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「エピソード2: 現代編:主人公の生態!! 『幻術騎士、招集の命により開城を求める。』」

作品を描く際には、主人公を据えるのが基本だ。

確かに──。


私は夏枝をイメージした。

しかし、彼についてはよく理解していなかった。

読者も知らない。


つまり、描く必要があるということだ。

彼は現代で何をしているのか?


夏枝=私である。

ならば、現実の事案をそのまま転用すべき……だが。


大人の事情で、仕事内容をそのまま吐露するわけにはいかない。

法に触れたらまずいのだ。


だから、他の業種に置き換えるしかなかった。

そして行き着いたのが──『営業職』だった。


これなら、彼の故郷である西東京市を自然に描写できる。背景を、ごく当たり前に紡ぐことができると思った。


そう決めた──だがどうしても。

今度は幻想小説としての色が薄れてしまう。


その瞬間、一筋の閃きが顕現した。

「そうだ、営業シーンをファンタジーらしく描けばいいんじゃないか?」


かくして、途轍もなくミステリアスな営業ツアーが幕を開ける。作者の幻想──と妄想──で始まる第二話が顕現した。


『これから始まるサブ連載は。常にプロットとプロセスの公開となるのだが、アクセントとして認知して貰いたい。』、『これは私の一つの答えで、一つの考察である枠なだけだ』


