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肉とパン

 街中を当てもなく歩いていると、突然知らない女の人が近寄ってきて、

「朝ごはんに何を食べますか?」

 と訊いてきた。女の人は、ボードの上に紙を置いて、ボールペンを持っている。すらっと背が高くて、足も細くて、なんだか羨ましい。

「え?」

 唐突なので、質問を聞き逃してしまった。女の人はバッグを斜め掛けしていて、胸が強調されている。割と大きくて、やっぱり羨ましい。

「朝ごはんは何を食べますか?」

 女の人は、ゆっくり言った。聞き返したことに不快な顔を一つも見せず、むしろ笑顔で言い直してくれた。えくぼが素敵だ。

「ああ、えっと。パンです」

「なるほど」

 ペンを走らせる女の人の指は細長くて、爪もきれいで、羨ましい。メモを終えると、女の人は顔を上げた。

「朝ごはんに、お米を食べることはありますか?」

「いいえ。ありません」

 下を向くたびに、さらさらな髪が、ボードに落ちる。真っ黒で、長くて、つやつやで、美しい。触ってみたいと思った。

「どのようなパンを食べますか?」

「サンドイッチです」

「何をはさみますか?」

「お肉です」

「お肉……」

「はい。今朝も一人」

「え?」

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