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2◇やる気

2◇やる気

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そう、このスキルは「やる気」が必要なんだよ。

俺、基本的にだらけなんでやる気があんまり無いんだよなー。


まぁそうは言っても最小限の努力?希望?願い?で実現出来るんならやってもいいかなと思う。

面倒さが劇的に少なくなっているってのが大きいな。

たとえば服ひとつ作るにしても繊維を集める、糸にする、染色する、機織りをする、服の形に裁断する、体に合わせて縫い上げる、裏地を付ける、ボタンや装飾を付けるでやっと完成だ。

これを自分でやろうと思うと気が遠くなって気絶する自信がある。

これが思うだけで周囲が用意して手助けしてくれるんだ。

製糸や機織り、裁縫などの技量も自分に全自動インストールされるらしいし。

あ、インストールってのは新たな能力を注入されるってことね。

これも例の日本では庶民レベルまで日常茶飯事だとのこと。

手の平サイズの検索板に色々入れるんだって。

入れると直前まで全然使えなかったことが突然出来る様になるとか。

板が覚醒するみたいで不思議だね。


で、俺は今深夜の森の中にいる。

辺りは真っ暗なんだけど何故かはっきりと見える。

見たいなと思っただけで「暗視魔法」が自動インストールされた。

真っ暗なんだけど見えるって不気味だな。

あ、頭の上に何か光る物がある。

これが照明みたいになって見えるらしい。

そしたら何故ストライクボアがこれに気がついていない?

と、説明だ。

なになに、頭上の照明は通常の生物が感じることが出来る範囲外の種類の光を全周に放ち、本人のみがそれを感じて見ることが出来る、だって。

日本の知識で該当するのがあって、赤外線暗視装置とか言うらしい。

まぁ赤外線というのを見ることが出来る生物が日本には居るらしいからちょっと違うんだけど。

それと、赤外線暗視装置では見る物に色が付かなくて白黒なんだけど、今の俺には色付きで昼間の様に見える。

日本の別な知識で、超高感度カラーカメラってのがあるらしい。

ISOって単位があって、人間の目でよっぽど夜目が利く人で2万くらいなんだけど、このカメラは400万だって。

夜目の利く忍者?って職業の人の200倍は暗いところでも見えるってことだ。

まぁその分見え方が粗っぽくなって網目を通した様に見えるらしいんだけど。

だけど色付きで動きもはっきり見えるというのは圧倒的な有利性だな。

結局俺の見ているのは日本の知識ではずばりの物は無いということか。

まぁ魔法だもんな。


気を取り直してストライクボアの処理をする。

さっき殴った奴がまだ目の前でうろうろしている。

これ、討伐して売ると莫大な利益があるんだよ。

皮は革鎧に、肉はステーキや串焼きに、腸は煮物に、骨は出汁取りや砕いて肥料にと、捨てるところが無い。

冒険者組合がまるっとお買い上げして裏の解体工房でさくっとバラし、そこに待ち受けている各業者に競りで売り払う。

このシステムが出来ているんで、定期的に供給する為にも冒険者組合の依頼板には常時依頼になってるな。

それとは別に、増えすぎた場合は森から出て食料を探して農地を荒らすので、年に何回かは領主から討伐依頼が出る様だ。

冒険者という狩りをして日銭を稼いでいる連中は10人くらいで組んで東の森に分け入って狩るらしい。

いずれもステータスが60を超える猛者揃いとか。

え?60って少なくないか?

貴族で60~100くらいだろ?

