プロローグ
更新は期待しないでください
のんびり書き溜めます
鬼頭涼介は学校からの帰り道を小走りで駆けていた。涼介は早く家に帰りたかった。先月買ったホラーゲーム「血塗られた館」をプレーしたかったのだ。
しかし運が悪いことに涼介は学校でも有数な不良集団に出会ってしまった。涼介はヲタク気質でクラスでも地味な立ち位置だ。だから目を合わせないようにして、不良たちをやり過ごそうとした。
しかし彼らの傍を通り過ぎようとしたとき、リーダー格の金髪に呼び止められてしまった。
「おい。お前三年四組の奴だよな。ちょっとこっち来いよ」
涼介は聞こえなかった振りをして立ち去ろうとした。しかし金髪はそれを許してくれなかった。金髪はさらに大きな声で涼介に呼びかけた。
「待てっつてんだよ。聞こえてんだろ」
怒気を孕んだ声に、涼介は仕方が無く足を止めた。
「どうしたんですか」
「ちょっと顔貸せや」
「はぁ...」
涼介の言葉が尻すぼみになった。
「おら」
いきなり金髪が涼介の顔面を殴った。涼介の鼻から血が吹き出した。
「とっとと返事しないからこうなるんだよ」
金髪が続けて涼介の腹を殴った。
「うっ...」
涼介は呻き声しか出せなかった。周りの三人の不良も楽しそうにそれを見ていた。
涼介は地べたに蹲った。そんな涼介を尻目に、金髪が涼介のカバンを漁った。財布を抜き出し、満足そうな顔をした金髪が涼介を嘲笑した。
「ふん。これは俺が有効利用してやるよ。そっちの方が金も幸せだろ」
「「はははは」」
金髪に追従するように取り巻きが笑った。涼介はそれを下から見上げて、何も出来ずに下唇を噛んでいた。
ーーその瞬間世界が光った。
五人を取り囲むように魔法陣が発現した。涼介は思わず目を閉じた。そのまま涼介たちは意識を手放した。
◇◇◇◇◇◇
きーん...きーん...
戦わぬ者には死の洗礼を...
逃げ出す者には永遠の生を...
きーん...きーん...
強き者には死の快楽を...
叡智を持つ者には血塗られた命を...
きーん...きーん...
涼介は不気味な、しかしどこか馴染みのある音で目を覚ました。
見ると、涼介たちの目の前には、口元が横に裂けた、真っ黒な悪魔が立っていた。
「ようこそ『選定者』よ。ここは『汝らが知るのとは似て非なる世界、血塗られた館』。諸君にはこれからあるゲームに挑戦して貰う」
「なんだよ。おめーは」
不良グループにいた茶髪女が問いかけた。悪魔が強気な表情の茶髪を見下ろした。悪魔はニヤッと笑った。
「我は...悪魔だ」
悪魔の宣言と共に茶髪の頭が弾け飛んだ。茶髪の脳味噌や体液、鮮血が飛び散った。少し焦げたような生臭い臭い。涼介は腐臭に顔を顰めた。
不良たちは暫しの瞠目した後、狂ったように叫び声を上げた。不良たちの足は震えていた。そんな彼らの様子を、まるで意に介さないかのように悪魔が話を続けた。
「諸君には血塗られた館から脱出して貰う。最初に与えられる武器は一つ。死にたくなければ、それを『存分に活用して』戦ってくれたまえ。それと館内で死亡は現実の死を意味するからそのつもりでな。生きていたいのなら死ぬ気で戦ってくれたまえ。そこの茶髪女のようになりたくなければな。もっともここでは『生きるのも死ぬのも』同じようなものだがな」
悪魔の声が響き渡る中、彼らの意識は再び途絶えた。
8/23編集