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2021年(3月)番外編 ーおばあちゃんへの手紙 (満潮)

いつも、ふと、そうだおばあちゃんにお手紙を書こう!という気持ちの波のようなものがギユウッ!とやってくるのですが、(そして気持ちの潮が満ち切った時に一気に書く)ちょうどお手紙を認めた翌日、反対にこちらの気持ちを汲み取ったかのように「おばあちゃん」からのお手紙が届きました。

 既に書いた手紙は内容がそぐわないので、もう一度書き直しました。さて、投函しよう、という段になってふと想ったのですが、はて、今回は、届くのかしら、と。

 どうやら、前々回の手紙は届かなかったようなのです。

 「おばあちゃん」への手紙で消えた手紙はこの一年で2回。

 まぁ、でも、よくよく考えてみましたら、薄い紙きれが無事に届くということの方が奇跡なのかもしれません。何も大したことは認めていないので消えてもどうということもないのですが、それでもどこかに行方不明となってしまうというのもなんだか気持ちのおさまりがつかないようにも想われますので、ここに載せておくことで自分の気持ちをおさめさせていただこう、と想います。


(・・・お手紙が届かないのなら、そうだ、せめて、桜餅を、お送りしよう。)



挿絵(By みてみん)



 麗かな春の日差しが肌に心地よい頃でしょうか。日に透かされた黄緑色の柔らかな葉が、あちらでもこちらでも風に揺れている様子が想像されます。

 おばあちゃん、いつもどうしていらっしゃるかと想いつつ、こちらこそ、大変ご無沙汰をしてしまいました。実は昨日、おばあちゃんにお手紙を書きまして、さぁ、出そうと思っていた矢先におばあちゃんからのお手紙が届きました。これだけ長い文章を書くのはどんなに大変だったことでしょう。お手紙を手に取って眺めておりますと、梅の花満開の美しい便箋からも、〇〇伯母様が植えられたというお庭の枝垂れ梅の花が目の前に咲き誇るようです。そして、同時におばあちゃんのご様子が想像されます。いつもご丁寧なお手紙を頂戴いたしまして、本当にどうもありがとうございます。昨日書きましたお手紙は内容がそぐわないので、捨てまして、今改めましてこの手紙を認めております。


 お正月、節分、ファスナハト(こちらのお祭り)、雛祭りと行事が続き、今家は、イースターのための卵とウサギで飾り付けられております。こちらはまだロックダウン中で、レストランや公共施設などは閉鎖されており、夫もこの1年ほどずっと在宅勤務ですが、子どもたちは学校にもトレーニングにも通っており、お蔭様で皆、元気に過ごしております。4月から6月は器械体操の大会シーズン。子どもたちは、もうすぐ始まる大会に向けて、ますます練習に励んでいます。(昨年は大会は全て中止となりましたが、今年は無観客での大会が予定されているようです。)


 昨年はコロナ禍で帰国が叶わず、大変残念でございました。おばあちゃんはもうすぐ100歳!!!状況が落ち着きましたらおばあちゃんに会いに帰国したいと思っております。その日を楽しみに、どうぞお体をお大事に、お元気にお過ごしくださいませ。おばあちゃん、いつも想っています。


2021年3月25日

         由季

おばあちゃんへ




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