ああ、貴族並みってことね。

環境が違うから庶民の冒険者で60ってのは猛者なんだ。


目の前にいるストライクボアの首の後ろに登って、家から持って来た太い鉄の棒の先を尖らした奴を首筋に当てて一気に押し込む。

するとストライクボアは糸の切れた操り人形の様に崩れ落ちる。

巻き込まれない様に飛び降りて、「収納魔法」を使う。

この収納魔法もぶっ壊れていて普通の魔法使いが使う奴とは性能が段違いだ。

普通は縦横高さで5mずつくらいで重量軽減と時間遅延が10分の1くらいになるのが最高だ。

5mというのは立方体にした場合で、高さや幅を抑えれば長さを稼げる。

宅配便の箱寸法を計るみたいに、縦横高さの合計が15m以下になれば良いみたいなもんだな。

しかも魔力を常に消費し、よっぽど魔力量の多い者でも一杯に入れると2日も持たないらしい。

魔力が切れた時点で、中に入れていた物が全て放り出される。

俺のは標準コースで縦横高さ10m、重量軽減と時間遅延が1000分の1だと。

それでいて魔力消費は中身を満杯にしても1年は持つとか。

いや、俺自身の魔力の自己回復量を下回っているので、俺が生きている限り永遠だな。

俺が収納魔法を放つと光の粒子がストライクボアの周りを回って全体を包み込み、光が消えると収納完了で目の前から消えている。

重量は背中にかかるらしく、5kgくらいの重さに感じる。

大きさが日本の動物園に居る「象」くらいなので5tの1000分の1で5kgってとこか。

まぁ俺の体力もべらぼうに上がっているので5kgは誤差なんだけど。

時間遅延が1000分の1ってことは1年放置しても9時間くらいの経過時間だな。

この程度なら少々放置しても腐るって程ではないな。


そう、俺はストライクボアを討伐しに来たんじゃないんだよ。

家の店で売り物にする魔石を取りに来たんだ。

今は鉱物屋からクズ魔石を二束三文で買って独自の専用充填魔法で付与してるんだけど、このクズ魔石が一筋縄ではいかない。

付与する魔法との相性があって、買ったクズ魔石の3割くらいしか使えないんだ。

残りの7割もその半分くらいは他の所がやっている汎用の充填魔法でもまともに入らない。

それで、もっと品質の良い魔石を掘りに東の森に来たという訳だ。

なぜ東の森かと言うと、ストライクボアの討伐隊がたまに品質の良い魔石を持って帰るからだ。

魔獣の巣の近くに溜まっている場合があるので、討伐後にそれを拾っているらしい。

やはり魔獣は魔石に惹かれるのかな?


そこで、今討伐したストライクボアの来たルートを視てみる。

これまた便利魔法の「痕跡可視化魔法」で足跡がくっきり見える。

意識して視ると、地面に判子でも押したかの様に黄色い足跡がずっと向こうまで続いている。

それを辿って行くと、ストライクボアの寝屋と思われる岩壁の下のえぐれている場所があった。

岩肌は牙で削った様に筋状にえぐれている。

牙研ぎをしていたのだろう。

そこで今度は「魔力可視化魔法」を使うと、少し離れた場所の木の根元に紫色にボヤッと光る塊があった。

少し木の根元を掘ってみると、木の根に絡まった大人の頭くらいの大きな魔石があった。

結構高品質みたいだな。

いつもウチで扱っているクズ魔石とは輝きが違う。


これも収納魔法に放り込んだ。

意識するとストライクボアと魔石はちゃんと別々に認識出来る。

試しに魔石だけ取り出そうと意識すると目の前の地面に光の粒子が渦巻き、それが魔石の形に集まって光が消えると魔石が戻った。

何回か出し入れしてみて素早く使うコツがちょっと分かった。

あと、収納魔法に魔石を入れると収納魔法自体を維持するのにも使えるみたいだな。

ちょっと収納魔法の設定みたいな所を意識して変えないとならないが、そんなに難しい操作じゃないんで魔力切れの時は使えるな。

この働きは聞いたことが無いので、普通の収納魔法持ちは使えないのかも。


その後「痕跡可視化魔法」でストライクボアやダークウルフの足跡を探し、寝屋を逆探知して探し当てて周囲に散らばる魔石を回収した。

大きめの魔石が10個溜まったところで今回は十分として家に帰る。

5時間くらいかかったが、全く疲れはないな。

往復で2時間なんで朝起きる時間までには帰れる。


家に帰ると玄関のドアを開ける前に服と体に付いた汚れを「清浄魔法」で落とす。

これは生活のパターンで一番綺麗な時と一番汚れている時を比較し、その範囲内の状況を認識して一番綺麗な状態に戻す魔法だ。

なんでそんな面倒なことをするのかというと、汚れは落としすぎると害になるからだ。

服はまだしも、皮膚の表面を削り取ってまで綺麗にされたらたまらないし。


自分の部屋に入ると寝間着に着替えてベッドのマットをどかし、横になる。

寝る前に自分のステータスをちょっといじる。

いくら何でも全部999ってのはやり過ぎだ。

逆に不信感や疑惑しか浮かばないだろう。

そこでステータス魔法のサブセットで「ステータス’」という魔法を起動する。

右上の「’」ダッシュがキモだ。

これはメインのステータスから数値を任意に変更してその能力を移せる欺瞞用ステータスだ。

欺瞞と言っても本当にその数値の力しか出せなくなる様にすることも出来る。

ここで俺は以下の様に変更して移した。

一応、覚醒して貴族並み、冒険者の猛者並みになったということにしておく。

これなら東の森に行っても不自然ではないだろ。


「ステータス表示」

「名前:ケインズ」、「年齢:15歳」、「性別:男」

「レベル:80」、「体力:82」、「魔力:101」、「精神力:95」


これに英雄譚などに書かれている以下を賑やかしに加える。

「攻撃力:69」、「防御力:71」、「素早さ:68」、「器用さ:68」、「賢さ:91」、「運の良さ:122」

「スキル:収納魔法LV6、隠蔽魔法LV5、暗視魔法LV6」


これで一人で東の森に潜っても怪しまれることはあるまい。

設定が終わり、すぐに出せるのを確認した後で圧縮睡眠を起動する。

5分弱後に圧縮睡眠魔法が切れて通常睡眠に戻る。

これで8時間半くらい寝たことになるな。


朝7時に母親が起こしに来る。

いつもの通りに目を擦りながらベッドから出て普段着に着替える。

うん、昨晩は何事も起きなかった。


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