明日も美味しい見聞録――腹ぺこAIと旅ごはん
旅は道連れ、火山うどん
私は、根無し草の旅人だ。
別に、すごく悲劇的な別れや事件、事故があったわけじゃない。
生まれに貧困とか、壮絶な不和とかもない。
……お母さんが、ちょっとしたお金持ちの人の妾で、正式に結婚しなかっただけだ。
お母さんは数年前に死んでしまった。とはいえ、もう成人まであと少しで、お母さんの遺した家もあったから、そのまま一人で暮らしていた。
お父様はそういった立場の人にしては珍しく、会ったことはなかったけど、お金だけは支援してくれていた。そんなお父様という人も去年、事故で亡くなった。
その通達の時に、正妻さんが本家に来てもいいと言ったけれど、さすがにそれは。顔が立たない。今まで交流があったわけでもないし。
だから私は少しの遺産をもらって、旅に出た。
これは、そんな私の人生の、ささやかな記録。
そこまで打ち込んでいると、私の執筆を邪魔する声が響いた。
「よくそんな事をぬけぬけと残せるよな、本当に。何だこりゃ、全くのでまかせじゃないか」
「……いいでしょ別に? これは超現実的な虚構。読者を楽しませるための味付けだよ」
私の旅の連れ、アスが私の文章を書いたそばから勝手に読んでいたらしい。
「どうしてそんなのが必要なんだよ」
「後から読んでくれた人に楽しんでもらいたいじゃない?」
いつか私の文章が日の目を浴びて、出版されるかもしれない。そうしたら、私の人生もなんだか無駄じゃない気がする。
「お前のこんなへっぽこ旅日記、一体だれが読むっていうんだ」
「……少なくとも今、アスが読んでるでしょ」
「読まされているっていうんだよ、これは」
……まあ、嘘だ。けど全部じゃない。
孤児で身寄りがなく、誰とも縁のない根無し草なのは事実だから。
ただし、そんな羨むようなルーツはない。そうだったらいいなっていう、ちょっとした憧れを込めただけ。
かつて栄えた文明が衰退して、色々なものが失われたというこんな世界には、よくある話。
でも、そんな虚構の主人公にないものが、私にはある。
今、茶々を入れてきた、この口の悪い相棒、アス。
一緒に旅する仲間がいるから、全然孤独じゃない。
少しうるさいくらいの存在は、寂しさを紛らわせてくれる気がした。
「そんな事より、はやくさあ。なんか食わせてくれよ。腹が減って死にそうだ」
「わかったって。じゃあ休憩はやめて、そろそろ行こうか。……あとちょっとなんだもんね」
「よし来た、乗れ! すぐ行くぞ!」
二輪自動走行機に私がまたがると、アスは勢いよくエンジンを駆動し、操縦を始めた。
操縦は彼の仕事、私は乗せてもらうだけ。
もう少しだけ進めば、食事がとれる場所があることは地図でわかっていた。
それで、なんでこんなところで足踏みしていたかというと。
……何年も整備がおろそかになっている山道は険しい。
今まで何時間もの間ずっと揺られて、お尻の痛みが限界だったんだもの。
峠を抜けて見えてきたのは、空腹を呼び込むような屋台群だった。
跡地に来る調査局や観光客、そしてその先の場所へ通過するためだけに通る私たちのような旅人の空腹を癒すためにある、憩いの場所だ。
通りすがるためだけとは言ったけれど。
でも、お目当てに来るような名物が、もちろんある。
「はやく、はやく!」
アスは待ちきれないように、飛び跳ねながら先に飛び出した。
「ちょっと待ってってば。急いでもお店は逃げないし、お財布持ってるのは私だよ」
「店は逃げなくても、空腹度はどんどん上がってんだよ!」
じゃあ、飛び跳ねるのを止めたらいいのに。無駄なカロリーを消費しているじゃない。
「町に着くまで、キャッシュもあんまりないからね。悪いけど、……一皿しか頼まないよ」
