とろけるチーズ
「それで、何時頃結婚する」
一人の少女が、保育園児ほどの男の子に、そんなことを言っている
「いや、先のことは、ではでは」
少年は、そう言うと、少女の前から
「ギーーン」と、もうダッシュでどこかへと
遊びに走った
「・・・もう、照れ屋なんだから」
少女は、それにたいして
気にした様子もなく
そんなことを言っている
ここは保育園で
そして、彼女の名前は、佐東 水樹
今年五歳であり
おかっぱの、しょうしょうませた、少女という印象だ
たいして
先ほどの男の子は
藤堂 血鯛
のー天気で
気分や
実に自己中である
そんな彼のことを
彼女はいつも追いかけているようであった
「えー、今日は遠足に行くための、列の作り方を説明します」
その話を聞こうと
みんな耳を澄ませる中
藤堂 血鯛は
隣に座っている
沿道夏海に、声をかけていた
「もしよかったら、隣に並ばない」
「血鯛君、話聞いた方がいいよ」
「もう、まじめなんだ・か・ら」
「・・・・」
「せんせー、血鯛君が、話を聞かず
夏海ちゃんの邪魔をしていまーす」
横で、猿に似た
多屋隅 龍太が、そんなことを言って
密告する
「こら、血鯛君、話はしっかりと聞きましょう」
「へいへい」
「はいはいでしょ」
「すとも言う」
「そうともでしょ・・では、これから並びますから
みなさん、中庭に、急がず行きましょう」
そう言うと
我先にと
皆外に出だす
しかし
血鯛はと言うと
「それで先生、どこに行くんでしたっけ」
話をしっかりと聞かなきゃダメです」
「はいはい・・で、また、薄着山ですか」
「・・聞いてるじゃないですか・・ええ、でも、またって」
「もう、まいとしまいとし、今年は先生のおごりで富士山にでも」
「無理です、大体、そんな体力内でしょ」
「この前テレビで、地元の子供達が
登っていたよ」
「それは地元だからなの
父兄の協力があってのものなの」
「ほうほう、警察の協力ですか」
「・・父兄って言うのは、家族の事よ」
「それじゃあ、妹に許可取ってくる」
「まちなさい」
走りだそうとする、少年を押さえる
廣瀬 昭子先生
「えーーと、お父さんとか
親御さんね」
「ああ、そんなところに「お」をつけて、こびなきゃいけないなんて
先生、僕大人になんかなりたくないよ」
「なりたくなくてもなるんです、それに夢なんかはないの」
「夢はいつも希望を、産みますが、同じくらい、いや、それ以上の絶望を産みます、なんたって、夢は偽物ですから、現実にはない物を求める方が
おかしいんです」
「そんな大人みたいなこと言ってないで、はやく血鯛君も
お外に行きなさい」
「先生を待っていましたが、何か」
「ああ、そうですか、ありがとう、では行こうか」
「そうですね、今度からみんなの迷惑は、やめましょよ」
「・・・・・・・・・・・・仕返しか」
「もう、仕送りなんて、うちのかていじょうきょうがあなたは理解」
「そっちじゃない」
外にでると
待ちくたびれた生徒が
皆皆に遊んでいた
「えーみなさん、集まってください」
先生が大声で
皆を集めている
「それで、今回は何処行くか知ってる」
水樹に話しかける血鯛
「知りませんが、教えて」
「教えない」
間違いなく知っていそうな水樹
そして、それをあえて教えない血鯛
・・・なんなのか
「それでは番号順に
並んでください」
「えーー、くじ引きじゃないの」
誰かの声
「えーー、富くじじゃないの」
血鯛の声
「えー、お見合いじゃないの」
また同じ声
「はいはい、静かに
いつものことです
番号順に」
「はあ、つまらないな」
そう言って横を見る
いつも何処にいても
何かしら一緒にいる
水樹
そろそろ、いや
たまには別の女性がいい
「何・・また一緒になっちゃったね」
はにかむ
「・・ああ」
どこかげっそりと見る
血鯛
「えーー、では二列に並んでください」
ちなみに二人は一番最後であり
保健の先生と一緒である
「先生も毎度毎度大変ですね」
と血鯛
「ははは、君も大変だね」
「いえ、若いですから」
確かにわからい
五歳であるから
「でも、楽しみね」
「またまた、本当は、疲れるとか思ってるんでしょ
保育園児って五月蠅いですから
特にとなりのみずきは」
「酷いです」
「そうよ、それに、私は大変じゃないわ
それはこのとしになると
少し疲れるけど
みんなと外にでるのは楽しいの」
今年定年を迎える
貸す手 余先生
しかし
その顔は、実は仮面のごとくうらがあるのだ
「そうですか、そうですか、やさしい、かたですねー」
そんなことをいっている血鯛
その横では、「それじゃあ、お弁当、私が作ります」
「いや、それは良いよ」
「えーーなんで」
「いや、何となく」
「・・・・・」
「みなさーん、並べましたか、そしたら、次は、自由行動時の班分けですが、いつもの班でお願いしまーす」
「・・・自由じゃないじゃん」
「何か言いましたか、血鯛君」
「いえ、先生は自由だなーと」
「何処がですが何処が」
「いえ・・特には」
「それじゃあお願いします」
いつもの班が集まり出す
しかし
一つだけ集まりずらいはんがっあった
「あれ、五班はどうしたの」
「もうせんせい、ダジャレは止めてください
