめく、気になって聞き耳を立ててみると
「え?勇者?あれが?」だの「え?マジで?くそ弱そうじゃね?」だの「えー」とあきれ顔でこっちを見てくるものもいた。
なんなのこいつら、いくら本当のことでも傷つくからやめてほしい。
おそらくこいつらはもっとイケメンで力の強そうなやつが出てくるとでも思っていたのだろう、呼び出した本人であろう王様のほうを見るとそいつまで微妙な顔をしている。
……そろそろ泣いてもいいですかね?
「ま、まあ良い、大丈夫じゃ、古い文献によると勇者というのはたいていが最初のうちは最弱とののしられたり、貧弱そうな見た目をしているらしい……想定の範囲内じゃ。」
王様、フォロー入れてるつもりでしょうがとどめさしてるよね?
異世界なのに「マジで?」という言葉が出たのにも驚いたが、それ以上に仮にも世界を救うために呼ばれ
たであろう俺への態度にびっくりだ。
「あ、あの、なんで俺この世界に呼ばれたんですかね?来たばかりなのでよくわからなくて……」
王様に直接言う勇気はないので俺の目の前にいる神官に小声でつぶやいた。
「……それについては王から直々に説明があるはずです。」
それを聞き王様のほうを見ると何かを察したように王様からの説明が始まった。