10話 にゃろう系テーマパーク
なんとなくだけどさ、運営は等価交換ってのを意識していると思うんだ。
だからスキルもリスクや制限が重い奴ほど強力になるし、上級マップに出現する敵は強化しなきゃストレスの緩和も出来ない。
日本国内に出回っている円は凡そ120兆。等価交換を重視してるなら、映世で得られるお金ってこの中から捻出されているはず。
魂の汚染はもともと危険な現象だけど、運営が手を加えて安全なものとして制御されている。
俺らは半分ゲーム感覚で活動しており、負けても死なずに現世へ帰還するか、上級ならリスポーン地点へ戻される。
もしこの活動が命がけだとすれば、1年で何割死ぬか。運営は補充も考えなきゃいけない。
精神疾患を持つ総数が減る前は、日本だと600万人ほどだった。病院とかに通ってないのも含めればもっと多いか。
最終的にどんくらいの人数をプレイヤーにするのか。数学が得意な人はここから計算できると思うんですが、ごめんなさい僕には分かんないや。
運営の考えとしては、現世への影響は最小限にして、この問題に対応したいんでないだろうか。
エネルギーになる素材は映世で使うのが目的だとすりゃ、現世だと性能が落ちる可能性は高い。
今は三好さんの錬金スキルで加工してるらしいけど、説明文を読む限りであれば、既存の技術でもお金は掛るが設備は用意可能なんだとさ。
命を賭けなくても、億万長者になる手段はある。
リスクなん背負わなくても、産まれながら恵まれた家庭の子供だってそりゃいるわな。
格差は何処にでもあって、平等なんてのは夢物語だ。ただ金持ちが苦労知らずとは限らんけど。
この時代でこの国に生まれて、大きな不自由もなく生活できている時点で、俺は恵まれてる方なんだよきっと。家庭環境も含めてさ。
学べるってのはそれだけで有難いことなんだ。
「浦部氏、ここ間違っておりますな」
「あっ すんません」
学校の図書館で俺は太志や隆明と一緒に試験勉強をしていた。
「そうだ。年明けてこっちに戻ってきたら、凧揚げとかしねえかぁ」
母方か父方の実家にでも行くんだろうね。
「高尾殿もどうですか、せっかくなのでベイゴマもしましょう」
「おお、良いですなあ。子供のころは良くやったものです」
「俺たぶん冬休みが終わるギリギリまで、ちょっと戻ってこれないかも知れん」
救出作戦がありますので。
「良いですね、冬休みは旅行か」
「住んでるとこが父ちゃんの実家で、母ちゃんとこもそんな遠くないからな。ちっと顔をみせたら京都に行くんだ」
「それならしゃあねえか」
「気をつけて楽しんで来てください」
高尾先生のお陰で気も緩まず勉強できたけど、なんやかんやで緊張もほぐれたな。
「ところで凧揚げですが、うちの娘が孫たちを連れてくるんで、もし良ければ一緒に良いだろうか?」
「高尾ちゃんもうお孫さんいるんだなあ、全然いいぞ」
「賑やかになりそうですね。太志も委員長殿を誘ってみてはどうです」
少し顔を赤くして。
「そっ そうだな」
俺も後で隆明や芝崎を誘ってみるか。学校カフェでイベントするってことだから、クリスマスは皆でいったん家に集まることになった。
・・
・・
テストの準備期間中にスキルの検証もしました。
精神技だけどさ、大城の前世はけっこう連発して使ってたけど、今のとこあんな感じで発動させるのは無理だ。
それにスキル玉は運営が再現したもので、前世スキルとはまた別物って可能性もある。
光の騎士さんが言ってたけど、覚醒技ってのが実際の呼びかたかもね。
スキル合成も現状だと前世スキル+スキル玉しか無理だ。
でも巻島さんの〖妖精召喚〗や神崎さんの〖鬼になる〗とか、俺の〖風盾〗に宮内の〖戦槌〗なんかは前世スキルだよな。
