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5◇魔石卸し

5◇魔石卸し

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さて、先ほどの目玉ほどの大きさの魔石は組合長の判断ですぐに買い取って貰えることになった。

俺はこれ一つだけではないと言い、目玉くらいの大きさから小指の爪くらいの大きさまでのとりどりの魔石を5個ほど出した。

本当はこれより大きい魔石の方が多いんだけど、それを出すと組合長が切れるだろうしな。

俺の収納魔法の中を意識すると、まだ魔石は10個くらい残っている。

その殆どが拳よりも大きいんで今出す訳にはいかない。


「本当に君には驚かされるな。どうして魔石が一晩でこれだけ見つけられるんだ?」


「私の暗視魔法がちょっと特殊みたいなんですよ。目を瞑って両手を開いて目の左右に立てて当てると向いている方向の魔力がうっすら分かるんですよね。それで魔獣のねぐらの周囲をくまなく探って回ったら結構見つかりまして。」


俺はもっともらしい言い訳をする。

本当は魔力可視化魔法でずばり見えちゃてるんだよね。

地中のかなり深いところまで見えるんで、先ほどの人の頭大の奴は収納魔法でその上の土ごとごっそり取り出し、魔石を除外指定してその他の土を元の穴に戻しただけだっりする。

地中2mくらいに埋まっていたんで、普通なら分からないだろうな。


「本当にそれで見えるんだな。まぁこうして実績があるから信じるしかないが。」


「面倒な初心者ですみません。まぁこれを定期的に卸せるということで内密にお願いできませんか。」


「うむ。冒険者組合としてもそれが出来るのなら何ら文句もない。では買い取りの計算をするから鑑定室に移動しよう。」


組合長は俺を従えて組合長室を出て、向かいの部屋のドアを開ける。

中には組合長と同じくらいの年齢の小柄な男が居た。


「鑑定長、客だ。ちょっと訳ありなんで何も聞かずにこれを鑑定してほしい。」


組合長は布に包んで大事そうに持って来た6個の魔石をテーブルの上に置く。

目玉くらいの大きさが2個、親指の先くらいの大きさが1個、小指の先くらいの大きさが3個ある。

鑑定長は魔石をじっと見つめて目玉サイズの魔石に手を翳した。


「状態表示」

魔石:東の森産の純度8割の魔石で、昨日地中から掘り出した物。現在魔力量は4分の1。


おや、俺より詳しく表示されてるな。

早速パクろう。

俺は手の平を内側に向けながら無言で状態表示魔法を発動する。

手の平には俺だけに見えるように小さな文字で結果が表示された。


「状態表示」

魔石:東の森産の純度83%の魔石で、昨日深夜に地中から掘り出した物。現在魔力量は26%。


うん。

がっつりだ。

これまた見せられないな。

俺はすぐに手の平の表示を消し、何事もなかったように鑑定長の鑑定結果を聞く。


ちなみに魔石の最大保有魔力量の計算は以下になる。

魔石の重量:透明な部分の総重量

魔石の純度:魔力を保持出来る効率

魔石の伝導度:魔力を出し入れ出来る速さ

魔石の重量(g)×魔石の純度(%)=最大保有魔力量

最大保有魔力量×魔石の伝導度=魔道最大出力量


最後の魔道最大出力量はこれが大きくないといくら保有魔力が大きくても大出力の魔道兵器には使えない。

魔力消費の少ない一般魔道具ならこれは無関係に使えるから普通は伝導度は見ないらしい。

ふと頭に浮かんだのだが、魔石の伝導度は電池の内部抵抗みたいなもんだなと思う。

乾電池とニッカド電池は保有電力が同じでも最大放電電流が違うのと同じだと分かる。

なんだそれ。


「この一番大きい奴は20万ラスク(200万円)だな。その次が16万ラスク、親指くらいのが4万、ちっこいのは1個1万ってとこか。」


それを聞いて組合長は枠の引かれ用紙に書き込み、計算をする。

20万+16万+4万+3万=43万ラスク(430万円)


「そうか。それなら合計で43万ラスクということで、ここから取引税を1割引くから残りは38万7千ラスク(387万円)になる。これでいいか?」


勿論、文句の付けようが無い。

まぁ文句を言うと組合長の信頼を損ねるだけだしな。

元がタダなので、もっと安くてもいいかなと思ってたくらいだし。


参考までに、こちらの貨幣単位は以下になる。

1ラスク=10円

10ラスク鉄貨=100円

100ラスク銅貨=1000円(千円)

1000ラスク銀貨=10000円(一万円)

10000ラスク金貨=100000円(十万円)


ちなみにウチの商会の月の売り上げは50万ラスク前後になる。

それから諸経費と仕入れを引くと残りは30万ラスクくらいだ。

うわ、今回の売り値はウチの月収超えちゃったよ。


「はい、ありがとうございます。定期的に程良い程度に持って来ますので次回もお願いしますね。」


俺がそう言うと組合長が顔を引きつらせ、鑑定長はうさんくさい物を見る目で俺を見た。


「鑑定長、こちらはDクラス冒険者のルーカス君だ。今日登録したばかりだが、ちょっと訳ありでね。今後私が直接対応することにした。それに伴って、鑑定は鑑定長だけにやって欲しいと思ってるんだ。」


「分かった。それ以上は何も聞くまい。聞かなければ面倒事に巻き込まれることもないしな。」


鑑定長は見定めるような目で俺を上から下まで眺めた後、組合長の書いた鑑定結果の用紙にサインをした。

その後鑑定室を後にして俺と組合長は組合長室に戻る。

そこで俺のステータスカードを渡せと言われ、渡すと机の端の上の大きめの魔石と平たい板が付いた箱に入れる。

平たい板に何か触れていたら板の端に数字が表示された。


「ルーカス口座:入金38万7千ラスク。残高38万7千ラスク。」


箱の蓋を開けてカードを取り出し、俺に渡す。

裏を見ると一番下の特記欄の箇所に口座の記載が追加されていた。


「それは冒険者組合と商業者組合の連合で作られたクルップス王国承認の銀行口座の残高表示だ。銀行は冒険者組合や商業者組合の本部と各領都の支部に併設されている。残高は魔道通信で本部と各支部が共有管理しているのでどこでも出し入れ出来る。扱うにはそのステータスカードと本人の魔力認証が要るから悪用することはほぼ無理だし、異常な操作をすると警告が全本支部に一瞬で回る。」


オンライン対応の非接触ICカードかよっ!

4桁の暗証番号を3回連続で間違うとロックされる様なもんだな。


「すごいんですね。そんな便利なことになっていたなんて。私の家の商会なんて全部現金取引ですよ。」


「君の親父さんは商業者組合に入っているんだろう。ならば商業者用のステータスカードは持っているはずだが。」


そうなんだ。

一度も親父には見せて貰ったことはなかったのでてっきり全部現金かと思っていた。

さて、今回はこれで終わったな。

やれやれ疲れたぜ。

俺は組合長に見送られて冒険者組合を後にした。


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