こんなときにご飯だなんて」
「・・・あなたの班は」
「なんかみんな、いいかげんで」
「光ちゃんけいこちゃんは」
「あの双子ですか、何でも仲良くトイレかと」
「・・そう、後の二人は」
「一人は、勉強をするといってまだ教室に
水樹は、お弁当の準備だといって
今帰り支度しています」
「なに」
かくして先生の安堵は
なかなかやってこないのである
かくして彼らは、無事保育園を卒業し
小学生になる
しかしそこで
彼らは思わぬ物をみた
それは数えきれぬ
様々なおかしな先生と
その中に一人
あの保健の先生
佐東先生の姿である
「先生、おはようございます、いくら僕たちが好きだからって
付いてこなくたって・・・・年をごまかして
定年を延期するなんて」
「・・・頼まれたんです、それに定年後でも働くことは出来ます」
「なかなかがめついですね」
「・・・・・それで血鯛君は、小学校は楽しい」
「いえいえ、もう大変ですよ、ほんと、何で小学校に上がってしまったのか」
「そうか・・・特にどんな」
「先生にいわなければいけませんか
しゃべれる問題だったら
悩みはしません」
「・・・・そうか・・それじゃあ、何かあったら先生のとこに来なさい」
「そんな、先生の子供には」
「・・・あら、そんなに嫌」
そんなことを言っているとき
「先生、誘惑してはお困ります」
利発な少女が二人の間に入る
久遠 友栄と言い
今までは別の幼稚園に通ってた
同学年だ
「あら、久遠さん・・中が良いわね」
「そうです、では行きましょうか、次の算数の・・」
そこで血鯛がい無いことに気が付く
「先生、血鯛君は」
「あら・・・どこに行ったのかしら」
・・・・・・・・・
教室に戻ると
「それじゃあ、昨日の幽霊特集の
要点は」
と、なにやら後ろの黒板近くで
数人の生徒が
話し合っている中で
まるで先生のように
その内容を言っている
生徒がいた
水樹「しかし、先生」
血鯛「先生ではないが、なにかね、水樹」
「幽霊なんて本当にいるんでしょうか」
「居るかどうかではなく、いた場合を楽しむお話だ
だから、ある程度リアルにかけない物は
ファンタジーの分類だ」
「ファンタジーって、リアル的にかかれないんですか」
「リアルが嫌いだから、ファンタジーなのだ」
「でも怪談話のことが本当に起こったのを
目にしたことないです」
「起こりそうで起こらないのが怪談だ
もし起これば
ほとんどだれもしないだろ」
「すごいですね、先生」
「先生ではない」
「いや、その年でそんなことがわかるなんて」
「君は子供のくせに、先生のようなことを言うな」
「大人だもん」
「・・・・」
そんなとき一人の少女がいを決したように
中に入ってきた
「血鯛君、授業始まるよ」
「ああ、ありがとう」
「どういたしまして」
彼女はそれだけ良うと
席に戻る
血鯛「・・・・・しかし、なぜ、これほどまでにUFO」
しかし、話は続くのであった
「ねえ、抱いて」
目の前に、髪の長い女性が居る
肌は白く
滑りがあり
体も
形容視すべき
言葉がない
それが今目の前にいた
逆にそれを認識している
男性は
手に持った
携帯端末を
持て余せていた
「・・・」
それは静かに近づき
抱きつこうとしている
しかし
なぜだ
なぜなのだろう
なにがどうして
しかし
どうも受け入れがたい
「やめてくれないか」
男が言った
「・・・・・キライ」
女は潤んだ瞳でそういった
「・・・・・君は美人過ぎて
どうも」
全く持って何という贅沢な言い方だろう
「・・・それじゃあ、整形したら」
「それ以前に」
男は言う
「きみは、あまりに、美しすぎて
そばにいることが、こんな事をするのがためらわれるんだ」
彼女とは、何度か肌を合わせている
しかし
そのたびに男は思うのだ
「・・・・・」
彼は、ゲームをしながら
行為を行いたい
しかし
あまりにも彼女が偉大すぎて
そんな片手間に出来ないのだ
「それじゃあ、それじゃあ、もっと親しい
そう、幼なじみとかだったら」
「君は違うだろ」
彼女はその言葉に何も返すことなく
一人くらい部屋を後にした
かくして彼女は
何年もかけて
タイムマシーンを二十六で完成
そのまま、彼が居た時代
二十一年前の、自分を
彼の近くの保育園に
無理矢理入学させた
勿論彼女は嫌がったが
しかし
運命という物はあるのだろうか
彼を見た瞬間
彼女の言動は
先ほどまでとは
まるで違うものとなっていた
未来に帰ってきたとき
果たしてどうなっているのか
彼女は意気込んで
未来へと向かう
「・・なんで、何で私と付き合っていないの」
彼は、久遠友栄と、付き合っていた
それどころか結婚をしていた
「なんで」
自分は今、彼らの結婚式に向かう途中だ
(ダメダダメダダメダダメダダメダ)
彼女は心の中でそう叫ぶ
ダメなんだ
そういったかと思うと
発射間近の電車から飛び降り
タイムマシーンに、向かった
「ぜったいだめ」
「君は綺麗すぎる」
「・・・・愛してますか」
「さあ、でも君は綺麗だ」
時間の流れは元に戻ったような気はする
しかし
彼は
本当に彼なのだろうか
あのときの
もしかして
全く別人の
彼女はそう思いながら
彼を見るのである