だからもしソケットを開けれたら、専用のビー玉とかセットできるかも知れん。
あと〖光拳〗や〖光十字・壁〗なんか、俺すごく馴染む感じがするから、光の騎士さんが使ってた可能性も高い。
美玖ちゃんの一点突破・無断・黒刃みたいな感じだね。
ちなみに宮内も〔一点突破の片手槍〕を装備してみたんだけど、残念ながら〖前世スキル解放〗は出ませんでした。
『封印されているため、通常時の〖解放〗はできません』
運営からこんなメッセージが出たそうです。
特定の条件を満たせば使えんのかね。それはそれでヤバイ気もするんだけど。
映世のなにが一番危険かって言えば、やっぱこういう点なんだろうね。
原初の精霊よりシャレにならん前世ってことは、世界を滅ぼしかねないじゃん。
さらにはそんな化け物を堕とした存在がいる。
研ぎ澄まされた殺気もケンちゃん含めて、全員が体験しました。
連発して分かったけど、やっぱ自分の精神力みたいのを消費してるっぽい。
ただ隆明が使ってたのとはちっと違う気がしました。
スキルレベルが低いってのもあるけどさ、神崎さんもそう言ってた。
これも恐らく運営が再現したものと、前世スキル(覚醒技)の違いなのかも知れん。
・・
・・
そんなこんなでテストを何とか終えた次の休日。
宮内家の最寄りで美玖ちゃんと合流し、俺は電車に揺られていました。
「前回と似た服装で良かったんすか?」
「そうしてもらわないと困ります」
冬なので厚手のジャンパーには変えてます。
「あの、クリスマスを誘う勇気がなくてすんません」
「でもこうやってデートしてくれたじゃないですか」
向かっているのは荒木場の方面だけど、いつもより手前の駅で降りることになっていた。
「花畑みに行こうって約束しましたもんね」
「そうですね。できれば救出作戦上手く行かなくても、たまにデートして欲しいなぁ」
俺は小さくうなずき。
「じゃあ次どこ行くか考えませんとね」
「それはまた後日決めましょう。ところでテスト結果どうでしたか?」
校長先生が時々勉強会に参加してくれたんで、少しは手応えもある。
「まずまずっすね。美玖ちゃんの方はどうです」
「お父さんとの約束もあるんで、ちゃんと現状維持の成績はとれたかと」
それが救出作戦参加の条件だったな。
「浦部さんも、そろそろ進路を決めないとですね」
「大学か専門学校か。県内にするかどうかも考えないとな」
自分の将来か。もし救出作戦の失敗が続くようなら、三好さんのところに世話になる予定ではある。
卒業後にそうしないのは。
「すんません」
「私はね、フラワー装飾技能士の専門学校とか気になってます」
国家資格なんだっけ。
「凄いっすね。もう進路をきめてるんすか」
「まだ朧気なんですが、将来はそっち関係を希望してます。だからね、浦部さんも謝らないでください」
自分の将来は自分だけのもの。
「ありがとう」
「どういたしまして」
三好さんは映世協会の設立を考えている。
俺はそこに登録してバイトでもしながら、映世で活動していくつもりだ。
・・
・・
山中の駅を降りて、バスで20分ほどのところに、目的のテーマパークはあった。
お互い家族とは何度か訪れたことがあるので。
「アプリ起動させときますか」
「そうですね」
カメラ機能を使って、施設内なら敵と戦うことができる。
全国に何カ所か系列施設もあるけど、俺はここにしか来たことがない。
「私は僧侶です」
「自分は召喚士っすね」
お金を払って入場する。
「初心者冒険者コースでお願いします」
「かしこまりました。それでは協会の前でアプリ画面の提示をお願いします」
他には辺境を訪れたS級冒険者コースがある。
そこには中世ヨーロッパっぽい町並みが広がっていた。
