きな粉クッキー
冷凍庫で掘り出した鱈を、ムニエルにした。
そして案の定、切り身2切れに卵一個は多かった。
多いよなぁ、と思った瞬間に思いついたのだ。
小さなボウルにきな粉を30g、薄力粉を120g足して計150g。
そこにベーキングパウダーを小さじ半分だから2g。
泡立て器でシャカシャカ混ぜて、粉ふるいの代わりにする。
中くらいのボウルにはオリーブオイルと砂糖を40gずつ。
ゴムベラで混ぜて、さっき余った卵1/2を入れてさらに混ぜ、ついでに黒ゴマも。
そこにさっきの粉を投入!
ゴムベラで混ぜていく。
底からすくって切るように、繰り返していくとポロポロしながらもなんとなくまとまり始める。
まだ粉っぽいその生地を大きく広げたラップにくるみ、白く残った粉が馴染むようにたたんでは伸ばしていくと、ようやく完成のアウトラインが見えてきた。
生地の色が均一になったら、麺棒で適当に伸ばして型抜きして、オープンシートを敷いた天板に並べる。
生地作りの前に余熱していたオーブンは、既に170度に温まっている。
そのまま15分焼くと今夜のお茶のお供が出来上がる。
「おぉ、何かガシャガシャ音がすると思ったら」
脱衣所から頭を拭き拭き出てきた相方、豊がオーブンを覗き込んでいる。
湯上がりの頬がヘラリと緩んで、目尻には笑い皺が浮かんでいる。
「あたし今からお風呂入るから、焼けたら豊が出しといて」
火傷しないように菜箸でね、気をつけてね、と念を入れるが、漂い出した匂いに気が向いてる彼はちゃんと聞いているのだろうか……。
まぁいい大人なんだしと気を取り直してお風呂場に向かう背中を、ウキウキした声が追いかけて来た。
「円、今日のは何味?」
「きな粉とごま」
「お正月みたいだな」
「そう、お正月のきな粉餅の残り」
そこに豊の好きなごまを追加しただけだ。
「またきな粉餅食べたいな」
「はいはい」
一人の夜は一時間でも湯船にいるけれど、今日は少し早くあがろう。
火傷が心配なのもあるけれど。
明日は二人ともお休みだ。
こたつに入って豊が借りてきたDVDを観ながらクッキーをつまんで夜更かしするのだ。
二人とも予定がないから寝坊したっていい。
こっそり買い足して置いたお餅を、明日はまた二人で焼いて食べようか。
そして来年の冬も残ったきな粉で同じようにおやつを作って、二人でのんびりするのかなぁと想像したら、私の頬も緩んでいくのを感じた。
この生地、慣れたら計量から焼き上がりまで一時間未満です。
あら熱が取れるころサクサクになります。