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2002年(結婚)

2002年9月ー 記憶の贈り物(結婚)


2002年9月、

ドイツで結婚式&披露宴を開いた。


それは、感謝だった。

自分が今、ここに在るのは、

ひとえに今までお世話になった周りの方々のおかげだった。

どれほど多くの人に、育てていただいたことだろう。

どれほど深い愛情を受けてきたことだろう。

(そしてそのほとんどは、自分では気がついていないのだ。)

心をかけてくださった周りの方々に、

(せめて自分が気がついているだけでも)

心からのありがとう、を伝えたかった。


それは、決心だった。

言葉も社会制度も文化や習慣も、

この土地のあらゆることに対する知識が全くなく、

知り合いは夫となる人以外一人もいない中、

この人と、生きていくということ。


次の瞬間には事故に遭遇するかもしれない、

相手が、あるいは自分が、あるいは周りの大切な人が、

突然病に倒れるかもしれない、

この土地に骨を埋めることになるかもしれない、

でも、この人と生きていく、ということ。


相手の心が、あるいは自分の心が、

浮くこともあるかもしれない、

目に見えるものを、あるいは見えないものを、

失うかもしれない、

背負いたくないものを一緒に背負うことになるかもしれない、

でも、今、この人と生きていくと決める、ということ。


Die Entscheidung



現実(困難)をそのまま受け入れる心を準備する場、

でもあったのかもしれない・・・。


そして、我がおばあちゃん。

二日間に渡るこの式と宴に、

膝の痛みをこらえておばあちゃんは飛んで来てくれたのだった。


いつも綺麗にしているおばあちゃん。

二日間、とても美しかった。

途中退席することなく、

二日間に渡り、朝から夜中まで、

ずっと見守ってくれた。

その様子に、ドイツの皆様からも、

おばあちゃんは、素晴らしいね、

という声がたくさん聞かれたのだった。

挿絵(By みてみん)

(披露宴でのメッセージ)


さて、おばあちゃんが出席者の中で一番年上であったかというと、

そうではなかった。

ドイツの親戚に、トラウテ・タンテという

おばあちゃんよりもひと回り年上のおばさまがいらした。

このトラウテ・タンテは、

会った人皆を驚かせる魅力的な人だった。

まず、美しい。

当時、すでに90歳を越えていただろうか、

にもかかわらず、頭の先から足の先まで心が配られており、

とてもオシャレ、

ピンクのキラキラドレスがとてもよく似合っていて素敵だった。

そして、頭の回転が早かった。

「あなた、ドイツ語と英語、どっちが得意?」

と質問した後、ペラペラペラと滑らかな英語でこちらに向かってお話しされたと思えば、

隣の方とはすぐにドイツ語でお話しされた。

そのような方はたくさんいらっしゃるけれど、

場のつなぎ方、コミュニケーションの取り方が

それはそれは見事なものだった。

また、凛とした厳しさの中にユーモアと深い愛情があった。

初めて会ったのに、

「わたしね、何も思い残すことないの。今日死んでも構わないのよ。」

「夫もね、ある朝突然隣でぽっくりだったのよ。わたしも、そうできたら幸せだわ。」

また小柄でほっそりとしていらっしゃるのに、お腹に両の手を当てて、

「最近ちょっと食べ過ぎちゃったのよね。この脂肪、あなたにプレゼントするわ。(ウインク)」

(トラウテ・タンテは大変よく召し上がる。)

あるいは、

「あなた、心のこと、やっているのよね。人は人のことを助けることができるの?」

などとおっしゃったりされた。


このトラウテタンテ、

宴の席におけるギターの生演奏の際、

音楽に後押しされるかのように一人ふわりと踊るように立ち上がると、

若くてハンサムな自分の孫の手をぐいっと引いて一緒にダンスを始めた。

その華麗なこと、優雅なこと。

トラウテタンテのお顔からこぼれるチャーミングな笑みに、

そこにいる誰もが自然と笑顔になった。


それを見たおばあちゃん、隣でボソッとつぶやいた。

「うん、、、負けた!」


「おばあちゃん、勝ち負けじゃないから〜」と笑うと、

おばあちゃんも「ほっほっほっ。」と笑ったのだった。


挿絵(By みてみん)

↑おばあちゃんからのお祝いのカード。

仰ぐと当たるほのかな木香の中に、

まぶしい記憶が蘇ります。





2002年9月18日ー 八面六臂

挿絵(By みてみん)

Fさん

由季ちゃん


さぞ疲れた事でしょう

二人の生活を築く為に、数々の気配り

と手配と心労と 遠く離れて異国

の地で由季ちゃんだから完璧に出来た

のね。とてもとても美しかったですよ。

日本の花嫁さんならすべて親まかせで

ボケーッと座っていればいい所なのに通

訳まで引うけて大変でした まだお二人

の踊る美しい姿が目にやきついています

Fさんも八面六臂(一寸むずかしかった

かな。説明してあげてネ)の活躍で さぞ

お疲れだった事でしょう。充分身体

を休めて、実のある生活を築いて

下さい(忙しいのにおじさんにハガキを出して下さって

有難う 喜んでいました)バンコクで三日間楽しん

で帰りました おばあちゃん一寸ハプニングがあり

ましたが元気です。まだ書きたりないけれど

取り急ぎ厚く御礼迄、R兄様にもよろしくね。

驚いた事にべーちゃんはフラフラと歩いています

9月18日

              おばあちゃんより



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