「浦部さん、あそこですよね」
入場口のすぐ近くにその施設はある。何人か並んでいるので、列の最後尾につく。
「見るからにって感じっすね」
「浦部さんはにゃろうの小説とか読むんですか?」
中学時代は執筆もしてましたが、黒歴史なので言わない。
「良く読みますよ」
でもさ、中二病って創作する上で土台なんじゃって思う。
「美玖ちゃんはどうです」
「有名なのは読むかな、恋愛が中心ですけど」
そうこうしてる内に自分たちの順番が来たので、キャストの人にスマホの画面を見せる。
数分が経過すると。
「準備が整いました。ようこそ、冒険者協会へ!」
大きな扉が自動で開かれる。
「ちょっと恥ずかしいですね」
「すげえ緊張する」
中へと足を踏み入れろば、キャストの冒険者たちが一斉に俺たちへと視線を向ける。
「そのまま受付へと進んでください」
「へい」
恐る恐る歩き出す。
受付は正面なので真っ直ぐに向かうが。
「なんだぁお前は、見ねえ顔だな。さては新人の冒険者だな」
いかにもチンピラ風の冒険者が絡んできた。丸坊主で頭に傷があるので、特殊メイクをしているようだ。
「あ、はい。そうですがなにか」
卓上でカードゲームをしていたチンピラの仲間らしき連中が、大きな声で笑う。
演技っぽさがあるけど、なかなかこれはこれで味があった。
「やめとけやめとけ、お前らみたいな弱そうなガキはすぐ死んじまう世界だ」
「お家帰ってママのお乳でも飲んでなぁ」
受付の上部にモニターがあり、文字が表示されていた。
「美玖ちゃん、どうぞ」
「あっ はい」
台本みたいなものですね。
「私たちもう成人迎えているし、登録資格はあるかと思いますけど」
そんな感じで台詞を読んでいくと、最終的に相手は怒りだし。
「ふざけんなっ 優しく接してやってりゃ良い気になりやがって!」
殴りかかろうと拳を振り上げたが、時が止まったかのように、その姿勢のまま停止する。
「わぁ、すごい」
協会内の照明が暗くなり、地面に埋め込まれたライトが輝くと魔法陣が描かれた。
次の瞬間にチンピラはヘナヘナと膝から崩れ落ちる。
「ひっ、ひぇ」
「おっ 俺たちが悪かったぁ」
泡を喰った様子でチンピラ仲間は土下座をすると、気絶している演技をしている彼の脇を掴み、逃げるように俺たちが入場した所とは別の扉から出ていく。
「すまねえなあ。何度も注意してんだが、あいつら新人いびりをやめないんだ」
協会の支部長らしき人が現れ、彼らの処分はこちらでしておくと言われたので、よろしくお願いしますと返事をする。
そのまま受付に案内され、貴方たちはとても将来有望な冒険者だと煽てられ、通常だとⅮ級から始めるところをC級で登録してもらった。
「こちらは迷惑料となります」
このテーマパーク内でだけ使える硬貨をもらった。実際には受け取らず、アプリ内のポイントが3000ほど増加しました。
「では裏の訓練場から出てくださいね」
「はい、ありがとうございます」
使い古され過ぎて今じゃ見なくなったイベントだけど、テンプレってのは需要があるから流行るんだろうね。
実際に体験するのはちょっと照れがあるけれど。
その後は道具屋で回復薬(アプリ内に追加される)などを買い、俺たちは町の外へとでる。
・・
・・
このテーマパークはけっこう広い。
道中なんどかアプリで戦闘をしながら進む。
「あっ 回復しますよ」
「すんません」
俺は灰色狼を召喚して、ゴブリンBに攻撃させる。
「なかなか手も繋げないっすね」
「じゃあせめてくっついちゃおっかなあ」
肩と肩が触れ合う。
「……うへへ」
「えへへ」
戦闘中は歩かないでくださいと表示されるので、他にも何組か立ち止まってスマホを眺めている人たちがいた。