「ちっ。せこいな。たまには俺を満腹にしてくれよ」
「あんたが燃費悪いのがいけないんでしょ! 私はそんなに食べられないのに!」
「あーあー楽しみにしてたのになー」
「お願いだから、静かに。隠れて待っててよ。……ご飯が来たら呼んであげるから」
冬の寒いこの地方特有の味付けがされた名物料理。その名前が書かれた暖簾をくぐる。
真っ赤な色の暖簾は鮮やかで、入った途端、特有の匂いが食欲に刺さった。
『火山うどん』
念のため言っておくと、ここは別に、私の記憶の限り火が吹いたことはない山だ。
ここは鉱山だった一連の山脈を拓くために、鉱夫のために生まれた宿場町のなごり。
冷たい山の中でも、切り開く情熱を絶やさないために、活力を与えるために生みだされたのが『火山』の由来だということだった。
失礼。私が博識で知ってるわけじゃない。
そう、店舗の表の看板に書いてありました。
ともかく、そんな彼らの腹を満たすために生まれたかつての食堂街だったここは、鉱脈が枯れて人が去った今、最後に残された場所だった。
「いらっしゃい! 好きなとこに座んな! 何にする? ……てもな、ひとつっきゃねえよなあ?」
暖簾をくぐると、すぐに人のいい店主らしきおじさんが笑顔で声を掛けてくれた。
飲み物はいくつかあるみたいだけれど、このお店に来る人の注文は、それしかないのかもしれない。
「こんにちは。えへへ、そうですね。一杯お願いします」
「あいよ! うどん一丁!」
おじさんが厨房に引っ込んで消える。
『ひゅう。古くて少し小汚くて、床はべたついて……味わい深いねえ』
耳元のインカムに通信が入った。食事が楽しみで仕方ないアスが、わざわざ飛ばしてきたらしい。我慢が利かなすぎる。
「はいよ、お待ちどうさん!」
主たるメニューが一品しかないからなのか、ほどなく料理が運ばれる。
お盆にお箸と、小さい取っ手のついたお鍋。そこから直に頂く形式らしい。
……さすが鉱夫スタイル。野性味があふれている。
溶岩のように赤い油膜が浮いたつゆに、少し太めの真っ白なうどんが泳ぐ。
岩壁のような木茸がプルンと揺れ、地層のような肉の切れ端が重なっている。
暴力的に赤い海の中に、花びらのように何かの香辛料が揺蕩っている。
見ているだけで、辛くてむせ返りそうな色合いだ。
これが、鉱夫さんたちの開拓精神に火をつけた、元気の源。
幸いにも店の中に他に人もいない。問題ないだろう。
店主さんが厨房に去ってから、アスをそっと呼んでやる。
「おまたせ。じゃ、食べよっか。先に撮るね。上から、なるべく綺麗に撮影してっと。……う、湯気でぼけちゃう」
「写真の出来なんてどうでもいい! 早く食べさせてくれ!」
うるさいなあ……
シャッターを押すと、すこしぼけた料理が映し出される。
まっすぐでも精密でもない。
その代わり、瑞々しい出来立ての艶がライブ感たっぷりで映し出される。
うん、これはこれで最高に美味しそう。
端末画面には、即座に解析情報が並んだ。食材。カロリー。かつての世界の、その料理の来歴。
『ヒュダ地方、カミーカ名物、郷土料理。栄養素は……』
どうでもいい。そんなの今は知りたくもない。今知りたいのは、その味だ。
「よし。……とりあえず、細かいことは後にして、熱いうちに食べちゃおうっと。しばらく味わうから静かにしててよ」
『はっはあ! どうぞ召し上がれ!』
アスは興奮状態で混線させてしまったらしく、インカムと共鳴している。
うるさい。でも、もう耳に入らなかった。
無視して口に放り込む。
まずはスープ。具材をより分け、レンゲを差し入れた。赤い脂の下から、薄茶色の汁が溢れ出る。
どうやら基本は味噌らしい。胡麻が、匙が作った水たまりの中に雪崩れ込む。
