4話
学校を出ると夜風の寒さが肌に刺さる。
四月になったとはいえ夜はまだ冬の色を色濃く残していた。
この感じだと春がもう少し遠くにあるんだと感じる。
帰り道、僕は一人今日あった出来事を振り返ってみた。
改めて思い返すとありえないことばかりで、今さっきまで起きていたことはまるで夢の中の出来事のようでいまいち現実味が無い。
でも風の冷たさがこれは現実なんだと僕に訴えかけているようで、頭の中が整理できないまま家に着いてしまった。
考えるのに疲れた僕は現実感のない現実から逃げるように眠りについた。
次の日の朝、僕は雨の音で目が覚めた。
不思議と体に疲れはなく全身が軽かった。
体は元気だけど天気のせいで気分は重くなってしまった。
時計を見てもう少しだけ寝ようと布団を深くかぶってみたけれど雨の音と時々なる雷の音で中々寝付ずにいた。
今日はもう休もうか、そう思い始め少しうとうとし出した時にアラーム音が部屋に響いた。
その音にいらいらしながらもアラームを切りベットに戻り眠る。
『君は嘘をついたの?』
悲しそうな三花の声が聞こえた気がして、そのせいで目が覚めてしまった。
「夢……か」
僕はその夢が彼女が僕を呼んでいるように思えて昨日の事を思い出した。
「そう言えば約束、してたっけ」
その事は僕から学校を休むという選択肢を無くさせるには十分で、僕は制服に着替えて部屋からでると軽めの朝食と身支度を整えすぐに家を出ると雨はさっきよりも弱くなっていた。
家を出る時間がいつもより早かったので待ち合わせ場所に翔はまだいない。
いつもの待ち合わせ場所で傘を差しながら翔を待っていると
「あれ?もしかして綾人?」
後ろから突然声をかけられた。
誰だ?振り返って確認する。
「久しぶり……だね、こんな所で何してるの?誰かまってるの?」
そこにいたのは僕より歳が一個下で幼馴染の風見蓮花だった。