『全ては依る縁は君自身にある──。第一章は全て作者の依る縁である。』

第一章が終焉する鬨。私達のオデッセイが始まる。

まず、彼の職業は営業職である。

主な業務は、医療訪問販売と回収業務による営業だ。


ただし、彼は専ら販売を担当し、回収業務は管理スタッフの仕事とする。

そういう設定に決めたのだ。


そして、医療というテーマに合わせ、老人たち──

つまり、人生の一つの過程としての家庭──を舞台に配置したのである。


上記に合わせて、営業訪問の開始──そのゴングはインターホンにした。

そう、夏枝の心理描写とセットアップのために。

彼の内に秘められた『幻術騎士』を、ここで解き放つことにしたのだ。


騎士である以上、家庭という舞台を城に置き換え、中世風に着色することにした。

そうすれば、夏枝の内なる『幻術騎士』と、現実の訪問先が自然に重なるだろうと考えたのだ。


対応する人物として、巫女──老婆を配した。

昭和の家庭では、妻が財布を持つのはごく当たり前のこと。

一番警戒しているのは、まさにこの巫女──老婆なのである。


一方、王である老人──つまり夫は、そこには頓着していない。

この対比が、家庭という城の中での権力構造を象徴しているのだ。


それ故に、夏枝は巫女に警戒していた。

まず描かれるのは、その鋭く、しかし微妙に揺れる視線。

城に足を踏み入れた騎士のように、彼は一歩一歩、老婆の動きを観察するのだ。


販売の描写は、ある著名な本の内容を多少弄って落とし込んだ。

さすがに著作物である以上、そのままでは使えない。

オリジナル以上のものにしようとする──無理やりな抵抗ではあったが──、それが私の挑戦だった。


結果として、要素だけを抜き出すことには成功したものの、同時に失敗も含んでしまったのは、言うまでもない。


また、王と巫女の金銭のやり取りの描写については、

この時期、ちょうどNISAを始めたばかりで、ローン返済や手数料の仕組みを学習した直後だったため、

その知識をそのまま物語に当てはめただけである。


この描写を踏まえ、夏枝は静かに口を開いた。

「これは失礼しました、巫女殿。

そうであれば、これらは必要なきものでございました。あなた方はもはや、そのような危険や希望を孕む些事を、望んではおられぬようですね。」


その一言に、巫女──老婆のまなざしが僅かに揺らぐ。老人たちは、もはや危険や希望よりも、穏やかな安寧を求めていた。


残り少ない定命を生きる者として──。

私は、そう描くことにした。


「では、また楽しみにしております。」


夏枝の最後の台詞は──『ダブルミーニング』である。彼らと夏枝の未来は、ここではまだ確定していない。


夏枝は、仕事を失うかもしれない。

王と巫女は、静かにその定命を終えるかもしれない。

その“未確定の未来”を問う意味で、この言葉を配置したのだ。


しかし、次の描写で夏枝の未来は決定視されている。

玄関を出ると外はすっかり夕闇に彩られおり。


夏に特有の恐ろし気な夕日──

橙色が紫へと遷移していくなんとも不気味で。


街灯という街灯、住居という住居が、

眠りからようやく目を覚ます。


大地に張り巡らされた路地。

そこに並ぶ戸建て群、そして遠くに臨むマンション群――。それらすべてが、夜の時を告げるように息づいている。


そんな光景を、夏枝は心の中でイメージしていた。


大地に張り巡らされた路地。

そこに並ぶ戸建て群、そして遠くに臨むマンション群。


その手前で、天が顔を朱に染め、やがて青ざめていく。まるで生きもののように。


そして、地平線に沈みゆく太陽は――

まるで、地球という大地に生えた『住居群』という顎に、ゆっくりと噛み砕かれているかのようだった。


それは、彼にとって一日の終わりを告げる旗のように見えた。


やがて、夕闇に溶け込み、

漆黒の兵たちへと姿を変えていくような余韻が、街を包み。全ての情景が死を演じると。


やがて、天には満天の星が瞬き、月が天上へと掛かっていく時間となった。

煌々と、すべての定命たちに囁き始める。


『輝ける曳航は一瞬』


夏枝は――今日中に案件を取らねばならないというのに、描写中ずっと営業中であった。


しかし、私はその全てをカットした。

あまりに冗長すぎること、そして、夏枝の徒労感や悲壮感がすべて失われてしまいそうに思えたからである。


「はぁ……こりゃ詰んだな。」

その夏枝の吐露によって、第三話のスタートポジションは見事に定まった。


夏枝は、自らの未来をこの天蓋に描かれた天使たちに委ね、ただひたすらに天上を仰ぐ。


こうして、モノローグとして第三話。

『時間よ! 逆巻け!』への起因が生まれたのだ。

いかかでしたでしょうか?

第二話「幻術騎士、招集の命により開城を求める。」のプロットとプロセス。

その背景描写の理由について深堀出来ましたでしょうか。


それらに起因した心理描写を理解し把握できましたでしょうか。

これらをたった「三千文字」に落としこんでしまった。

私をぶん殴って構いません。


全ては幻想小説であるように夏枝を幻装し、

幻奏して貰う必要がありました。


全ては私の想像力と妄想力に直結しており、

宇宙規模感によるスケールに拡大してまったのが原因なんです。


途轍もなくミステリアスな第一章は全10話でございます。

話が進みにつれて宇宙規模が神話規模に切り替わる。

それについてこいと言う莫迦が一人いるようですが。


余りにも壮大すぎる宇宙規模や神話規模の展開を、

私はギャグやコミカルな描写、シュールな雰囲気で包み込み、読者が圧倒されないよう巧妙に誤魔化したのである。


設定が立て込んでいるのは、すべて理由がある。

幻想小説として成立させるために、

それらを幻装し、読者に幻奏してもらう必要があるからである。


君たちに『想像力』と『読解力』を求める行為は、第二話からすでに始まっている。

ここで振り落とされる読者は、そもそも及ばない。


ある意味、それは振り子のようなものだ。

篩として機能し、物語の理解度に応じて読者を自然に選別する。それを10話に渡ってやってくる。


それらは段階的にギアを上げていくのではない。

君たちは、限界であろうギアのまま留めておかれるのだ。


物語が正しく動作しているのかを確かめるため、

抽象的な描写と具象的な描写をリフレインさせながら、ストーリーは進む。一瞬一瞬、逡巡するしか許されないのだ。


これは、君たちが夏枝と一体となるための、崇高な儀式である。


第一話はジャブであり、

第二話はヘッドロックである。

第三話は、君たちの体力調整のために挟まれる、言わば猶予期間だ。


そして第四話――『面妖で異質! 正社員広告』――において、その力は本格的に発揮される。


一話から三話までは、本当に『小手先』に過ぎなかったことを、読者はここでようやく実感することになる。

それくらい、この話は『面妖で異質』なのである。


この作品を令和の少年少女たちが20代の方が読むのは。

限りなく0%だろう。


もし──その読者達がいたらの話をする。

間違いなく四話にて彼等/彼女等を振り切り、物語は走り出す。世紀末という熱病に冒された風が助走を付けて、物語はあっさりと凌駕し、突き抜けていく。

そんなスピード感あふれる『面妖で異質』なストーリーが、ここに配置されているのだ。


マシて──夏枝は私なのだから。

君等もこのプロセス・プロットで理解してないと理解した上で処方箋てして出して置こう。


常に作品中は多層的な表現が多発し、

並列処理されている状態だ。


一つの意味合いが枝分かれし、

統合を繰り返す。


説明するには非常に時間が必要であるから。

その時になったら、改めて説明しよう。

その戯れとして、この短篇集的な連続投稿作品があるのだから。


忠告しておく。

第四話――『面妖で異質! 正社員広告』は、言いなればダイタル・ウェイブである。

振り落とされるよう、シートベルトのご準備を。

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