中にはソロというガチ勢も。
木々に囲まれた道を抜けると、少しだけ視界がひらける。
「本当はここお花いっぱい咲いてるんですけど、季節的に残念でしたね」
「その代わり、5時くらいからイルミネーション見れるそうっす」
本格的な花畑は町の裏手にあり、そこが会場とのこと。
「ちゃんとお家まで送りますんで、今日はゆっくり過ごしましょう」
もし俺らが住んでるのが都会なら良いんだけど、田舎だとけっこう外灯の数も少なくて暗い。
「そうだった、伝えるの忘れてました。家の最寄り駅に着いたら、お母さんかお父さんが車だしてくれるんで、浦部さん遠慮しないでくださいね」
「あっ そうなんすね。じゃあお言葉に甘えて」
冬に咲く花もあるにはあるようで、それを楽しみながら進む。
やがて木製の柵に囲われた、いくつかの建物が並ぶ村に到着する。
「教会によってから、ご飯にしましょうか」
「そうっすね。俺の狼さん、そろそろ進化できるかも」
転職とか召喚獣の強化ができます。
「次はモンクにしよっと、そしたら聖拳士になれますんで」
ちなみに召喚獣はオオカミ・トカゲ・スライムから選んで使う。
そんで最終的には月狼・黄金竜・古代のスライムになるそうだ。
小さな古びた教会に入る。実際にはそういう風に作ってるだけで、まだ築10年ほどだけど。
「……」
壁の十字架を見て。
「あれが神聖な物になったのは、聖人が磔刑になったからなんですよね?」
「そっか。最初から十字架って、そういう価値観があった訳じゃないんだ」
処刑器具みたいなもんか。だから異世界の聖職者が十字架を持ってるってことは、過去にそれで処刑された聖人がいるのかも知れん。
まあでも重厚な世界観が必要かどうかは作風にもよるか。
司祭風のキャストさんが聖書を模した液晶端末を持っており、彼にお願いして経験値を使って強化する。
「モンクになりました」
「進化はできなかったけど、けっこう強化できたかな」
その後。俺たちは村にある酒場っぽいところで、ご飯を注文したんだけど、すごくリアリティのあるお食事でした。
黒っぽい硬めのパンと、塩とスパイスの効いた透明なスープ。
けっこう美味しかったです。
・・
・・
村を出て道を下っていくと、迷いの森なる迷路状のダンジョンに挑戦する。森の奥に女神のいる清らかな泉があるそうです。
木々の陰から山賊風のキャストが数名出現し。
「ここを通りたきゃ通行料を払いな」
「おお、山賊イベントだ」
携帯に相手が表示される。二人とも鑑定系のスキルはないので、得られる情報は少ない。
「ヒントだ、俺さまの子分はレベル13だぞ」
優しい。
「戦いましょう」
「そうっすね」
その場で立ち止まり、お頭と3人でスマホとにらめっこするのは実にシュール。
「うおぉっ!」
「可愛い子とデートしやがって!」
「やっちまえ!」
子分たちが声を上げるけど、戦闘はアプリで行います。
「おっ 覚えてやがれ。お前らずらかるぞ!」
「へい親分!」
なんか楽しくなってきた。
その後もモンスターと戦いながら森中を進めば、小さな泉が見えてきた。
「夏になると、ここ蓮の花が咲くんですよ」
「そうなんすね。ちなみに花言葉はなんなんすか」
美玖ちゃんは俺を見つめ。
「清らかな心・神聖・沈着・休養・雄弁・離れゆく愛」
「本当に詳しいっすね」
少しだけ微笑み。
「実はここでこの話をしようと思ってたんで、前もって調べてました」
「そっか。ありがとね」
俺はポケットにスマホをしまい、美玖ちゃんに手を差し出す。
「やったぁ」
離れゆく愛か。
「やっぱ仏教と深い繋がりがあるみたいですね、蓮の花って」
「台座とか蓮を模してますもんね」
2人して歩き出すと、泉の近くに立っていた女神のキャストさんが。