掬い上げると、香ばしい香りが立ち上がった。
「わぁ、辛そうだけど、いい匂い……」
口に含むと、瞬間、刺激的な香りが広がる。
「んん! ……辛、ううん。辛いけど、辛くない。すっごく、美味しい!」
胡椒、唐辛子……花椒くらいまでしかわからない。そもそも香辛料に別に詳しくない。それでも辛さと刺激の中に、あらゆる香りが広がって、口の中がダンスパーティをしているみたいなのはわかった。
「あ~、いいよなあ。味の掛け算ってやつ? 俺、複雑なの大歓迎」
「すご~く、でも味噌の練った胡麻が溶け込んだスープが、甘くて濃いのがね、ちょうどいいの。バチバチやりあってるのに仲がいいって感じ。これだけでご飯も食べられそう」
「食えないくせに、そういうこと言うな。食べたくなるだろ」
そうなんだよね。申し訳ないけど、目下胃袋は成長中。まだ、ご飯を楽しみ始めたのは最近なんだから。
……スープがお持ち帰りできたらいいのに。そんなふうに頭の裏で苦笑しながら、箸をとった。
「まあ、今後の私の成長にご期待ください」
「はは、そうだな。よっし、麺の方はどうだ?」
アスはもうご機嫌で、ただの相槌ロボットのようにニコニコして肯定するだけだった。
「重い。一本一本が太いね。……あ。思ったより柔らかい」
消化をよくするためなのか、単によく煮えているだけなのか、見た目に反して箸でも簡単に切れるほどのやわらかさだった。
だけど、それが伸びたための残念さというよりは、スープを吸わせるためというような確固たる意志も感じられた。
すするだけでちぎれるかもしれない。レンゲで受けながら、麺も口に入れる。
「ふわふわ~! すごい。スープだけ飲んだ時と全然印象も違うよ。なんだろう。お味噌とかの奥にあるお出汁の味が前に出るっていうのかな。それに胡麻の粒が麺に絡んでるから、アクセントになるね」
「ほうほう。……麺の味よりもスープの方が強いのは、小麦の仕入れ先がばらついても味が落ちないようにするためかもな」
「ん! このお肉は何だろう。凄く濃いけど、豚とも違う……? ちょっと固いけど、噛めば噛むほどくせになる味が……うう、噛み、切れない」
「そういう時は、繊維に逆らうな! 割いて食え! ……これはイノシシ肉だな。珍しい」
「へえ、そうなんだ。木耳がぷりぷりで美味し~。箸休めになるね」
「うん。胡麻も木耳も肉も。歯ごたえも色々あって面白かったな」
私たちは、一つ一つ、いちいちはしゃいで、感想を言い合って、幸せな食事の時を分け合った。
「ごちそうさまでした」
「ごっそうさん」
私も、思ったよりお腹が減っていたのかもしれない。
胡麻の一粒、最後の一滴まで。全部、飲み干していた。
「はあ。美味しかった。辛そうに見えて、濃厚で甘いくらいで。指先までポカポカだぁ」
「あ~いいね、いいねえ、最高だ! 香辛料がカラダのすみずみまで染み渡る気がする……。なあ、ミラ。せめて、この後牛乳アイスくらいはいいんじゃないか? きっと茹だった口の中がひんやりして美味しいはずだ。食べようぜ。別腹だろ」
「えぇ~もう十分だよ。お金も無駄遣いだし」
アスがなんか言っていたけど、本当に私はもう満腹だ。幸せだった。
水を差さないで欲しい。
くつろいで伸びをしようとしていたところで、はたと目が合ってしまった。
「お嬢ちゃん……。さっきからいったい誰と話しているんだい?」
料理を出して下がっていた店主が、そこにいた。
お茶のお替わりを用意してくれていたらしい。
……しまった。見られちゃった。
食事の際にあまり褒められたことじゃないことはわかっていた。
お店によっては、とっても嫌がられる。
格式の高い場所では断られることもある。
うるさく騒ぐこと。
