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3◇魔石と冒険者

3◇魔石と冒険者

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朝起きて軒下の井戸で顔を洗い、食堂に行く。

もう父母妹は揃っていた。


「おはよう、父さん母さんサリーナ。」


「おはよう、ルーカス。」


母の挨拶が反って来たが、父と妹は軽く頷いただけだった。

俺はだらけた長男と思われているので父と妹の受けは良くない。

だが、それも昨日までだ。

俺は生まれ変わった。

それを今、披露してやろう。


「父さん、俺はやる気になったぞ。後で魔石を見てくれ。」


「何を寝ぼけたことを言っているんだ。お前が自分で魔石を持って来れるはずがないだろう。」


「そうだよ、兄ちゃんが魔石を自分で持って来たら土砂降りの雨になるね。」


ひどいもんだ。

まぁ覚醒前の俺の自覚があるだけに何も言い返せず黙って朝食を食べる。

後で吠え面かくなよ。


朝食を食べ終わり、食器を洗い場に各自持って行って母がまとめて洗う。

それが終わって全員食卓に着いてお茶を飲んだところで俺が立ち上がる。


「見てくれ、これを。」


俺は収納魔法を使い、昨晩拾った中で一番小さい魔石を出す。

目の前の食卓の上に光の粒子が渦巻き、魔石の形に集まって光が消えて魔石が出現する。

だいたい親指の爪くらいの大きさの紫色の艶のある魔石だ。

父母妹は声も出せずに固まっている。

暫くするとやっと声を絞り出した。


「お、お前、これって収納魔法だよな。いつ習得したんだ。今まで殆ど魔法は使えなかっただろ。」


「そうよ、こんな高度な魔法、冒険者でも上位ランクにならないと使えないじゃない。」


「うっそだー、兄ちゃん、何か手品でも覚えたの?」


妹が酷い。

まぁそれは無視して説明をする。


「実は俺、少し前に15歳の誕生日だったじゃん。そうしたら急に覚醒したみたいなんだよ。いや、うさんくさい目で見ないで欲しいんだけど。たまに居るよね、急に覚醒して英雄や勇者や賢者になったどーって言う奴。あれじゃないから。」


そう言うが、皆俺を胡乱な目で見て黙っている。

仕方が無いので、目の前の魔石を出したり入れたりしてみせる。

妹の手の平に置いてそこで出したり入れたりもしてみせる。

ついでに追加で少し大きめの魔石を2個出したところでやっと家族は騒ぎ出した。


「すっげー兄ちゃん!ホントに出せる様になったんだ!」


「ルーカス、いつ練習したの?昨日は早くに寝てたじゃない?」


「こ、これ、充填魔法に使えるんだよな?」


いっぺんに言われても困るが、俺は思わずにやける。

そこで昨日拾った一番デカい魔石を出してやる。

だいたい人の頭くらいの大きさだな。


ん?

静かだな。

親父は椅子に腰を落として泡吹いている。

お袋は顎が外れたんじゃないかと思うくらい口を開けている。

妹は何度も目を擦って頭を振っている。

俺は親父の肩を掴んで揺すり、正気に戻してから説明を始める。


「実は俺のステータスはちょっと特殊みたいでね。これを見てくれ。」


俺は昨日寝る前に作った欺瞞用の「ステータス’」を起動し、目の前に表示させる。


「ステータス表示」

「名前:ケインズ」、「年齢:15歳」、「性別:男」

「レベル:80」、「体力:102」、「魔力:101」、「精神力:95」「攻撃力:69」、「防御力:71」、

「素早さ:68」、「器用さ:68」、「賢さ:91」、「運の良さ:122」

「スキル:収納魔法LV6、隠蔽魔法LV5、暗視魔法LV6」


それを見て3人はまた固まる。

仕方がないので説明する。


「これ、各項目は貴族の平均くらいまで上がっている。そしてスキルがヤバいんだ。収納魔法は今見せた様に普通に使える。隠蔽魔法は隣に立っても気付かれないが、触れると分かる程度。暗視魔法は星空の下なら普通に活動出来るくらいかな。」


「その表示、普通はステータス魔法が使えないと見られないんだが、何故お前はそれを出せる。」


あ、しまった。それを忘れてた。

まぁ俺の覚醒の特典とでもしておこう。


「それが何故だかは俺も分からないんだよ。強く念じるだけで表示する様になっただけとしか。」


「それで、その魔石はどうやって取ってきたんだ。まさか鉱物屋に忍び込んだりしてないよな。」


「まさか。昨日の夜、東の森まで走って行って取って帰って来たんだよ。一晩くらい寝なくても何とかなるし。で、森に入る前にスキルにある隠蔽魔法と暗視魔法をかけるんだ。するとストライクボアにもダークウルフにも気付かれなくなる。実際、森に入ってすぐにストライクボアに出くわしたけど、気付かれずに横を素通り出来たんだ。そして暗視魔法で星空なら割とはっきり見える。それで魔獣のねぐらの付近を探して魔石を掘り出したという訳さ。何もやましいことは無いな。あ、門衛には挨拶してないや。」


「とりあえず分かった。お前を信じよう。それで、その魔石をどうしたいんだ?」


「うちの商売に使えるだろ。適当な大きさに砕いて、それに見合った魔力を充填する。それで今まで出来なかった長期間の付与が出来る様になるだろ。入手先は俺の覚醒にしてくれたらいい。隠すものでもないから。そして、俺は冒険者になる。」


冒険者の登録は15歳からだしな。

冒険者組合の建物はバラウズ領の中心街の外れにある。

東の森に近い所だな。

討伐して帰って来た冒険者が町中を通らずにそのまま入れる様にとか。

俺は入ったことはないが、場所はよく知っている。

魔石屋に買い出しに行くときに横を通るからな。


「それで、このマーセッキ商会はどうするんだ?お前が継いでくれるんじゃなかったのか?」


「いやー、このステータスとスキルを持ったらちまちまと商売なんてしてられないだろ。まぁ将来的には継がないこともないと思うんだが、今は冒険者になって荒稼ぎしたい。親父も俺が魔石を持って来たらここの売り上げも爆上がりだろ。」


「うーむ、それも一理あるな。俺もまだまだ若いんで働けるし、母さんも仕入れや勘定で助けてくれる。サリーナも居るしな。」


「うん。どうしても俺が継ぎたくなくなったらサリーナに婿を迎えれば継げるだろ。」


「そう思うと、まだだいぶ先の話になるな。分かった。今はお前の自由にしてみろ。母さんもそれでいいな?」


「そこまで言われると仕方が無いねと言うしかないじゃない。サリーナもそれでいいわね?」


「うん、驚いたけど兄ちゃんが冒険者になるのはいいな。貴族様並みのステータスなら胸張って行けるね。」


ふぅ、何とか煙に巻いて納得してくれたな。

このステータスでは冒険者にならないと矛盾だらけになるから、「なる」一択だしな。

冒険者以外の一般職では完全に持て余す。

それかと言って兵士や護衛になるのも安定はするが自由が無くなるもんなー。


さて、15歳になった後にこのステータスになったのは何か関連性があるのか。

まぁ偶然だろう。

神々がそこまで気を回してくれるとも思えないしな。


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