エピローグ
「結奈!」
「結奈ちゃん!」
「「どっちと帰るの!?」」
またこれか。と思った私は悪くない。
余談だが下の名前で呼ぶと瑠璃様は顔を真っ赤にしてめちゃくちゃ喜んでくれた。可愛かった。
流れで他の取り巻きの方々とも下の名前呼びすることになった。可愛かった。萌え殺されるって本気で思った。
「勿論わたくしと帰りますわよね?」
「私と帰ってくれるよね?」
この流れまで一緒かぁ。
内心でため息をつく。二人が左右の腕を抱え込んで引っ張り合う。両手に花なんて言っていられたのは最初の内だけだった。割とぐいぐい引っ張り合うので結構つらい。
「仕方ないですわね」
ややして、瑠璃様があきれたように呟いた。
あ、さすが瑠璃様大人! 引いて下さ―――、
「こうなれば、どちらが結奈に相応しいか勝負ですわ!」
―――る訳は無かったですね! 悪役令嬢ですものね!
「望む所です!」
そして受けて立つところじゃないよヒロイン!
どう考えてもおかしい。なんでここで対立イベントが起きてるの? 序盤でたかが取り巻き3を巡って起こっていいイベントじゃないよ? 終盤で攻略対象を巡って起こるルート分岐の為の大切なイベントだよ!?
「なんの勝負?」
背後から美声がかかる。救世主、悠真様だ!
「あらお兄様。どちらが結奈に相応しいかの勝負をしていますの」
悠真様! 瑠璃様がおかしいのでどうにかして止めて下さいと言おうとした瞬間、背中に人の体温を感じた。
「へぇ、じゃあ僕も参戦しようかな?」
何 故 ! ?
……あー。忘れてた。そういえばこの人も今日おかしいんだった。
そして、些事ですが舞ちゃんと瑠璃様が抱き締めるならともかく悠真様が抱き締めるとちょっと問題があるように思われます! ゆーあー まん。あいむ うーまん。おーけー?
悠真様が参戦したことでさらに熱が入ったのか二人の腕の力もさらに強くなる。
「結奈ちゃん、一緒に図書館で勉強しようよ」
「結奈、一緒にお洋服見ましょう」
「結奈ちゃん、スイーツビュッフェに連れて行こうか?」
右から舞ちゃん、左から瑠璃様、そして背後から悠真様。三者三様の誘い文句がかかる。
……うん。ほら、よく物語の巻き込まれ系主人公がいう台詞があるじゃない? 今ものっすごく気持ちがよく分かる。
…………どうしてこうなった。
たくさんのお気に入り登録、評価、感想ありがとうございます! 幸せいっぱいです…♡
これで完結ですが、幸せにしていただいたせめてものお礼に番外編をSS方式で書かせていただきます!