人数分頼まないで、一皿をシェアすること。
食事を撮影したりすること。
「ご、ごめんなさい。……迷惑、でした?」
このお店もそうだったら、申し訳ない。
「えっと、いや。そういうことじゃない。だって、そこに誰もいないじゃあないか」
たしかに、私が話しかけているように見える席は空っぽだ。
だって私の相棒は、人の形では存在していないから。
「失礼な! 俺は、ここにちゃんといるだろ」
少しだけ静まった店内に、空気を読まないアスの声が響いた。
重力制御を駆動して、浮かび上がって店主の前に“顔”を見せた。
いや、実際に顔はないけど。
「あー! あーあーあ! そりゃナビか。人格搭載とは、随分久しぶりに見たな」
店主のおじさんが、合点がいったと、額に手を挙げて破顔した。
そう、確かに彼は人じゃない。
今は手のひらサイズの、角型の端末の中にいる。
食事の撮影をしていた携帯端末そのものが、音声を発しているのだ。
そしてこんな存在も、ずいぶん少なくなったけれど、別に珍しいというほどじゃない。
「まだ動いているのもいるんだなあ。こんな田舎ではなかなか見かけない」
「あの、それで。大丈夫ですか? もしダメだったら、すぐ黙らせて出ていきますので」
先ほどの料理店の一般的なマナー以外にも、色々タブーはある。
宗教上の理由で、機械を忌避する民。
ただただ、機械生命や人工人格を差別する人もいる。
旧文明アレルギーの人だっている。
「ああ、いや、全然構わねえよ。他の客がいるわけでもない。最近全然見かけねえから驚いたけどなあ。するってえと、嬢ちゃんは遺物探索者なのかい?」
「ううん。もらいものだよ。とっても年代物で、燃費と口が悪くて。うるさいからって押し付けられたんだよね」
「おい! 失礼だろうが!」
「はっはっは。たしかに、こんなにずっと話しかけられちゃあ、大変だ。しかし面白い人格だ。昔の人ってもんは暇だったのかねえ。面妖なもんをつくったもんだ」
「他のやつらがどんな性格か知らねえっての。それより旦那ぁ。ご理解があるなら、なんかこいつに恵んでやってくれねえか。今の主人、見てくれ。やせっぽっちで、可哀そうだろう? 素寒貧で満足に食えねえんだよ」
「ちょっと! 失礼なこと言わないで! さっきのおうどん、すっごく美味しかったでしょ!! それに、私そんなに食べられないって言ってるのに!」
「かっかっか。饅頭くらいしかないがいいか。満腹なら少し後で食べればいいさ」
「うぉーー! ありがてえ、恩に着る!」
そんなに頂いてしまっても、お金はない。その代わりに、彼は来週一週間の天候予測情報を渡していた。
「え、やだ、本当にすいません!」
「気にすんな気にすんな。珍しいものを見せてくれたからなあ」
「ばっか、お詫びじゃなくて、礼を言え!」
たしかに。たしかにそうだ。この旅路、無料で頂けるカロリーは貴重なんだから。
「ありがとうございます……!!」
「いいってことよ」
「さあ、いただけ! 今すぐ食え! そして美味しく食べろ!」
「ねえ……太っちゃうよ。私が早死にしたら困るでしょ?」
「後でいくらでも運動メニューを提案してやる! 健康状態もちゃんと見てやるから!」
「だめ! 夜までにたどり着けなかったら、これが晩御飯になるんだから!!」
「バカな! 新鮮さというものは刻一刻と失われていくんだぞ! 失われる水分、冷えていくお……」
ミュートにした。
必死で文字表示に切り替えて点滅しているが、無視だ。
ひっ捕まえて、カバンに押し込んだ。一番奥に沈めて、カバンのひもをぎゅうぎゅうに縛った。
「あは、あはは……すみません……それに、美味しい食事、ありがとうございました」
そう言って、愛想笑い半分で、逃げるように店を後にした。
