王道な展開
「……めよ……ざめよ……目覚めよ!勇敢なる勇者よ!!」
俺が目を覚ますと見覚えのない建物の中にいた。
「ここ……どこ?」
まず病院でないことは間違いない。
レンガ調の建物に宗教なんかでよく見る大きなステンドグラスが飾られている。
床にはゲームや漫画なんかでよく見る魔方陣が書かれており俺はその真ん中に横たわっていた。
周りには神官風の男が数名いて「おお!」だの「これが…!」だの「やったぞ…成功だ!!」などとはしゃいでいる。
全員髪は黒く何人か黒人ぽい人も混じっていた。
訳が分からなくなりあたりをきょろきょろみまわしていると一人の神官風の男が話しかけてきた。
「召喚に応じていただきありがとうございます、勇者様。」
「召喚?勇者?」
どういうことなのだろう俺はあの時確実に死んだと思ったのだが……
「わたくしはこの国のアラト教最高位神官、篠崎巧と申します。」
「は……はあ……」
これはもしかしてあれか?ラノベとかでよく見るあの王道展開……
「勇者様、異世界から召喚なされてお疲れとは思いますが、わが王国の国王が王室でお待ちです。こちらへ……」
マジか!やっぱり俺は異世界に召喚されたらしい……世界を守る勇者として!!
俺は次の展開への期待に胸を膨らませながらその神官についていった。