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7◇ややクズ魔石購入

7◇ややクズ魔石購入

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さて、再び冒険者組合を訪れた俺は早速組合長に発見されて奥の部屋に引きずり込まれる。


「やけに早いな。次の魔石を売りに来たのか?」


「いえいえ、そんな訳ないじゃないですか。今来たのはウチの家で使う魔石を買いに来たんですよ。」


俺はそう言い、ポケットから小さい布袋に入れたクズ魔石を取り出して見せる。

組合長は数個手の平に置いて状態表示魔法をかける。


「状態表示」

魔石:西の農地産の低純度の魔石で、現在魔力量は5分の1。


「これの2倍くらいの魔石が欲しいんですよ。親父が長年効果を増やせないか工夫していたので。今までは使えるクズ魔石の魔力保持量が少なすぎて、それほど長い期間効果を出し続けられなかったみたいです。競合店のことを考えると、今の2倍程度がとりあえずの上限として作るのがいいように思いまして。」


「なるほどな。同じ業界内で相手を叩きのめすよりは共存を選ぶか。まぁこっちから見ても複数の同業者が居る方が不安要素を分散出来るからありがたいが。」


「あまりにも差が付く様なら競合店の育成も考えますよ。ウチが吸収するより資本が分散していた方が良いでしょうし。」


「そこまで考えているのか。まぁあれだけの魔石を扱えるからこその余裕だな。」


そうなんですよ。

競合店を育成してウチの店がそれよりちょっとだけ常時リードしている状態というのが非常に良いのです。

まるで上杉謙信の様に敵に塩を送りつつ信玄の首根っこを掴んでおくみたいな。

管理競合ですな。


「さて、先ほど持って来た魔石は売れんぞ。大きすぎて砕くと価値が激減するんでそのまま使う用途に流す。あれとは別に買取部に魔石の在庫があるからその中から選んでくれるか。」


「はい、それでは俺が直接買取部に行きます。カウンターで聞けばいいですか?」


「俺が案内する。お前が一人で組合の中をうろうろすると危険だ。いつも俺を通せよ。」


いやー、完全に目を付けられちゃったねー。

まぁ期待半分、警戒半分ってとこだろうけど。


「おい、こいつはルーカスっていうんだけど、ちょっと訳ありでな。俺が直接やりとりしているんだ。今日は魔石が欲しいらしいんで希望を聞いて貰えないか?」


俺は組合のカウンターの横にある買取部に連れて行かれ、そこに居た30半ばのオッサンに紹介された。


「ルーカスです。あ、これステータスカード。ホントにちょっと訳ありでこのランクになってますが、まだヒヨッコなんでお手柔らかに。今日はこれの2倍くらいの魔石があれば買いたいと思って来たんですよ。」


俺は先ほどのクズ魔石を数個取りだして買取部のカウンターの上に置く。

買取部の人はその魔石を摘まんで暫く観察し、状態表示魔法をかけた。


「状態表示」

魔石:西の農地産の低純度の魔石で、現在魔力量は5分の1。


「これの低純度がもう少し上がった奴がいいんですが。もしくは大きさが大きくなったのでも。」


「魔力は自分で込めるのかい?」


「はい、それは問題無いです。ウチの家業は魔力を込めるのが先代からの特技ですんで。」


実際そうだしな。

「商品別専用充填魔法」なんて特殊な魔法、ウチ以外ではまず使っていないだろう。

苦肉の策から生まれた魔法だしな。


「では、これくらいでどうだろうか。」


買取部の人は大きさはそのままだが、透明度が少し高い小粒の魔石を数個カウンターの上に置いた。

俺はそれを全部手に取って、状態表示魔法を絞ってかける。

同じ手の平に小さい文字列が並んで表示される。

手の平をこちらに向けているので他の人には見えないだろう。


「状態表示」

魔石:西の森産の純度46%の魔石で、現在魔力量16%

魔石:西の森産の純度42%の魔石で、現在魔力量13%

魔石:西の森産の純度38%の魔石で、現在魔力量21%


ちょっと魔石を指先で擦りながら目を瞑って何か感じるフリをする。

暫くして目を開き、頷いてこれと同じランクの物を100個ほど欲しいと言う。

買取部の人はちょっと驚きながら何に使うんだと尋ねる。

俺はウチの家業は冒険者用の装備販売で、それに便利な効果を付与する魔石を付けて少し高めに売っていると言ったら納得した。

ひょっとしたら若い頃にウチから付与付きの装備を買ったことがあるのかもしれないな。


「では魔石100個。1個300ラスクなんで全部で3万ラスクだな。払えるのか?」


1個3千円で100個で30万円だ。

何でいちいち日本の貨幣価値に変換して思い浮かぶのか分からないが、なにせ「神々の悪戯」なんで諦めている。


「もちろん払えます。このカードの残高から引き落とせますか。」


俺はステータスカードを裏返し、口座の所に指を置いて「現れよ」と言うと残高が表示される。

残高は38万7千ラスクなので買取部の人はちょっと驚いている。

何か言いたそうにするが、組合長が顎をしゃくるとカードを持って組合長の部屋にもあった大きめの魔石と平たい板が付いた箱に入れる。

平たい板に何か触れていると板の端に数字が表示された。


「ルーカス口座:出金3万ラスク。残高35万7千ラスク。」


買取部の人は俺に平たい板に右手を置く様に言う。

俺が置くと板が光って少し魔力が吸われる感触がした。

静脈認証かな?


光が消えると買取部の人は箱の蓋を開けてカードを取り出して手渡してきた。

裏返すと特記欄が同じ表記に更新されていた。

完全に日本のキャッシュカードだな。


買った魔石は布袋をサービスで付けてくれた。

それを受け取り、礼を言う。

買取部の人は組合長の裏付けもあるので安心した様で、「またどうぞ」なんて声を掛けてきた。

いいお得意様だと認識されたな。


俺は組合長と買取部の人に挨拶して冒険者組合を後にする。

歩いてマーセッキ商会に戻り、夕方になって後片付けをしていた親父に声をかける。


「父さん、魔石を仕入れて来たよ。後で見せるね。」


俺がそう言うと、親父は半ば諦めた様な表情で小さく頷いた。


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