違和感
違和感
俺は今この世界に勇者として召喚され、神官に王室まで案内をしてもらっている。
「おお!」
窓から見える景色に思わず声が漏れる。
見れば見るほどゲームっぽい世界だ、レンガ造りの家が立ち並び、人も多い。
おそらくここが一番活気がある街なのだろう。
「なんかほんとにゲームっぽいな…これほんとに現実か?」
異世界から召喚なんて普通はありえない、それこそファンタジー小説とかゲームや漫画の世界だけだ。
まだ大掛かりなドッキリだといわれた方が納得がいくくらいだ。
しかし、もちろんそんな大掛かりで金もかかるドッキリを仕掛けてくる奴なんて俺の知り合いにはいないだろうし、する意味も分からない。
そんなことを考えながらしばらく窓の景色を眺めているとふと違和感を覚えた。
少し立ち止まり窓に目を凝らす。
「……え?」
その違和感の正体は鏡に映った自分の姿だった。
「ええ!?」
「……?」
「あ、いえ……何でもありません……」
神官が不思議そうな顔でこちらを見てきたので目をそらす。
一度冷静になり、もう一度窓に映る自分の姿を見直した。
窓の中俺は死ぬ前よりやせていて身長もかなり伸びている。
といっても見た感じ170前後だろうが、死ぬ前は160ないくらいだったので俺の中では伸びた方だ。
顔は大して変わらないただ前より痩せてはいるので、イケメンとまではいわないがまあ普通といったところだろう。
服ももともと来ていた制服ではなく黒のズボンに赤い色の宝石がついたネックレス、それに黒の魔法使いっぽいローブを着ていた。
召喚された時の影響なのだろうかと悩んでいると神官が話しかけてくる。
「勇者様、ここが王室になります。」
神官の緊迫した声に全身に力が入ってしまう。
深呼吸をし「大丈夫です」と答えると神官が扉の前にいる鎧を着た男たちに合図を出し王室の扉が開いた。