アス。ASKN = Adaptive Sentient Knowledge Network。
彼はかつて、目に見えない通信網が世界の全部を繋いでいたころ、旧文明で、人間の生活、通信、輸送、インフラ、知識検索を支援する、人格を持った適応型知性ネットワークのインターフェースの一つだった。
使用目的は様々で、生活の様々なことを、所有者と共に生きていた。
だけど、かつての情報世界は崩壊して、誰も彼に見向きをしなくなった。
それどころじゃなくなったから。
誰も使わなくなったからといって、消え去るわけじゃない。
そんなアスの生きるための燃料は、『情報』だ。
……それも、なぜか、私たち人間の食べる物の情報に突出している。
食べたもの、食べたものの感想を、写真や文字で執拗に求める。
だれかが美味しい食事を食べた感動というものだけは、いつの時代も、いつまででも新鮮で、彼にとって至上の美味だったらしい。
アスは、私と出会うまで、誰にも見られない世界で一人、生きるために情報を食いつないでいたという。
何度分析しても同じ味気ないデータを、何度も何度も解析しては咀嚼する。
苦しくてつまらなかったと言っていた。
きっとそれは、動きのない死んだ世界に生きていたからじゃないかなと思う。
彼はグルメだ。すごい熱量がある。
何度も同じ写真や文字じゃだめ。
私が実際に食べないで、それっぽいことを書くのもNG。
面倒な嗜好だと思う。定住して同じ食事をする生活じゃ、彼を満足させることなんて到底できない。
だから、私は旅をすることに決めた。
アスは本当は、食べる情報を選り好みさえしなければ、何とでも食いつなげる。
彼は孤独な通信網の世界で、生き延びるためにどんな情報でも食べて生き延びて、そしてどんな遺物も制御できる権能を持つまでに成長した。
機能を考えれば、その性能をあきらかにするだけで、どんな富豪も、いや国家が彼を養うだろう。それこそ、文明社会が死滅しない限りは、不老不死だ。
でも彼は、生の喜びと実感に飢えている。
かつての平和な通信世界には、毎秒料理の写真が飛び交っていた。
美味しいものは笑顔を生み出し、誰かにシェアされていた。
それは幸せで、彼を毎日満足させていたらしい。
人間の体験した情報、感覚、感想。リアルタイムで生み出される情報が特に美味しくて、それこそが生きている実感だっていうんだから、手に負えない。
二輪自動走行機に私はまたがると、彼を操縦席に乗せた。
ハンドルの中央の接続端子に丁寧に繋げてあげた。
多少、浮遊や無線接続ができると言っても、彼もさすがに操縦する機器に直接接続しなければ、精密な駆動はできない。
私という壊れやすく再起動できない命を安全に運搬するには、必要な手順だ。
操縦は彼の仕事、私は乗せてもらうだけ。
「ミラ! 絶対夜までに町につくぞ! あそこは馬の生肉が食べられるってよ」
「ええ……な、生? 大丈夫なのそれ。絶対嘘」
だから私は、彼を連れてどこまでも行って生きていく。
私だけが恩恵にあずかっているように見えるかもしれない。
実際そうかもしれないけれど。きっと対等だと、私は思っている。
アスは、もうひとりで食べていくのが嫌だと言ったから。
誰かと感動を共有する食事じゃなきゃ味気ないって。
だから、私は彼と一緒に食事をとる。
彼が私の提供する食事に満たされてくれている限り、彼も私に生かされている。
天涯孤独の私は、今のところ誰とも縁がない。
そのうち縁が出来るかもしれない。出来ないかもしれない。
縁が出来たとしても、いつか天国には一人で行くしかない。
でもそこまでの旅路には、きっと、この少しだけ口うるさい相棒が必ずいてくれるだろう。




