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散歩と犬

 私は散歩をする。家から程近い、公園へ足を運ぶ。そこにはグラウンドがあり、その周りが道になっている。私はそこをぐるぐる回る。歩いて回る。毎朝決まって、六時くらいに散歩しているのだ。

 今日も朝の五時半に目を覚まして、しっかり身なりを整えて、散歩に出かけた。公園に着いたのは、いつも通りの六時ぴったり。グラウンドの周りをしばらく歩いていると、犬を連れた男の子がやってきた。

「来た!」

 私は心の中で叫んだ。毎朝すれ違う、ゴールデン・レトリバーを連れた男の子。私は密かに、その人に恋していた。だから毎朝、私は早起きして、この公園を散歩する。あの男の子に会うために。

 距離が縮まる。私は時計回り、彼は反時計回りで、歩いている。

 もうすぐ。もうすぐ……。ああ!

「近づくんじゃないわよ!」

「はぅわ!」

 私は一目散に逃げ出した。道の横にある垣根に身を隠す。今日もあの人はかっこいいのに……。

「またしても、あのメス犬!」

 そう。毎朝決まって、吠えられるのだ。私が男の子とすれ違う瞬間に限って。あの犬さえいなければ、私は彼に歩み寄って、抱き上げてもらえるのに。しかし、そうなると、彼もここには来ないわけであって。

 ああ、苦しい、この気持ち。だれが私の心を理解してくれるかしら。この小さな胸に秘める想いを。

 そりゃあ、「にゃあ」とも泣きたくなるものだ。

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