「イチャイチャして羨ましいですね。金の斧と銀の斧どっち!」
なんか喧嘩腰なんすけど。
「いや、どっちも落としてませんけど」
「あら素直な子たちですこと、褒美にポイント上げるから手をつなぐのをやめてアプリを開きな!」
言われた通りにする。
「この先は右に曲がると町に戻って、左に行くと地下洞窟だから好きな方にどうぞ」
「なんかすんません」
「ありがとうございます」
ふんっとそっぽを向き。
「幸せにね!」
ツンデレ女神さまと別れ、いったん町まで戻ることにした。
「じゃあ改めまして」
「へい」
手袋越しでも、なんとなく暖かさを感じ、ドキドキが止まらないね。
・・
・・
町には花の苗などが売ってたり、武具屋にはレプリカの剣やら盾などが置かれてるので、それを見学しながら過ごす。
「こういうとこで特殊イベントを用意すると良いかもっすね」
「海賊船襲撃みたいな?」
雰囲気からしてピッタリじゃないだろうか。
主に室内で過ごしていたが、そろそろイルミネーションの時間になるため外にでる。
だいぶ暗くなっており、風と共に寒さが増していた。
美玖ちゃんはバッグの中を覗きこみ。
「実は貼るカイロを持ってたりして、まだありますから使いますか?」
「良いんすか、すんません」
貼るカイロを受けとろうとしたが。
「私が貼ってあげます」
背中を向けるように指示されたので、少し照れながらも従うことにした。
「じゃあ失礼しますね」
「感謝です」
ジャンパーをめくりあげ、ゾクッとする位置に張ってもらう。
「えへへ」
良く分からないが嬉しそうだ。
「なんかお礼しないとな、ちょっと待っててください」
近場の自動販売機から、暖かい紅茶のペットボトルを買い。
「これどぞ」
「ありがとうございます」
それを受けとると、美玖ちゃんはなぜか俺のジャンパーに押し付けてきた。
「ここにお邪魔したいなぁ」
「へっ あ、そっすか。狭いところですが、そのっ どぞ」
紅茶をポケットに入れ、手を握ってから一緒に突っ込む。
「やったぁ」
少し顔が赤くなっている。たぶん俺の方が赤いけれど。
「プロジェクトマッピングあるそうなんで、町の教会に行きましょう」
白い壁に映像が映し出されるようで、ここからでもその音が響いていた。
「へい」
人は沢山いるけれど、他のお客さんも寒さで余裕はなさそうなんで。
雰囲気に呑まれているだけかも知れないけど。
・・
・・
にゃろうの有名作品を使ったプロジェクトマッピングは凄い迫力でした。
町の裏手がイルミネーションの会場だ。
色とりどりの電飾が白いアーチのトンネルを輝かせ、見渡す限りの光る花々が広がっていた。
「……」
「……」
本心を言えば、この時間が終わって欲しくない。
「すげえさぶいっすね」
「はい。でも震えながら一緒に過ごしたからこそ、想い出に残りそうです」
吐く息は白く、電球の光に照らされる。
「綺麗ですね」
「本当に」
横目に映るその表情を目に焼き付け、心の底からそう思う。
「幸せです」
「……っすね」
こちらを向いたので、慌てて俺は視線をもどす。
「おっそわけ」
首にマフラーを巻かれてしまった。まさかこのリア充イベントを俺が経験する日がくるとは。
「鼻血で汚してしまうわけには」
「平気ですもん、浦部さんの鼻血なら」
アカン。そんなこと言われたら、俺は爆発してしまう。
「そうだ、この話するの忘れてました」
鼻をつまみながら、美玖ちゃんの方を向く。
「赤い蓮の花言葉を知ってますか」
「いえ。仏教関係なんで?」
紅蓮地獄とかあるから、あまり良いもんじゃなさそう。
「信頼・愛情」
そうでもないのか。
「あとは救済なんだって」
へえ、知らんかったな。




